月歌(げっか)

坂井美月

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運命の出会い③

すると、眼鏡のお姉さんに「お兄ちゃん」と呼ばれていたイケメンが破顔した顔で笑ったのだ。
「やべ、俺泣きそう」
言葉ではそう言ってたけど、嬉しそうに笑っている。
「マジ?お前、相変わらず涙もろいな~」
他の人達に茶化されていたけれど、仲の良いバンドなんだと、見ていて幸せな気持ちになった。
「俺達さ、みんなイケメンじゃないか」
真剣な顔で「お兄ちゃん」と呼ばれていたイケメンが呟く。
…確かに、此処に居る人達はみんな、それぞれが個性の違う顔立ちの綺麗な人が集まっている。私が一人一人の顔を見ていると
「お前、自分でそれ言うか?」
ドラムのスティックらしき物を鞄にしまっている人が笑いながら突っ込んでいる。
「だからさ、顔だけのバンドって言われてて…どんなに練習したって、俺らの実力なんて認めてもらえなくて…」
その人の言葉に、冷やかしていたメンバーの顔が真顔になった。
「カケルが加入して、今度はカケルのお荷物バンドって言われてさ。」
彼の言葉に、カケルと呼ばれているボーカルの人が口を開きかけた。
「でも、素直な子供が認めてくれたんなら俺はそれで良いや」
そう言って笑っていた。
その笑顔は本当に綺麗で、私は思わず見とれていた。
するとその人は私を抱き上げ
「じゃあ、俺達の偉大なる小さなファン一号に、素晴らしいプレゼントを差し上げよう」
そう言うと、彼の膝に私を座らせて
「タケ~、あれ取って」
と、恐らくベースであろう人に叫んだ。
「え?まさか…」
驚いているメンバーを無視して、ケースに入った白CDを私に差し出した。
「?」
不思議に思って見ていると
「これ、まだちゃんとミキシングしてないんだけど…、俺らのCD」
と言って、私の手にCDを握らせたのだ。
「俺らの演奏にカケルの歌をのっけただけのCDなんだけど、上げるよ」
そう言い出したのだ。
「え!でも私、お金無いし…」
戸惑う私に
「プレゼントだよ。ただ、これは絶対に他の人には聞かせないで。まだ、きちんとした商品になってないから。他の奴らには、きちんとした形で聞いて欲しいから…。これは、可愛いファンのきみだけに俺からのプレゼント」
と言ってくれたのだ。
嬉しくて
「うん、約束する!絶対に誰にも聞かせない。それに、お兄さん達のCDが発売されたら、絶対に買いに行くからね!」
私はCDを抱き締めて叫んだ。
このCDにみんながサインを書いてくれて
『ふじま あすみちゃんへ』
と名前を書いて、Blue moon と書かれていた。
でも…彼等はCDを出す事も無く、その後解散したと従妹のお姉ちゃんから聞く。
私の持っているCDは、幻のCDとなった。
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