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第二部
61:集う者達
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陽もだいぶ落ちかけた頃。精霊の祭壇の調査が終わった三人は王都へと帰り着いていた。シノにとっては感慨深い出来事だったが、精霊であるリエルとセリアにとってはきっと更に凄い出来事だったことだろう。
(そういえば……結局、私が先に大精霊に出会っちゃったなぁ)
夕暮れの王都を歩きながら、シノは生徒の男の子と前にしていた話を思い出していた。土産話として持って帰るべきか少し悩んでこそいたが、話してあげたほうが彼のやる気も更に燃えるような気がしたので、帰ったら一番に聞かせてあげることにしよう。
それからシノ達は、再び西地区へと足を延ばしていた。
実際に使ったことによって新しい杖の使い勝手は実感できたのだが、譲り受けたそのままでずっと使うわけにはいかないので調整も必要になる。夕刻だというのに相変わらず繁盛している店内へ入ると、さっそくザッカスへ報告してみせた。
「おぉ、さっそく自信作が役に立ったか!」
「はい、お蔭様で。あとは、少し調整をお願いしたいんですけど……」
「わかった、任せときな!」
彼は職人冥利に尽きるといわんばかりに満足げな表情を浮かべると、シノと共に店の奥にある工房へと姿を消す。それからしばらくの間、持ち手の角度がどうだの握りの部分がどうだのという話をし始めた二人だったが、普段武器らしい武器を持たないリエルとセリアはさっぱりといった様子だ。
少しばかり時間もかかりそうだったのでその間二人は店内を見て回っていたが、周囲の客達は彼女らの姿が気になっているようだ。
リエルは背丈的にまだわからないでもないが、セリアは完全に見た目が子どもなので、何故こんな小さな子が武具屋にいるのだろうかと思われていそうである。
当の彼女はそんなことは意にも介さず、手甲の棚などを品定めしていた。やっぱり武闘派なのではないだろうか?
「――――――よし! こんなもんでどうだい?」
「ありがとう御座います、ザッカスさん!」
三十分ほど過ぎた後、杖の調整が終わったザッカスがシノと共に工房から出てきた。先ほどまで持っていた杖には白い樹脂製のグリップが追加されており、より握りやすく改良されていた。
武器を扱う際は、手からすっぽ抜けるのが一番やってはいけないことなので当然の調整といえるだろう。
「お待たせ、二人とも!」
「おかえりなさい、シノさん」
「やっと戻って来たわね。少しばかり退屈だったわ」
言っている割には店内をあちこち見て回っていたようだが、そんなセリアを見て二人は肩を竦め、ザッカスは相変わらず豪快に笑ってみせた。
「がっはっは! 精霊のお嬢ちゃんにとっちゃあ武器はあまり縁がねぇ物かもしれねぇが、いざ物入りになったらいつでも言ってくれよな!」
「まぁ……そうね。もしそんな時が来るのだったら考えとくわ」
既に極星の盾というある意味無敵の防具を持っているのだから、そこに他の武具が必要なのかはさておき。彼女のことだから、見た目を気にしていずれ何か選びそうな感じはする。
三人はザッカスへ向き直って改めて礼を言うと、快活な笑顔に見送られて武具屋を後にするのであった。
◇
西地区を出たシノ達は、再び中央地区の冒険者ギルドへと戻ってきていた。常に何かしらの情報が転がっている場所だし、定期的に覗いておいたほうがいいからである。
クラド村であれば昼下がりの時間帯は人が少ないのだが、さすがに王都ともなるとどの時間帯でも常に冒険者だらけだ。しばらくギルド内を歩き回っていたのだが、シノはある人物の姿を見つけると声をかける。
「こんにちは、ステラさん!」
それは、ギルド内の休憩スペースでお茶を飲んでいたステラであった。シノ達に気付いて顔を上げた彼女は薄く笑みを浮かべる。この広い王都の中でも、それなりに再会はできるものだ。これも冒険者同士ならではといったところか。
「あら、こんにちは。三人とも、例の探索帰りかしら?」
「そうなんですよ! 実はですね――――――」
凄く言いたそうにしているリエルが探索の成果を話してみせると、ステラはそれを終始興味深そうに聞いていた。大精霊セラフに会った下りは若干熱が入っていたように思えるが、そこはご愛敬だろう。
「収穫があったようで何よりね。私も大精霊には会った事がないから……少し羨ましいわ」
「ステラさんのように各地を渡り歩いているベテランの人でも難しいことなんですね……」
「ええ。だからこそ、本当に誇るべきことだと思うわ。精霊であるリエルさんやセリアさんは特にね」
「それは当然よっ! あと、なんかむず痒く思えるからさん付けはやめてよね」
長い旅の中で、世界中を見てきているであろうステラがこう言ってしまうほどだ。此度の出会いは祝杯をあげるだけの価値があると見ていいだろう。
それからステラは少し考え込むように顔を伏せると、
「私はああいう遺跡にあまり興味がないから、今までは見ただけで帰っていたけれど……足を踏み入れることが重要だったのかもしれないわね。もしかすると、私が行っても同じことが起こっていたのかも」
今までの自分を振り返るような感じで言った。確かに、先の探索では祭壇に踏み込んだ瞬間に変化が起こったのだし、それはステラでも同じことが起こった可能性はある。彼女は別に悪人などではないはずだし、大精霊セラフもそれに応えて姿を見せてくれたかもしれない。
だがここで、ステラの言葉を聞いて何かに気付いたセリアは首を傾げると、
「……ん? ちょっと待って。シノと同じってことは……まさかあんたもペリアエ――――――」
驚いたような声と共に何かを言いかけた。その後にどんな言葉が続くのかすぐに分かったシノは、すぐさま彼女の後ろに回ると両手で思いっきり口を塞ぐ。
こんな大勢の人がいる場所で言われてしまってはさすがにマズいからだ。
「んーっ! んーーっ!!」
「え? ど、どういうことですか……?」
急に羽交い絞めにされながら口を塞がれて驚いたのか、子どものように暴れるセリアと、話が見えておらず困惑するリエル。
幸いなことに周囲には聞こえていなかったようで安心したが、この様子だと二人に隠し通すことはさすがに出来なさそうだ。当のステラも自分が迂闊なことを言ったと気付いたのか、しまったといった表情を浮かべている。
「――――――ぷはっ! い、いきなり何すんのよシノ!!!」
「聞かれちゃったら騒ぎになりかねないからだよ! 少しは周囲を気にして!」
「あんたがそれだけ慌ててるってことは、まさか本当に……?」
「シノさんには、二回目に会った時に気付かれてしまったのだけれど……こういうことよ」
周囲の目に注意しつつ、ステラは顔の上半分を隠していた仮面を外してみせた。そこにあった銀色に輝く瞳を見た二人は当然のように驚く。シノにとっては二度目の光景だ。
「まさか、こんなことが……!?」
「ペリアエルフが二人、一同に会してるだなんて……天の悪戯が過ぎるんじゃない?」
シノがこの世界に転生してきたこと自体が天の悪戯といってもいいのだが、それはさて置くとして。世界中のどこを探しても、二人もペリアエルフがいるなんてまずあり得ない状況だろう。
仮面で顔を隠している理由については、二人とも納得してくれたようだ。
「心中お察しします、ステラさん……」
「……ご愁傷様ね。生まれを選べない以上、仕方のないことなのだけれども」
「お気遣い感謝するわ、二人とも。この生き方にも慣れたし、私は平気よ」
困ったような笑みを浮かべて答えるステラだったが、瞳にはどこかしら悲しみにも似た感情が見え隠れしているのをシノは感じ取っていた。
それと同時に、彼女の頭に一つの疑問が浮かぶ。ステラは一体、どこの出身なのだろうかと。
シノ自身も出身をぼやかしているので人のことは言えないのだが、どうしても気になってしまった。
「故郷には……あまり良い思い出がないの。ごめんなさいね」
思い切って訊いてはみたものの、少し物悲しげな表情で返されてしまった。これは深入りしないほうが良いだろう。リエルとセリアもそれは分かっているのか、言及はしなかった。
「それじゃあ、私はそろそろ次の依頼に行ってくるわね。また会いましょう」
ステラは仮面をつけ直した後の席を立つと、三人に別れを告げる。この時間からならば夜間に向けての魔物討伐といったところだろう。ベテランの腕の見せどころだ。
「はい。ステラさんも、どうかお気を付けて」
「ステラさんの秘密は、口外したりしませんので!」
「こう見えて口は堅い方だから、安心しなさいよね」
さっき思わず大声をあげそうになっておきながらどの口が言うかとは思うのだけれども。三人に向けて手を振ったステラは、そのままギルド内の雑踏へと姿を消していった。
残ったシノ達は、今日はこれからどうしたものかと考えていると、
「シノさん、今夜は東地区へ行ってみませんか?」
リエルが何か期待しているような眼差しを向けながら提案してくる。彼女的にはまだまだ王都全体の一割も見れていないので無理もないが。
「東地区か……グランディアの中でも娯楽施設が多い地区だったっけ」
「はい! 王都名物のスイーツも食べられると、宿の人からお話を聞いたので!」
「王都名物って……どんな物なのよ?」
「なんでも、顔ぐらいの大きなリンゴを器に使ったケーキだとか……」
スイーツが目当てだとは、現代女子っぽさがあるなぁとシノは思った。だが、シノもそれはまだ食べたことがないので、彼女としても気になるところではある。
元の世界ではリンゴを一個丸ごと使ったケーキなどは見たことがあったのだが、まさか器に使ってしまうとは異世界の発想には全く驚かされる。
……というか、顔ぐらい大きなリンゴとはなんだろう。突然変異種だったりするのだろうか?
「よし! じゃあ探索の祝杯もまだだったことだし、宿に戻るまでは東地区で店舗巡りといこうか!」
「はい、行きましょうシノさん! セリアさん!」
「ふふんっ! 王都のスイーツがどの程度のレベルか確かめてやろうじゃないの」
席を同時に立った三人は遺跡探索の祝杯――――――もとい女子会のため、東地区へと向かっていくのであった。
(そういえば……結局、私が先に大精霊に出会っちゃったなぁ)
夕暮れの王都を歩きながら、シノは生徒の男の子と前にしていた話を思い出していた。土産話として持って帰るべきか少し悩んでこそいたが、話してあげたほうが彼のやる気も更に燃えるような気がしたので、帰ったら一番に聞かせてあげることにしよう。
それからシノ達は、再び西地区へと足を延ばしていた。
実際に使ったことによって新しい杖の使い勝手は実感できたのだが、譲り受けたそのままでずっと使うわけにはいかないので調整も必要になる。夕刻だというのに相変わらず繁盛している店内へ入ると、さっそくザッカスへ報告してみせた。
「おぉ、さっそく自信作が役に立ったか!」
「はい、お蔭様で。あとは、少し調整をお願いしたいんですけど……」
「わかった、任せときな!」
彼は職人冥利に尽きるといわんばかりに満足げな表情を浮かべると、シノと共に店の奥にある工房へと姿を消す。それからしばらくの間、持ち手の角度がどうだの握りの部分がどうだのという話をし始めた二人だったが、普段武器らしい武器を持たないリエルとセリアはさっぱりといった様子だ。
少しばかり時間もかかりそうだったのでその間二人は店内を見て回っていたが、周囲の客達は彼女らの姿が気になっているようだ。
リエルは背丈的にまだわからないでもないが、セリアは完全に見た目が子どもなので、何故こんな小さな子が武具屋にいるのだろうかと思われていそうである。
当の彼女はそんなことは意にも介さず、手甲の棚などを品定めしていた。やっぱり武闘派なのではないだろうか?
「――――――よし! こんなもんでどうだい?」
「ありがとう御座います、ザッカスさん!」
三十分ほど過ぎた後、杖の調整が終わったザッカスがシノと共に工房から出てきた。先ほどまで持っていた杖には白い樹脂製のグリップが追加されており、より握りやすく改良されていた。
武器を扱う際は、手からすっぽ抜けるのが一番やってはいけないことなので当然の調整といえるだろう。
「お待たせ、二人とも!」
「おかえりなさい、シノさん」
「やっと戻って来たわね。少しばかり退屈だったわ」
言っている割には店内をあちこち見て回っていたようだが、そんなセリアを見て二人は肩を竦め、ザッカスは相変わらず豪快に笑ってみせた。
「がっはっは! 精霊のお嬢ちゃんにとっちゃあ武器はあまり縁がねぇ物かもしれねぇが、いざ物入りになったらいつでも言ってくれよな!」
「まぁ……そうね。もしそんな時が来るのだったら考えとくわ」
既に極星の盾というある意味無敵の防具を持っているのだから、そこに他の武具が必要なのかはさておき。彼女のことだから、見た目を気にしていずれ何か選びそうな感じはする。
三人はザッカスへ向き直って改めて礼を言うと、快活な笑顔に見送られて武具屋を後にするのであった。
◇
西地区を出たシノ達は、再び中央地区の冒険者ギルドへと戻ってきていた。常に何かしらの情報が転がっている場所だし、定期的に覗いておいたほうがいいからである。
クラド村であれば昼下がりの時間帯は人が少ないのだが、さすがに王都ともなるとどの時間帯でも常に冒険者だらけだ。しばらくギルド内を歩き回っていたのだが、シノはある人物の姿を見つけると声をかける。
「こんにちは、ステラさん!」
それは、ギルド内の休憩スペースでお茶を飲んでいたステラであった。シノ達に気付いて顔を上げた彼女は薄く笑みを浮かべる。この広い王都の中でも、それなりに再会はできるものだ。これも冒険者同士ならではといったところか。
「あら、こんにちは。三人とも、例の探索帰りかしら?」
「そうなんですよ! 実はですね――――――」
凄く言いたそうにしているリエルが探索の成果を話してみせると、ステラはそれを終始興味深そうに聞いていた。大精霊セラフに会った下りは若干熱が入っていたように思えるが、そこはご愛敬だろう。
「収穫があったようで何よりね。私も大精霊には会った事がないから……少し羨ましいわ」
「ステラさんのように各地を渡り歩いているベテランの人でも難しいことなんですね……」
「ええ。だからこそ、本当に誇るべきことだと思うわ。精霊であるリエルさんやセリアさんは特にね」
「それは当然よっ! あと、なんかむず痒く思えるからさん付けはやめてよね」
長い旅の中で、世界中を見てきているであろうステラがこう言ってしまうほどだ。此度の出会いは祝杯をあげるだけの価値があると見ていいだろう。
それからステラは少し考え込むように顔を伏せると、
「私はああいう遺跡にあまり興味がないから、今までは見ただけで帰っていたけれど……足を踏み入れることが重要だったのかもしれないわね。もしかすると、私が行っても同じことが起こっていたのかも」
今までの自分を振り返るような感じで言った。確かに、先の探索では祭壇に踏み込んだ瞬間に変化が起こったのだし、それはステラでも同じことが起こった可能性はある。彼女は別に悪人などではないはずだし、大精霊セラフもそれに応えて姿を見せてくれたかもしれない。
だがここで、ステラの言葉を聞いて何かに気付いたセリアは首を傾げると、
「……ん? ちょっと待って。シノと同じってことは……まさかあんたもペリアエ――――――」
驚いたような声と共に何かを言いかけた。その後にどんな言葉が続くのかすぐに分かったシノは、すぐさま彼女の後ろに回ると両手で思いっきり口を塞ぐ。
こんな大勢の人がいる場所で言われてしまってはさすがにマズいからだ。
「んーっ! んーーっ!!」
「え? ど、どういうことですか……?」
急に羽交い絞めにされながら口を塞がれて驚いたのか、子どものように暴れるセリアと、話が見えておらず困惑するリエル。
幸いなことに周囲には聞こえていなかったようで安心したが、この様子だと二人に隠し通すことはさすがに出来なさそうだ。当のステラも自分が迂闊なことを言ったと気付いたのか、しまったといった表情を浮かべている。
「――――――ぷはっ! い、いきなり何すんのよシノ!!!」
「聞かれちゃったら騒ぎになりかねないからだよ! 少しは周囲を気にして!」
「あんたがそれだけ慌ててるってことは、まさか本当に……?」
「シノさんには、二回目に会った時に気付かれてしまったのだけれど……こういうことよ」
周囲の目に注意しつつ、ステラは顔の上半分を隠していた仮面を外してみせた。そこにあった銀色に輝く瞳を見た二人は当然のように驚く。シノにとっては二度目の光景だ。
「まさか、こんなことが……!?」
「ペリアエルフが二人、一同に会してるだなんて……天の悪戯が過ぎるんじゃない?」
シノがこの世界に転生してきたこと自体が天の悪戯といってもいいのだが、それはさて置くとして。世界中のどこを探しても、二人もペリアエルフがいるなんてまずあり得ない状況だろう。
仮面で顔を隠している理由については、二人とも納得してくれたようだ。
「心中お察しします、ステラさん……」
「……ご愁傷様ね。生まれを選べない以上、仕方のないことなのだけれども」
「お気遣い感謝するわ、二人とも。この生き方にも慣れたし、私は平気よ」
困ったような笑みを浮かべて答えるステラだったが、瞳にはどこかしら悲しみにも似た感情が見え隠れしているのをシノは感じ取っていた。
それと同時に、彼女の頭に一つの疑問が浮かぶ。ステラは一体、どこの出身なのだろうかと。
シノ自身も出身をぼやかしているので人のことは言えないのだが、どうしても気になってしまった。
「故郷には……あまり良い思い出がないの。ごめんなさいね」
思い切って訊いてはみたものの、少し物悲しげな表情で返されてしまった。これは深入りしないほうが良いだろう。リエルとセリアもそれは分かっているのか、言及はしなかった。
「それじゃあ、私はそろそろ次の依頼に行ってくるわね。また会いましょう」
ステラは仮面をつけ直した後の席を立つと、三人に別れを告げる。この時間からならば夜間に向けての魔物討伐といったところだろう。ベテランの腕の見せどころだ。
「はい。ステラさんも、どうかお気を付けて」
「ステラさんの秘密は、口外したりしませんので!」
「こう見えて口は堅い方だから、安心しなさいよね」
さっき思わず大声をあげそうになっておきながらどの口が言うかとは思うのだけれども。三人に向けて手を振ったステラは、そのままギルド内の雑踏へと姿を消していった。
残ったシノ達は、今日はこれからどうしたものかと考えていると、
「シノさん、今夜は東地区へ行ってみませんか?」
リエルが何か期待しているような眼差しを向けながら提案してくる。彼女的にはまだまだ王都全体の一割も見れていないので無理もないが。
「東地区か……グランディアの中でも娯楽施設が多い地区だったっけ」
「はい! 王都名物のスイーツも食べられると、宿の人からお話を聞いたので!」
「王都名物って……どんな物なのよ?」
「なんでも、顔ぐらいの大きなリンゴを器に使ったケーキだとか……」
スイーツが目当てだとは、現代女子っぽさがあるなぁとシノは思った。だが、シノもそれはまだ食べたことがないので、彼女としても気になるところではある。
元の世界ではリンゴを一個丸ごと使ったケーキなどは見たことがあったのだが、まさか器に使ってしまうとは異世界の発想には全く驚かされる。
……というか、顔ぐらい大きなリンゴとはなんだろう。突然変異種だったりするのだろうか?
「よし! じゃあ探索の祝杯もまだだったことだし、宿に戻るまでは東地区で店舗巡りといこうか!」
「はい、行きましょうシノさん! セリアさん!」
「ふふんっ! 王都のスイーツがどの程度のレベルか確かめてやろうじゃないの」
席を同時に立った三人は遺跡探索の祝杯――――――もとい女子会のため、東地区へと向かっていくのであった。
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