神匠レベルの木工建築士 ~ケチな領主から、コストを理由に追放された。戻ってと言われたが、もう遅い。フリーダムに職人の王国を作り上げます~

まさな

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■第四章 橋を架ける

第五話 橋造り

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一週間後、2つの土台の周りにそれぞれ木の壁を作り出すことに成功した。
 ただ、これだけだと、円陣よろしく囲った壁の内側の水が邪魔なままだ。
 これを汲み上げて水を抜かねばならない。
 
 その下準備として、壁の内側に組み立てた櫓を沈め、その上にヤジロベエの支柱をくっつける。ヤジロベエの片方は水を汲む革袋、反対側には釣り合わせる重りをぶら下げてある。


(横から見た図)

  ――――支点――――
  |     |     |
 重り     |    革袋
               櫓


「じゃ、水を抜いていきましょう。『一式』頼むよ」

「了解シマシタ」

 一式がヤジロベエの支柱を動かし、革袋に水を汲んで、外側へ捨てる。
 汲み上げては捨て、汲み上げては捨てる。
 実に地道な作業だ。見ていてさすがに飽き飽きする。
 だが、囲まれた壁の内側の水位は少しずつ下がっていく。

「よし、ストップ。ちょっと革袋のロープの長さを調整してやりましょう」

 水位に合わせてロープを伸ばし、水を汲みやすくする。
 作業は三日もかかってしまったが、ついに川底に人間が立てる状態になった。

「川の水に木が倒されないか、心配だな」

 バドが言うが、木はしっかりと川底に深く打ち込んで固定してあるから大丈夫だ。

「じゃ、ここからは人間でやりましょう。川底を掘りますよ」

「任せろ!」「「「了解」」」

 川の土が硬い所まで掘り上げたあと、そこに基礎となる石を組み上げていく。
 この基礎は作業用の壁を取り払った後は水に沈むので、木ではすぐに腐ってしまう。

 なので、沈む部分は石だけで作る必要があった。

 大きな石を、自然な形のままで、パズルのように噛み合わせて並べ、交互に積んでいく。
 昔、祖父が橋を作るのを見た事があるが、「城の石垣を思い出すのぅ」と祖父が懐かしそうに言っていた。僕にはよく分からなかったが、祖父の故郷の城はこちらとは少し違っていたのだろう。
 
 重い石で大変な重労働だったが、バド達は文句も言わず、体を汗だくにしながら頑張ってくれる。自分達が何を目的としているか、それをよく理解しているから頑張れるのだろう。
 村のため、家族のため。
 この炭鉱への道をつなぐ橋ができれば、ボックスホーム村の生活が向上するのは間違いない。

「よし、土台ができたぞ!」
「「「おおっ!」」」
 
 二週間後、橋の土台が完成した。重労働だったせいだろう、バド達が嬉しそうに顔を紅潮させて声を上げた。

「じゃ、あとは橋桁を渡すだけです」

 橋板を支える柱を横に通していく。ノースオーシャンの木はとても長いので土台の間隔が長くても問題なかった。木の長さが足りなかったとしても、交互に組み合わせて柱を連結させればいいだけだ。

 柱の上に橋板を並べ、くさびで固定していく。ここでも鉄の釘は使わない。鉄の釘は錆びやすく、錆びなかったとして固定する力が弱い。頑丈で安全な橋を一度作っておけば、何回も作り直さなくて済む。それだけ労力が少なくて済むのだ。

 橋の上には手すりと垂直の板も付け、安全性と、風よけの機能も持たせておく。
 これで冬でも安全に渡れるはずだ。もっとも、冬は川の水が凍りつくので、橋でなくてもいいのだけれど。
 
「ほう、アッシュ、良い橋を作ったじゃねえか」

 小柄なドワーフがやってきて言う。

「ああ、アイゼンさん、ちょうど良いところに。橋の擬宝珠ぎぼしを作ってもらえませんか」

 僕は鍛冶職人であるアイゼンに頼む。
 橋がすぐに腐らないよう、雨よけのカバーを付けたい。
 するとアイゼンがニヤリと笑って背負い袋から、何かを取り出した。
 
「これだろう? 持ってきてやったぜ。サイズも合うはずだ。しかも、ミスリルをちょいと混ぜた合金の鍛造だからな。すぐには錆びたりしないはずだ」

 鉄を何度も叩いて鍛え上げると、普通より強度が増す。これを鍛造という。
 さらに錆びない魔法金属を混ぜて、僕が欲しいと思った以上のモノを用意してくれた。

「さすが!」

 複雑な装飾が施され、もはや芸術品と言って良いだろう。ただのカバーなのだが、橋を渡る人の目を楽しませる遊び心がある。

「石炭を見つけてくれたおかげで、火力もバッチリだからな。必要な物はどんどん作っていくぞ。何でも言ってくれ」

「ありがとうございます」

 鍛冶職人に石炭――鬼に金棒のような頼もしい存在だ。
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