そして還るもの

諏訪彼方

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白いアザレア

Undisputed Facts

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 お家に帰って早々、永遠から電話がかかって来た。お家に帰って来てSNSでやり取りすることはあったけど、今まで電話がかかって来たことはなかった。一体何事だろう?

「もしもし永遠?なにかあったの?」
「何かあったのじゃないよ~!さっき砂浜にいたモデルさんみたいな子は誰?」
「あの子はモデルじゃないよ~!中学校時代?の友達だよ?(違うけど本当のこと言えない…)」
「ふーん、じゃあなんでわざわざこんなところに?」
「最近近くに越して来たみたいだから…旧交を温めてただけだよ?」
「そんなぐ…まあいっか…そう、それならよかった。その子を好きなわけじゃないんでしょ?」
「そうね…」
「そっか…なんだか安心したら眠くなっちゃったな~という事で!私は寝ます!」
「もう寝るの?」
「あくまでお昼寝だよ?」
「そっか…またね」
 そう言って通話を終える。永遠にはあえて聞かなかったけど、どうして永遠は砂浜に来たのだろう?もしかして星川さんから聞いて?…ってそんなことはないよね。星川さんは真面目な子だということは数日間一緒の教室で過ごしてきて既に知っている。だから、星川さんを疑うことにはかなり無理があるような気がする。

※  ※  ※
 数時間後、早速予告通り、果南はビデオ通話をかけてきた。それに出ると、果南の他にもう一個懐かしい顔がそこにはあった。
「透!久しぶりだね!元気だった?」
「おかげさまで楽しい毎日を遅らせてもらってるよ。今は僕も君たちと同じ県に住んでいるよ。今回、見事に全員また集結できたな。」
「そうだね!」
「また3人、あの時みたいにこれから仲良く楽しく頑張っていこう!ということで、早速だけど莉子、なんとなくアイディアというか構想はれた?」
「なんとなくだけど、まとまってはいるかな」
「お~、昔からそうだけどやっぱ莉子はひらめいたり考えたりするのが早いようだね。」
「さすがは莉子!それで、それを聞きたいんだけど…」
透はだいぶ大人びた子になったようだ。そして、一番驚いたのは一人称が「僕」になっていたこと。施設にいた時は一人称が「私」か「透は~」だったのに。なかなかそういう子はいないから少し新鮮さを感じてしまう。

 結局、GWまでにある程度作り上げることになった。「友情」とか「再会」とかを取り入れてほしいということだったので、その要素を入れつつ、頑張っていかなきゃいけない。
 曲のタイトルだけは早速決めた。曲名は「ローダンセ」。今から旬の花の名前からとった。ローダンセの花言葉は「変わらない思い」「終わりのない友情」。今回の曲にぴったりのものになっていると思う。
 
※旧交を温める→久しぶりに会って、昔のような親しい付き合いや関係を再び再開するという意味。
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