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月歌③
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大きなホールを埋め尽くす人、人、人。
色とりどりのライトに照らされて歌う森野さんの姿。
「本当に手の届かない人になっちゃったな…」
溜息交じりに呟くと
「お前…本当に言う事聞かないよな…」
そう呟く森野さんの声が聞こえて、慌てて声の方へと視線を向ける。
月明りに照らされて、森野さんの姿がそこにあった。
「なんで?」
驚いて立ち上がる私に、森野さんは苦笑いをしながら
「お前が、素直に言われた通りに楽屋に来ると思う訳無いだろう?」
随分な言われように口を開きかけた瞬間、森野さんに抱き締められる。
一瞬、何が起こっているのか分からなかった。
「柊…、今から話す事を黙って聞いてくれないか?」
いつになく真剣な森野さんの声に、私は小さく頷く事しか出来ない。
初めて抱き締められた森野さんの胸は広く、ドキドキと鳴る森野さんの心臓の音が、私と同じように緊張を伝えていて何も言えなくなる。
私が座っていたベンチに腰掛けると、森野さんは空を見上げてポツリポツリと話し出す。
「俺は清香を失ってから、かなり荒んだ生活をしていたんだ。女もたくさん泣かせて来た」
森野さんの後半の言葉に胸がズキっと痛む。
隣で空を見上げて話している森野さんは、本当に女性なら誰もが惹かれる容姿をしている。
その上話す声も綺麗だから…、そういう状況は安易に予想出来た。
でも、予想しているのと実際に聞くとなると、やっぱり好きな人からは聞きたくない言葉だった。
森野さんの言葉に私が俯くと
「軽蔑するか?」
森野さんの不安に揺れる瞳と目が合う。
「軽蔑は…しないです。森野さんなら、女性が放っておかないのも分かりますし…」
漆黒の瞳に見つめられると、言葉が喉に詰まったように出てこない。
必死に絞り出した言葉に、森野さんは私から視線を外して再び空を見上げた。
「そんな俺が立ち直ったきっかけは、お前だった」
森野さんの言葉に、思わず森野さんの顔を見つめる。
空を見上げたまま、森野さんは小さく微笑むと
「お前さ…、俺にファンレターくれただろう?」
突然言われて記憶が蘇る。
CDをもらってから、従妹のお姉ちゃんにカケルさんの歌が大好きな事。
両親の離婚が決まって、転居しなくてはならなくなった事。
でも、カケルさんの歌があるから頑張れるって色々書いた手紙を託していたのを思い出す。
もう、穴があったら入りたいくらいに恥ずかしい気持ちで顔が熱くなっていく。
「一番荒んでた時に、偶然、お前のその手紙が出て来たんだ。もうさ…封筒がぶ厚くて、お前の気持ちがびっしり書かれた手紙。久しぶりに読んで…、荒んだ生活をしている自分が恥ずかしくなった」
羞恥心で逃げ出したい気持ちの私とは裏腹に、森野さんは優しい笑顔を浮かべてそう続けた。
「え?」
思わず呟いた私に
「あのお店ってさ、出会った頃のお前みたいな子がたくさん来てるだろう?欲しい玩具を見つけて、嬉しそうにキラキラ瞳を輝かせて…。いつしか、あの時の子が『しっかりしろ!』って背中を押してくれてるような気持ちになっんだ」
森野さんが私を見詰めてそう呟く。
「いつだって…、俺はお前の存在に助けれられてた。あの店で働くようになって、あの時の子と偶然再会する事があった時に、恥ずかしくない自分で居ようと思えたんだ」
「嘘…」
驚いて私を見詰める森野さんを見つめ返す。
「それからしばらくして…、やたら生意気な女が現れて…」
森野さんはそう言うと、私から視線を外して思い出したようにフッと微笑んだ。
色とりどりのライトに照らされて歌う森野さんの姿。
「本当に手の届かない人になっちゃったな…」
溜息交じりに呟くと
「お前…本当に言う事聞かないよな…」
そう呟く森野さんの声が聞こえて、慌てて声の方へと視線を向ける。
月明りに照らされて、森野さんの姿がそこにあった。
「なんで?」
驚いて立ち上がる私に、森野さんは苦笑いをしながら
「お前が、素直に言われた通りに楽屋に来ると思う訳無いだろう?」
随分な言われように口を開きかけた瞬間、森野さんに抱き締められる。
一瞬、何が起こっているのか分からなかった。
「柊…、今から話す事を黙って聞いてくれないか?」
いつになく真剣な森野さんの声に、私は小さく頷く事しか出来ない。
初めて抱き締められた森野さんの胸は広く、ドキドキと鳴る森野さんの心臓の音が、私と同じように緊張を伝えていて何も言えなくなる。
私が座っていたベンチに腰掛けると、森野さんは空を見上げてポツリポツリと話し出す。
「俺は清香を失ってから、かなり荒んだ生活をしていたんだ。女もたくさん泣かせて来た」
森野さんの後半の言葉に胸がズキっと痛む。
隣で空を見上げて話している森野さんは、本当に女性なら誰もが惹かれる容姿をしている。
その上話す声も綺麗だから…、そういう状況は安易に予想出来た。
でも、予想しているのと実際に聞くとなると、やっぱり好きな人からは聞きたくない言葉だった。
森野さんの言葉に私が俯くと
「軽蔑するか?」
森野さんの不安に揺れる瞳と目が合う。
「軽蔑は…しないです。森野さんなら、女性が放っておかないのも分かりますし…」
漆黒の瞳に見つめられると、言葉が喉に詰まったように出てこない。
必死に絞り出した言葉に、森野さんは私から視線を外して再び空を見上げた。
「そんな俺が立ち直ったきっかけは、お前だった」
森野さんの言葉に、思わず森野さんの顔を見つめる。
空を見上げたまま、森野さんは小さく微笑むと
「お前さ…、俺にファンレターくれただろう?」
突然言われて記憶が蘇る。
CDをもらってから、従妹のお姉ちゃんにカケルさんの歌が大好きな事。
両親の離婚が決まって、転居しなくてはならなくなった事。
でも、カケルさんの歌があるから頑張れるって色々書いた手紙を託していたのを思い出す。
もう、穴があったら入りたいくらいに恥ずかしい気持ちで顔が熱くなっていく。
「一番荒んでた時に、偶然、お前のその手紙が出て来たんだ。もうさ…封筒がぶ厚くて、お前の気持ちがびっしり書かれた手紙。久しぶりに読んで…、荒んだ生活をしている自分が恥ずかしくなった」
羞恥心で逃げ出したい気持ちの私とは裏腹に、森野さんは優しい笑顔を浮かべてそう続けた。
「え?」
思わず呟いた私に
「あのお店ってさ、出会った頃のお前みたいな子がたくさん来てるだろう?欲しい玩具を見つけて、嬉しそうにキラキラ瞳を輝かせて…。いつしか、あの時の子が『しっかりしろ!』って背中を押してくれてるような気持ちになっんだ」
森野さんが私を見詰めてそう呟く。
「いつだって…、俺はお前の存在に助けれられてた。あの店で働くようになって、あの時の子と偶然再会する事があった時に、恥ずかしくない自分で居ようと思えたんだ」
「嘘…」
驚いて私を見詰める森野さんを見つめ返す。
「それからしばらくして…、やたら生意気な女が現れて…」
森野さんはそう言うと、私から視線を外して思い出したようにフッと微笑んだ。
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