父逮捕のため、王子との婚約破棄を望みます!

メル

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昔話③ ~ザルト・バントールの初恋 後編~

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ドキドキも踊っていたら少し落ち着いてきた。

「クリス。ちょっといいかな?」

この声は国王!?

「あ、クリス様。呼ばれてますよ。」
「そうですね...。では、アリア。ご飯がありますので食べててください。美味しいですからね。」
「はい!ありがとうございます!」

なんの話か気になるけど。。それよりご飯が気になるなぁ。

「美味しいっ!めちゃめちゃ美味しいよぉ!」

私は自分の仕事なんて忘れて食事を楽しんでいた。

「アリア様...?」

ザルト様が真横に立っているとも知らずに。

「ざ、ザルト様。も、申し訳ございません!」
「あぁ、いいですよ。アリア様の食べてるとこ見てると幸せな気持ちになれたので。俺。少し疲れてしまって。」
「だからここに?一緒ですね!」
「アリア様も、か。兄様は婚約者と二人だけど俺は一人だからなかなか緊張したんです。そこのところクリス様が羨ましいです。」
「クリス様と前にもお会いしたことあるんですか?」
「そのときはクリス様たちがこっちの国に来てくれましたね。」
「そのときとなりますと...」

クリス様に元気がないときの。。

「仕事はこなせるのに楽しくなさそうでしたね。まぁ、外交なんてそんなものなのでしょうけど。」
「いえ。私は楽しいですよ!ドキドキしてますが、素敵な出会いが多いですし、こうしてザルト様ともお話しできて嬉しいです。」
「...アリア様。」
「それにご飯もとても美味しいですよ。一緒に食べますか?」

私は目の前の王子に自然と笑顔をこぼしていた。 

「はい!」



ザルトside

不覚にも心を揺さぶられた。他人の婚約者に。そんなことあってはならないのだが、、目の前の少女は身分など気にせず美味しそうにご飯を食べている。

そういう婚約者が欲しい。。

「ねぇ、アリア様!」
「ん?どうされました?これ、食べたいですか?今取ってきますね!」
「あ、お願いします。」

俺は今、なにを口走ろうとしていたのだろう。優しくなったにしろ、一年ほど前まで仕事はできるのに顔が笑ってない。
年相応とは思えない王子の婚約者なのだ。

その婚約者に

『俺じゃダメですか?』

なんて言っていいわけがない。

「はい。ザルト様。ミルククレープです!このラズベリーのソースをたくさんつけるのがオススメです。」
「アリア様がそう言うなら...」

俺はそのままミルククレープを口に運んだ。

「...美味しい!」
「ですよね!ですよね!」
「アリア様、このラズベリーの発想はすごいですね。」
「気に入ってもらえたならなによりです。」

そういってまた嬉しそうに笑った。

アリア様の笑顔に俺は溜まってはいけない思いが溜まっていく。

でも、君が悪いんだ。

俺にそうやって微笑むから。

「アリア様、俺!会ったばかりだけどあなたのことが...!!」

俺はそのまま社交的に絶対アウトなことを口走る。

「あなたのことが...?」

クリス様がこっちに来ていたことも知らずに。

「クリス様!ザルト様とお話ししていました。このミルククレープとっても美味しいんですよ!」
「それはよかったです。ところで、アリア。ザルト様となんの話をしていたのかな?」
「...それが。。」
「ご飯を一緒に食べただけですよ。ね?アリア様。」
「はい。話の内容が薄いですよね。。」
「いえ、仲良くなれてるようならなによりですよ。でも、アリア。近付きすぎると相手に失礼になってしまいます。ですから、僕がもっと美味しいもの紹介しますよ。」
「すみません。」
「いえいえ、構いませんよ。」

そう微笑むクリス様に背筋が凍った。

あの言葉には独占欲、嫉妬、牽制などが込められていただろう。

俺はまた思い出す。

目の前の王子は心が凍てついていた王子だということを。

そして、その心を溶かしたアリア様に依存していることを。

「怖いなぁ。」

俺は思い出のミルククレープに染々と呟いていた。

そのミルククレープの味はラズベリーが染みて酸っぱくなっていた。




今、思うと最近はアリア様が鈍くなっている。
クリス様が隠すのがうまくなったのかクリス様に鈍感にさせられたのか。どちらなのかわからないが、昔と同じくらい。

いや、よりもっとクリス様はアリア様に依存しているのだろう。
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