20 / 46
すれ違う思い⑨
椅子に腰かけた瞬間、コツンと頭に何かを乗せられる。
「?」
疑問に思って見上げると
「お疲れ様。本番は明日からだけどな」
そう言いながら、森野さんが缶コーヒーをくれた。
そして杉野チーフにも缶コーヒーを投げると
「本当は飲食厳禁だけど…」
と言いながら、商品が置いていない場所へ椅子を移動させて缶コーヒーを開ける。
木月さんはパートさんなので、15:00上がり。
だから、15:00以降は三人での戦いだった。
「毎年思うけど、クリスマス時期は本当に凄いな」
「本当にね…。でも、子供が可愛いから、必死になるお父さんやお母さんの気持ちもわかるけどね…。人気商品は仕入れられる数にも限りがあるからね」
なんとなくブレイクタイムの中、私は声も出せずにぐったりしていた。
「なんだ?柊。こんな程度でへばってるのか?そんなんじゃ、明日と明後日の休日の闘いに負けるぞ」
森野さんが苦笑いしている。
「明日は整理券が居るかもしれないわね」
「あぁ、早めに並んでいる人がいそうですよね。じゃあ、商品は売台に乗せずにストック置き場から出しますか?」
「開店時間と共に整理券を出して、お一人様一つにしましょう」
「クレームになりませんかね?」
「ん~。でも、せっかく足を運んで下さっているお客様に、一つでも多く売りたいじゃない?」
杉野チーフと森野さんの会話を、あんぐりと口を開けて聞くしか出来ない。
今日でも凄かったのに、明日はもっと凄いのかと茫然としていると、森野さんが腕時計を見て
「あ、こんな時間だ。じゃあ、俺は倉庫から明日の商品持ってきますね」
そう言って走って階段を下りて行った。
「さて!私達は売り場の整理をしますかね」
杉野チーフは立ち上がると、売り場へと歩き出す。私も何とか立ち上がり、売り場へ向かうと……凄まじい光景が目に入る。
人が居ると分からないけど、誰も居なくなった売り場に残された様々な残骸。
色々な売り場の物が、見るも無残な姿で置かれている。
おままごとのサンプルの中に、開封予防のテープを強引に剥がした挙句、箱がビリビリに破かれて酷い状態で置き去りにされたガラガラの玩具だったり、2Fのチャイルドで売られている靴が、ビニールから出された状態で置かれていたり。
1Fレジ横で売っているお菓子が玩具の陳列棚の中に置かれていたり…。
玩具売り場の商品で破損した商品と、他の売り場の商品とを分けてかごに入れて回る。
売台の下に箒を掛けると、万引きした残骸の箱が落ちて居たりもする。
溜息着きながら売り場を整理し終えた頃、森野さんの声が店内放送で流れて来た。
『3F玩具売り場、3F玩具売り場。商品上げました。お願いします』
私と杉野チーフがエレベーターの前で待機すると、ドアが開きパンパンに詰められた商品が崩れて来る。
「うわ!」
っと慌てた瞬間、階段の駆け上る音と共に森野さんが落ちかけた商品をキャッチした。
「柊、商品を絶対に落とすな!」
ギロっと睨まれて「すみません」と謝るのも聞かず、森野さんが段ボールをどんどん荷下ろしをしてまた駆け下りて行った。
私と杉野チーフは、取り敢えず来た商品を売り場へと運んで行く。
その頃には、他の売り場の社員も手伝いにぞろぞろと現れた。
「じゃあ、俺達は荷下ろしやるから、杉ちゃん達はどんどん品出しして」
2Fチャイルド担当の山岸さんが指示すると、私と杉野チーフは売り場へテープを持って走って移動。
段ボールを開けて、シールを貼る。
貼り終わったら売り場へ出す。
この繰り返しを何度かしている間にも
「3F玩具売り場、荷 物上がります」
の森野さんの声が聞こえる。
声のすぐ後に、階段を駆け上る足音が近づく。
「?」
疑問に思って見上げると
「お疲れ様。本番は明日からだけどな」
そう言いながら、森野さんが缶コーヒーをくれた。
そして杉野チーフにも缶コーヒーを投げると
「本当は飲食厳禁だけど…」
と言いながら、商品が置いていない場所へ椅子を移動させて缶コーヒーを開ける。
木月さんはパートさんなので、15:00上がり。
だから、15:00以降は三人での戦いだった。
「毎年思うけど、クリスマス時期は本当に凄いな」
「本当にね…。でも、子供が可愛いから、必死になるお父さんやお母さんの気持ちもわかるけどね…。人気商品は仕入れられる数にも限りがあるからね」
なんとなくブレイクタイムの中、私は声も出せずにぐったりしていた。
「なんだ?柊。こんな程度でへばってるのか?そんなんじゃ、明日と明後日の休日の闘いに負けるぞ」
森野さんが苦笑いしている。
「明日は整理券が居るかもしれないわね」
「あぁ、早めに並んでいる人がいそうですよね。じゃあ、商品は売台に乗せずにストック置き場から出しますか?」
「開店時間と共に整理券を出して、お一人様一つにしましょう」
「クレームになりませんかね?」
「ん~。でも、せっかく足を運んで下さっているお客様に、一つでも多く売りたいじゃない?」
杉野チーフと森野さんの会話を、あんぐりと口を開けて聞くしか出来ない。
今日でも凄かったのに、明日はもっと凄いのかと茫然としていると、森野さんが腕時計を見て
「あ、こんな時間だ。じゃあ、俺は倉庫から明日の商品持ってきますね」
そう言って走って階段を下りて行った。
「さて!私達は売り場の整理をしますかね」
杉野チーフは立ち上がると、売り場へと歩き出す。私も何とか立ち上がり、売り場へ向かうと……凄まじい光景が目に入る。
人が居ると分からないけど、誰も居なくなった売り場に残された様々な残骸。
色々な売り場の物が、見るも無残な姿で置かれている。
おままごとのサンプルの中に、開封予防のテープを強引に剥がした挙句、箱がビリビリに破かれて酷い状態で置き去りにされたガラガラの玩具だったり、2Fのチャイルドで売られている靴が、ビニールから出された状態で置かれていたり。
1Fレジ横で売っているお菓子が玩具の陳列棚の中に置かれていたり…。
玩具売り場の商品で破損した商品と、他の売り場の商品とを分けてかごに入れて回る。
売台の下に箒を掛けると、万引きした残骸の箱が落ちて居たりもする。
溜息着きながら売り場を整理し終えた頃、森野さんの声が店内放送で流れて来た。
『3F玩具売り場、3F玩具売り場。商品上げました。お願いします』
私と杉野チーフがエレベーターの前で待機すると、ドアが開きパンパンに詰められた商品が崩れて来る。
「うわ!」
っと慌てた瞬間、階段の駆け上る音と共に森野さんが落ちかけた商品をキャッチした。
「柊、商品を絶対に落とすな!」
ギロっと睨まれて「すみません」と謝るのも聞かず、森野さんが段ボールをどんどん荷下ろしをしてまた駆け下りて行った。
私と杉野チーフは、取り敢えず来た商品を売り場へと運んで行く。
その頃には、他の売り場の社員も手伝いにぞろぞろと現れた。
「じゃあ、俺達は荷下ろしやるから、杉ちゃん達はどんどん品出しして」
2Fチャイルド担当の山岸さんが指示すると、私と杉野チーフは売り場へテープを持って走って移動。
段ボールを開けて、シールを貼る。
貼り終わったら売り場へ出す。
この繰り返しを何度かしている間にも
「3F玩具売り場、荷 物上がります」
の森野さんの声が聞こえる。
声のすぐ後に、階段を駆け上る足音が近づく。
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
背徳の恋のあとで
ひかり芽衣
恋愛
『愛人を作ることは、家族を維持するために必要なことなのかもしれない』
恋愛小説が好きで純愛を夢見ていた男爵家の一人娘アリーナは、いつの間にかそう考えるようになっていた。
自分が子供を産むまでは……
物心ついた時から愛人に現を抜かす父にかわり、父の仕事までこなす母。母のことを尊敬し真っ直ぐに育ったアリーナは、完璧な母にも唯一弱音を吐ける人物がいることを知る。
母の恋に衝撃を受ける中、予期せぬ相手とのアリーナの初恋。
そして、ずっとアリーナのよき相談相手である図書館管理者との距離も次第に近づいていき……
不倫が身近な存在の今、結婚を、夫婦を、子どもの存在を……あなたはどう考えていますか?
※アリーナの幸せを一緒に見届けて下さると嬉しいです。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??