攻略対象の影薄い姉になったけど、モブってなにしたらいいの?

スズキアカネ

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番外編

攻略対象の風紀副委員長に拾われたけど、柴犬ってなにしたらいいの?【中編】

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 私、あやめ。柴犬の女の子!
 今日はご主人がお散歩につれてきてくれたの! 嬉しい! 楽しい! 
 ご主人は毎日学校と部活動と勉強で忙しそうにしているけど、今日は息抜きなんだって。一緒に公園でボール遊びするんだ!
 浮き足立ちながら、公園までの道をご主人と一緒に歩く。空を見上げたら青い空が眩しい快晴。大分暖かくなったし、いい天気だね、ご主人。辺りに芽吹いた緑の匂いが香ってくる。
 進級してすぐに実力テストがあって忙しそうだったけど、結果はどうだったの? 学生さんは大変だよね。お疲れ様ご主人。
 私がねぎらいの気持ちを視線で伝えるためにご主人を見上げると、ご主人は私の視線に気づいた。

「腹減ったのか? お前ごはん食べただろう?」

 違うよ! …なんで私の想いは伝わらないのかな。私がご主人を見つめたらいつもご飯を催促してると勘違いするんだから!
 全くもう男の人ってこういうのに疎いよね!

「キャワワン!」

 あっこの間動物病院で会ったワンちゃんだ。側には俺様生徒会長の婚約者であり、ライバル役の陽子様がいた。いやーしかし彼女は美人だなぁ。乙女ゲームの登場人物だし、ライバル役だから顔面偏差値も高いか、そりゃ。
 陽子様のペットのマロンちゃんが私に挨拶してくる。犬同士会話できるのかな? と思ったけど出来ないみたい。相手の感情はこちらに伝わってくるんだけどねぇ。
 マロンちゃんが私に身体をこすりつけてくる。向こうは成犬で私はまだ子犬だから、反動で身体がコテンと倒れ込んだ。マロンちゃんは子犬を世話する母犬のように私を包み込む。体重は掛けられてないから重くはない。
 …私は母性本能をくすぐるような柴犬なのだろうか? 

「あやめちゃんひさしぶりね。元気そうで良かったわぁ」
「最近芸事も躾けているんだ。物覚えがいいんだあやめは」

 当然でしょ! 私は元人間なんだからそのくらい出来るよ! マロンちゃんに頭をペロペロ舐められながら「キャン!」と返事をした。
 その後、私はマロンちゃんと遊んだり、ご主人が投げるボールを追いかけたりして過ごした。とても楽しかった。
 ご主人は受験生だから、これからあまり遊んでもらえなくなるのがとても寂しい。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんも遊んでくれるけど、こうして一緒に走ったりは出来ないから…お兄さんも勉強に忙しいから邪魔にはなりたくないし、パパ上はなんか怖いし。お母さんも忙しそうだから。
 仕方ない…

「あやめちゃん、マロンちゃんと並んで? はい笑ってー。あら~可愛いわねー!」 

 陽子様がカメラ小僧のように興奮した様子で私達を撮影している。まさかあの乙女ゲームでヒロインと言うよりも生徒会長のライバルである陽子様がこんなにも柴犬狂だったとは…高飛車で自信に満ち溢れたライバル令嬢のイメージが崩れていく…
 しばらく撮影に付き合っていたけれど、ジッとしているのが耐えきれなかった私は、衝動に任せて走り出した。

「あっ、こらあやめ! どこにいくんだ!」

 ご主人が止める声がするけど、止まらない! 走りたいんだもん! 公園内を駆け回るだけだよ。ちゃんと戻ってくるから。
 私は風になった気分で走っていたが、所詮は子犬の小さな体だ。追いかけてきたご主人に捕まってメッと怒られた。

 走りたい走りたい! お散歩ルートとは違う場所だから走りたい~!
 リードをしっかり握られてしまったため、私は自由に動けなかった。リードが届く範囲をうろちょろしていたが、ご主人によって行動を制限される。「ぐぅ~ギャン!」と文句をつけてみたが、ご主人は「だめ」と一蹴するだけ。
 ムカつくのでその辺りに生えているタンポポを食べていたら、また怒られた。
 タンポポ美味しいよ! ご主人も食べてみるといい! ご主人に目で訴えかけながらタンポポをむしゃむしゃしていたら、無理やり吐き出させられた。

 陽子様は柴犬飼いの先輩だ。彼女から柴犬の飼い方について指導を受けていたご主人。2人は公園のベンチに並んで、犬の話をしていた。ご主人もネットや本で色々調べていたけど、実際に飼っている人の貴重な話を聞いておきたかったようだ。
 傍目から見たら見目麗しい美男美女カップルに見えるが、会話の中身は柴犬についてだ。これはどうなんだろう。

 私はその間マロンちゃんとじゃれ合って遊んでいたのだが、そのマロンちゃんがピクリと震えた。
 どうしたの? トイレに行きたいの?
 マロンちゃんにそう問いかけたのだが、彼女は何処かを睨みつけ、険しい表情でうなり始めた。え、なに私なにかした? さっきまで優しい表情で私を見ていたじゃない。甘噛みしたのが嫌だったの?
 てっきり私が彼女の気に障ることをしてしまったのだと思っていたのだけど、違った。
 彼女の視線の先には1人の男性がいた。ご主人や陽子様と同い年くらい。逞しさでいえば、ご主人の方が体幹を鍛えているように思える。
 彼はこちらを見て、とても嫌そうに顔を歪めていた。…あれ、あの野性的で俺様っぽいイケメンって…
 マロンちゃんが警戒するように唸っていたので、犬談義をしていたご主人と陽子様も異変に気づいたようだ。俺様イケメンの顔を見たご主人は「あ」と声を漏らすだけだったが、陽子様は違った。そのお美しいかんばせが崩れるくらい顔をしかめたのだ。

「…うわ…克也…なんであなたがここにいるの…?」
「…お前こそ……おい、橘、そこの女はとんでもなく性悪だからやめておいたほうがいいぜ?」
「は? …何を誤解しているのか知らないが、飼い犬のことでアドバイスを受けていただけだぞ俺は」

 年頃の男女が一緒にいるだけでそういう関係に見えちゃうのは仕方ないね。ご主人は戸惑っている様子だが…。

「ごめんなさいね橘さん。この人は親が勝手に決めた婚約者なの……私の唯一の汚点よ…」
「あ゛ぁ!? それはこっちのセリフだ!」

 乙女ゲームの中でも陽子様と俺様会長は仲が悪かったが、現実はそれ以上に仲が悪いようだ。犬になってしまった私は感覚が鋭くなっているせいか、2人の口論に耳を塞ぎたくなった。このピリピリした雰囲気が怖いんだ。マロンちゃんは陽子様に同調して俺様会長を吠え立てている。私は怖くなってしまってプルプルと身を縮めていた。
 すると、大きな手が私を抱き上げた。ご主人だ。私が怯えているのに気づいたようで、そっと優しく撫でてくれたのだ。

「お前に怒っているんじゃないから、大丈夫。怖くない」

 撫でられながらご主人の胸の音を聞いていたら、なんだか落ち着いてきた。そしていつの間にか私は夢の世界へと旅立っていた。


■□■


「はぁ…」

 私が橘家のリビングでくつろいでいると、疲れた様子のお兄さんが帰ってきた。
 どうしたのお兄さん、顔色が悪いよ?

 彼の足元に近寄ると、お兄さんは死んだ目をして私を見下ろしてきた。大学の勉強で疲れたのだろうか。お兄さんはいつも頑張り過ぎだから、たまには息抜きをしたほうがいいと思うよ。
 彼はカバンを置いてソファに座った。私を持ち上げて、膝の上に乗せると私をもふもふし始めた。お兄さんがため息をつく音が聞こえる。随分お疲れなのね。

「…わかってくれていると思っていたのに…」

 え? なにが?
 グリッと首を捻ってお兄さんの顔を窺うと、お兄さんは変わらず沈んだ表情をしていた。その目は哀しそうに揺れている。

「難しいな、女性というものは」

 女性? 私のこと言っているの? 私メスだけど。お兄さんを困らせることなにかしたっけ?
 落ち込んでいるようなので、自分のケージからおもちゃを持ってきて、遊びに誘ってあげたが、お兄さんの表情は明るくならなかった。
 お気に入りのおやつ(ささみジャーキーサツマイモ入り)を分けてあげようと、棚から袋を引っ張り出していたら、ご主人に見つかってしまい、私はしこたま怒られた。
 なんで!? 美味しいもの食べたら元気になるはずだから分けてあげようとしただけなのに!
 私はご主人に、お兄さんが落ち込んでいるんだと吠えて訴えたのだが、ご主人に伝わるわけがなく。罰として今日のおやつは抜きにされた。理不尽。
 手を床に叩きつけて異議申し立てをしたが、ご主人は手の届かない所におやつを仕舞ってしまった…

 お兄さんは自分の部屋へ閉じこもってしばらく出てこなかった。慰めるためにお兄さんの部屋がある2階まで階段を登って、お兄さんの部屋のドアをガリガリしてたら、ご主人に見つかった。イタズラしてると誤解される。私は激しい抵抗の末にケージに閉じ込められてしまった。
 私はただ、お兄さんを励ましたいだけなのにご主人は全然わかっていない! 男の人はこれだから!

 私は悲しくて遠吠えをした。
 だけどご主人にうるさいと叱られてしまった。

 理不尽だよ! ご主人!


■□■


 私のいつものポジションはご主人のお膝の上である! 
 ご主人にナデナデされるのがとても好き!

「……」
「クゥン…」

 私はリビングでオモチャに噛み付いて遊んでいた。ご主人はお風呂に入っていて、今ここにはいない。ご主人が上がるまでオモチャで遊んでいようと夢中になっていると、後ろから急に身体を掴まれた。
 ブンブンとおもちゃを振り回していた私はソレに驚いて噛み付いた。

 …それは、パパ上の手だったのだ……

 ぎゃああああ!
 ヤバい、噛んじゃったよ! 
 ごめんなさいパパ上! だけど後ろから急に掴んでくるのは本当に止めてください。ごめんなさいの意味を込めて、噛んでしまったパパ上の手をペロペロ舐めてあげる。
 パパ上は怖い顔をして沈黙している。怒らせてしまったかもしれない…!
 どうしよう私捨てられちゃう! やだよ、ご主人と離れたくないよ、橘家の皆とお別れしたくないよ。
 私はキュヒキュヒと鳴きながらパパ上の手を舐めた。治れ治れ、痛いの飛んでけ!

「……父さん帰っていたのか。おかえり。…あやめ、父さんが困っているからやめろ」
「キュフ…」

 だがいくらペロペロしても治るわけがなく、そうこうしている内にお風呂からご主人が上がってきてしまった。
 駄目だった…あぁ、怒られる…そして捨てられちゃうんだ…
 短い間だったけど、橘家の子になれてよかった…

 私はぽてっとフローリングの床に倒れて、無抵抗アピールをした。煮るなり焼くなり好きにするが良い。
 覚悟を決めた私を見て何を思ったのか、パパ上は私のお腹を撫で始めた。

「キュ、キャウッ」

 あーそこもっと右。そこ丁度痒かったから…あーいい感じ…
 私はパパ上が満足いくまで思う存分モフられ、いつの間にか寝落ちしていた。

 翌朝起きたらケージの中で、私は橘家から追い出されていなかったのだ。
 お仕事に向かうパパ上を玄関まで見送っていたら、また撫でられた。パパ上の左手には大きめの絆創膏が貼られており、怪我をさせてしまったことに罪悪感に駆られたけども、パパ上もご主人も私を叱ることはなかった。

 私は今まで怖い人だと思っていたけども、パパ上は実はとても優しい人なのかもしれない。
 その日の夜、疲れて帰ってきたパパ上の側に寄るとお膝に乗っけられてモフられた。そしてお決まりの寝落ちである。

 その日から、私のポジションは新たに一つ増えたのであった。パパ上、実はゴッドハンドの持ち主なのかもしれない。


■□■


 お散歩の帰り道でタンポポを見つけたので、最近元気のないお兄さんのために持って帰ってきたら、おばあちゃんがコップに水を張ってタンポポを生けてくれた。
 お兄さんが帰ってきたら見せてあげようと思って待っていたけど、私はいつの間にか寝ていて、気づいたときにはタンポポは萎んでいた。お水につけていたのになんでだろうとタンポポを見てしょぼくれていた。
 そこに丁度帰ってきたお兄さんが萎れたそれを見て、タンポポの入ったコップごと窓際に持って行ってしまった。

「タンポポは野原に咲く花だから太陽を浴びないと萎れてしまうんだ」

 そっか! お兄さん物知り!
 そうだよね、太陽を浴びることは大事だよね。私もお散歩して太陽の光を浴びると元気になれるもの。
 …お兄さんも勉強ばかりじゃなくて、たまにはお外に出てお散歩しようよ! 最近のお兄さん元気がなくて私心配だよ!
 私は自分のお散歩用リードが保管されている場所まで行って、咥えて取ってくると、お兄さんの足元に置いた。そして彼を見上げると、お兄さんはため息を吐いていた。

「…仕方ないな」

 普段はご主人かお祖父ちゃんが担当するお散歩だけど、今日は私がお兄さんをお散歩させてあげた。
 お兄さんが何に凹んでいるかわからないけど、そんな時はお日様の下を頭空っぽにして歩くのが一番だと私思うんだ!
 お兄さんとのお散歩楽しかったな!

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