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本編
私がやりました。悪気はなかった。
しおりを挟む乙女ゲーム、最初の学校イベントは体育祭だ。
そこでヒロインがどこのルートにいくか決まる。
「「「「ジャンケンポン!!」」」」
体育祭の種目決めをしていたのだが、グーの中にチョキがひとつ。
私は自分が出したチョキを見つめながらわなわな震えた。
「オゥ! ジーザス!!」
「田端は混合リレーな」
崩れ落ちる私の事なんか他人事なのか、じゃんけんに勝った人は安堵の言葉を漏らしているし、体育祭の実行委員は黒板に私の名前を書き込んでいる。
世の中はこんなにも冷たい……!
私は四つん這いになってガックリとする。
別に走ることは構わない。
痩せるために、ギャル服が似合うようにちょっと前からランニングをしているから。それは問題じゃない。
私が凹んでいるのは、この混合リレーは男女・学年混合のブロック対抗リレー。これは風紀副委員長ルートのイベントがある種目なのである。
(やばい、ヒロインちゃんの出る種目なのに)
私は決してゲームの妨害をするつもりはないのだ。なのにどうしてこんなことに……!
ポンッ
未だに地面に手足をついている私の肩を誰かが叩いてきた。ゆるゆると顔をあげると、そこには太陽のように明るい笑顔があった。
「アヤちゃん、俺と一緒~がんばろーネ!」
「…あ、あぁ、うん、ソウダネ…」
彼は今の私と同類の所謂ギャル男のクラスメイト・沢渡君だ。髪も明るく染めてて、ワックスで無造作ヘアにしている。アクセサリーでしっかり決めてる彼はチャラチャラしてるがそれなりにイケメンだと思う。
女の子が好きなのか、よく女の子を誉めているところを見かけるが、彼も私と同じモブである。
沢渡くんは私と目を会わせるためにしゃがみこんで、首をかしげてきた。
「えーなに? 走るの苦手なの?」
「そうじゃないよ…がんばろうね…」
(ごめん、ヒロインちゃん)
私はヒロインちゃんに向けて心の中で謝罪したのであった。
この混合リレーは全1000mを同じブロックの全学年合同で走ることになっている。第1走者から100m、200m、300m、400mと分担して走る。
最後の走者になっていくと負担増であるため、各ブロックで集まり、タイム測定をした上で組み合わせる。
私には瞬発力はないが、持久力は最近ついてきたため、中距離希望を出すと、300m…第3走者に決まった。
ちなみにこの混合リレーはこの高校の締めの競技で、なかなかの盛り上がりを見せるものであり、二回に渡ってそれぞれ1000m走ることになる。
そのため、沢渡君とは一回目、二回目で別々のリレーとなった。
この混合リレーが風紀副委員長のルートイベントと説明したが、 その中でヒロインは第1走者として100mを走っていたところ、途中でこける。
足を捻ってしまったのか立ち上がれないヒロインを風紀副委員長がお姫様抱っこして救護所に連れていくと言うイベントだ。よくありがちな少女マンガチックなイベントである。
(だがな、私は絶対コケねぇから!!)
私は攻略対象である風紀副委員長の背中に向けてそう念を送った。
…しかしヒロインに当たらなかったのって、風紀副委員長ルートじゃないって訳?
私はううむ、と唸るのであった。
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