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似てるけど世界で一番嫌いな奴③
「馬鹿にするも何も、お前が勝手に間違えたんだろうが!」
大好きな「カケル」さんと同じ声が、私を馬鹿にする。
「大体、その何だ?お前の好きな奴。カケルとかいう奴?名前も聞いた事無いわ」
森野さんの言葉に、私はグっと息を飲む。
「もう解散したアマチュアバンドのボーカルです。間違えてすみませんでした。私、顔もちゃんとした名前も覚えてなくて…。バンドの方々が「カケル」って呼んでいた名前しか知らないんです。でも…今まで誰とも間違えなかったのに…」
そう呟いた私に、森野さんは鼻で笑うと
「アマチュア?結局プロにもなれない下手くそなんだろう?くっだらねぇ!」
そう吐き捨てるように言い放ったのだ。
その言葉に、私の中の堪忍袋の緒が切れる音がした。
「何も知らない癖に馬鹿にしないで下さい!そりゃ~、私が出会ったのは10年前ですし、それ以降にライブさえも行ったことないですよ。でもね…カケルさんの声が…歌が私を救ってくれたんです。だから、馬鹿にしないで下さい!」
森野さんを真っ直ぐ見て言い切った私に、杉野チーフが慌てて
「へぇ~。でも、そんなに大切な人と声が似てるなんて、凄い偶然ね。森野君の親戚とかじゃないの?」
とフォローに入った。
すると森野さんは冷めた目で私を見たまま
「アマチュアアバンドの歌が心を救う?馬鹿じゃね~の?そんな素晴らしいお方が、俺と同じ声だって?たかが知れてるな」
って、再び馬鹿にしたのだ。
私は完全に頭に血が上り
「私の事は、何とでも言えば良いです!でも、カケルさんの事を悪く言わないで下さい!カケルさんの歌を聞いた事無いくせに、想像だけで勝手な事を言わないで下さい!」
そう叫んでいた。
森野さんはそんな私を冷めた目で見つめて
「どーせ、見た目だけでチャラチャラした奴なんだろう?想像しなくても分かるわ」
と言い放たれた。
カケルさんの声で言われて、私は悲しくなって来た。
「なんであんたみたいな嫌な奴が、カケルさんと同じ声してる訳?本当にムカつく!」
「悪かったな!俺は生まれてこの方、この声で生きて来てるんだよ!」
「あ~嫌~!カケルさんの声で汚い言葉使わないで!あなたって、態度と同じくらいに言葉遣いが悪いのね!そんな人が、カケルさんと同じ声なんて耐えられない!」
「はぁ?知らねえよ!俺にお前の都合を押し付けんな!」
とまぁ…、私と森野さんは、出会い頭で言い争いをしてしまったのだ。
今思えば…確かに私も悪かったとは思う。思うけどさ…、ずっと大切にしていた人を馬鹿にされたら誰だって怒ると思う。
お蔭で、研修期間中に私と森野さんが口をきく事は一切なかった。
で、私は絶対に玩具売り場には配属されないだろうと思っていたの。
そう…思っていたのだが…。
「柊さんは、玩具売り場ね。で、教育係は森野君だから」
店長が笑顔で私に辞令を手渡した。
「う…そ…」
目の前が真っ暗になる私に
「いや~聞いたで~。出会い頭に喧嘩したんやって?」
店長が楽しそうに笑うと、私の肩をポンっと叩いた。
「店長…せめて教育係を杉野チーフに…」
「ダメ!森野君と仲良くなってな~」
そう言い残し、店長が笑いながら去って行った。
それから…鬼…もとい、森野さんの新人教育が始まったのである。
大好きな「カケル」さんと同じ声が、私を馬鹿にする。
「大体、その何だ?お前の好きな奴。カケルとかいう奴?名前も聞いた事無いわ」
森野さんの言葉に、私はグっと息を飲む。
「もう解散したアマチュアバンドのボーカルです。間違えてすみませんでした。私、顔もちゃんとした名前も覚えてなくて…。バンドの方々が「カケル」って呼んでいた名前しか知らないんです。でも…今まで誰とも間違えなかったのに…」
そう呟いた私に、森野さんは鼻で笑うと
「アマチュア?結局プロにもなれない下手くそなんだろう?くっだらねぇ!」
そう吐き捨てるように言い放ったのだ。
その言葉に、私の中の堪忍袋の緒が切れる音がした。
「何も知らない癖に馬鹿にしないで下さい!そりゃ~、私が出会ったのは10年前ですし、それ以降にライブさえも行ったことないですよ。でもね…カケルさんの声が…歌が私を救ってくれたんです。だから、馬鹿にしないで下さい!」
森野さんを真っ直ぐ見て言い切った私に、杉野チーフが慌てて
「へぇ~。でも、そんなに大切な人と声が似てるなんて、凄い偶然ね。森野君の親戚とかじゃないの?」
とフォローに入った。
すると森野さんは冷めた目で私を見たまま
「アマチュアアバンドの歌が心を救う?馬鹿じゃね~の?そんな素晴らしいお方が、俺と同じ声だって?たかが知れてるな」
って、再び馬鹿にしたのだ。
私は完全に頭に血が上り
「私の事は、何とでも言えば良いです!でも、カケルさんの事を悪く言わないで下さい!カケルさんの歌を聞いた事無いくせに、想像だけで勝手な事を言わないで下さい!」
そう叫んでいた。
森野さんはそんな私を冷めた目で見つめて
「どーせ、見た目だけでチャラチャラした奴なんだろう?想像しなくても分かるわ」
と言い放たれた。
カケルさんの声で言われて、私は悲しくなって来た。
「なんであんたみたいな嫌な奴が、カケルさんと同じ声してる訳?本当にムカつく!」
「悪かったな!俺は生まれてこの方、この声で生きて来てるんだよ!」
「あ~嫌~!カケルさんの声で汚い言葉使わないで!あなたって、態度と同じくらいに言葉遣いが悪いのね!そんな人が、カケルさんと同じ声なんて耐えられない!」
「はぁ?知らねえよ!俺にお前の都合を押し付けんな!」
とまぁ…、私と森野さんは、出会い頭で言い争いをしてしまったのだ。
今思えば…確かに私も悪かったとは思う。思うけどさ…、ずっと大切にしていた人を馬鹿にされたら誰だって怒ると思う。
お蔭で、研修期間中に私と森野さんが口をきく事は一切なかった。
で、私は絶対に玩具売り場には配属されないだろうと思っていたの。
そう…思っていたのだが…。
「柊さんは、玩具売り場ね。で、教育係は森野君だから」
店長が笑顔で私に辞令を手渡した。
「う…そ…」
目の前が真っ暗になる私に
「いや~聞いたで~。出会い頭に喧嘩したんやって?」
店長が楽しそうに笑うと、私の肩をポンっと叩いた。
「店長…せめて教育係を杉野チーフに…」
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それから…鬼…もとい、森野さんの新人教育が始まったのである。
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