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月歌④
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「いきなり俺の声を聞くなり、『カケルさん!』って叫ぶし…。あの店では、過去の事を封印していたから本当に焦った」
「知らなかったとは言え…すみませんでした」
森野さんの言葉に小さくなると、森野さんは大きな手で私の頭をガシガシ撫でて
「嫌…。その後、お前が屋上で大の字になって俺達の歌を口ずさんでいたのを見て、もしかして…って思い始めた。」
森野さんと親しくなるきっかけの出来事を思い出し、再び顔が赤くなる。
「もう!それは忘れて下さい!」
森野さんの肩を叩こうとした手を、森野さんの手が掴む。
真剣な眼差しが私を見詰めて
「お前の部屋で俺達のCDを見て、お前があの時の女の子だって確信してショックだった。何でか分かるか?」
森野さんが聞いて来た。
私は森野さんの瞳に見つめられ、又、声が出なくなり必死に首を横に振って答える。
すると森野さんは
「負けず嫌いで…、何に対しても一生懸命なお前に惹かれてた。でも…俺は清香の事があったから、お前を好きになる事を否定し続けていたんだ」
そう言って悲しそうに瞳を揺らす。
「俺に…誰かを好きになる資格なんて無いと思ってた」
この言葉に…、いつだったか森野さんが店長と話していた言葉を思い出す。
『俺があいつを好きになる事は無い』
あれは…そういう意味だったんだ…。
ぼんやりと考えていると
「でも…お前があの時の女の子だって知って…、尚更、手を出してはいけないと思ったんだよ」
ここまで話すと、私の腕を掴んでいた森野さんの手がゆっくりと離れる。
「もう…誰も好きにならないと思ってた。でも、いつしかお前の笑顔や俺に突っかかる姿に安心できる自分が居て…。気が付くと、お前を目で追ってる自分が居た。自分の気持ちに気付いた時は、本当に苦しかった」
両手で顔を覆い、森野さんは吐き出すようにここまで話すと
「こんな情けない奴で…ガッカリしただろう?」
そう言って小さく笑う。
私は必死に首を横に振って、顔を覆っていた森野さんの手に触れた。
触れた森野さんの手は小さく震えている。
きっと…自分の胸の内を話す事は、森野さんにとって苦しい事なんだろう。
「あのね…森野さん。私ね、森野さんがカケルさんでも、そうでなくても良かったんです。だって…私が好きになったのは…過去に出会ったカケルさんじゃなくて、あのお店で出会った森野翔太という人間だから…。森野さんの仕事への姿、本当に尊敬してました。尊敬から恋愛感情へ移行するのなんて、簡単でしたよ。でもね、今の森野さんを作って来た過去なら、私は過去も現在も…未来も…全部ひっくるめて森野さんが好きです」
真っ直ぐ伝えた私の言葉に、森野さんは泣き笑いのような顔をすると
「お前…凄い殺し文句だな…」
そう言ってきつく抱き締めた。
「ごめん…。俺、お前の事、やっぱり手放す気ないわ」
と囁いた。
「え?」
驚いて森野さんを見上げた瞬間、森野さんの唇が私の唇に触れた。
驚いて固まっている私に
「柊…愛してる」
大好きな声で…瞳で…笑顔で…森野さんがそう囁いた。
私は信じられない気持ちと嬉しさで、涙が溢れて来た。
私を見詰める森野さんの瞳が優しく細められる。
「昔の俺は…、たった一人の恋人も守れないガキだった。でも…今は違う。お前一人くらい、守り抜いてみせる。だから、側に居てくれないか?」
涙が止まらない中、森野さんの言葉に顔も気持ちもぐちゃぐちゃになる。
そんな私に、森野さんは悪戯っ子のような目をして
「まぁ…たとえお前が嫌だと言っても、もう手放す気無ぇけどな」
そう言って微笑む。
私は涙で歪む視界がうっとおしくて、両手で涙を拭いながら
「森野さんこそ…後悔しても知りませんよ!」
必死に声を絞り出してそう叫んだ。
すると森野さんは
「望むところだ」
って言うと、『コツン』っと私の額に自分の額を当ててそう答えて、再びゆっくりと抱き締めた。
森野さんの腕の中で、私はふと夜空を見上げる。
夜空で輝く星や月が…、まるで私達を祝福してくれているかのように輝いていた。
私の長い片想いは、今、こうして終わりを告げた。
そしてこれから、私と森野さんの新しい関係が始まる。
きっとこの先、何かある度に私はこの夜空を思い出すんだろう。
月の光がまるで…私達を包み込むように光り輝いているこの夜空を…。
~完~
「知らなかったとは言え…すみませんでした」
森野さんの言葉に小さくなると、森野さんは大きな手で私の頭をガシガシ撫でて
「嫌…。その後、お前が屋上で大の字になって俺達の歌を口ずさんでいたのを見て、もしかして…って思い始めた。」
森野さんと親しくなるきっかけの出来事を思い出し、再び顔が赤くなる。
「もう!それは忘れて下さい!」
森野さんの肩を叩こうとした手を、森野さんの手が掴む。
真剣な眼差しが私を見詰めて
「お前の部屋で俺達のCDを見て、お前があの時の女の子だって確信してショックだった。何でか分かるか?」
森野さんが聞いて来た。
私は森野さんの瞳に見つめられ、又、声が出なくなり必死に首を横に振って答える。
すると森野さんは
「負けず嫌いで…、何に対しても一生懸命なお前に惹かれてた。でも…俺は清香の事があったから、お前を好きになる事を否定し続けていたんだ」
そう言って悲しそうに瞳を揺らす。
「俺に…誰かを好きになる資格なんて無いと思ってた」
この言葉に…、いつだったか森野さんが店長と話していた言葉を思い出す。
『俺があいつを好きになる事は無い』
あれは…そういう意味だったんだ…。
ぼんやりと考えていると
「でも…お前があの時の女の子だって知って…、尚更、手を出してはいけないと思ったんだよ」
ここまで話すと、私の腕を掴んでいた森野さんの手がゆっくりと離れる。
「もう…誰も好きにならないと思ってた。でも、いつしかお前の笑顔や俺に突っかかる姿に安心できる自分が居て…。気が付くと、お前を目で追ってる自分が居た。自分の気持ちに気付いた時は、本当に苦しかった」
両手で顔を覆い、森野さんは吐き出すようにここまで話すと
「こんな情けない奴で…ガッカリしただろう?」
そう言って小さく笑う。
私は必死に首を横に振って、顔を覆っていた森野さんの手に触れた。
触れた森野さんの手は小さく震えている。
きっと…自分の胸の内を話す事は、森野さんにとって苦しい事なんだろう。
「あのね…森野さん。私ね、森野さんがカケルさんでも、そうでなくても良かったんです。だって…私が好きになったのは…過去に出会ったカケルさんじゃなくて、あのお店で出会った森野翔太という人間だから…。森野さんの仕事への姿、本当に尊敬してました。尊敬から恋愛感情へ移行するのなんて、簡単でしたよ。でもね、今の森野さんを作って来た過去なら、私は過去も現在も…未来も…全部ひっくるめて森野さんが好きです」
真っ直ぐ伝えた私の言葉に、森野さんは泣き笑いのような顔をすると
「お前…凄い殺し文句だな…」
そう言ってきつく抱き締めた。
「ごめん…。俺、お前の事、やっぱり手放す気ないわ」
と囁いた。
「え?」
驚いて森野さんを見上げた瞬間、森野さんの唇が私の唇に触れた。
驚いて固まっている私に
「柊…愛してる」
大好きな声で…瞳で…笑顔で…森野さんがそう囁いた。
私は信じられない気持ちと嬉しさで、涙が溢れて来た。
私を見詰める森野さんの瞳が優しく細められる。
「昔の俺は…、たった一人の恋人も守れないガキだった。でも…今は違う。お前一人くらい、守り抜いてみせる。だから、側に居てくれないか?」
涙が止まらない中、森野さんの言葉に顔も気持ちもぐちゃぐちゃになる。
そんな私に、森野さんは悪戯っ子のような目をして
「まぁ…たとえお前が嫌だと言っても、もう手放す気無ぇけどな」
そう言って微笑む。
私は涙で歪む視界がうっとおしくて、両手で涙を拭いながら
「森野さんこそ…後悔しても知りませんよ!」
必死に声を絞り出してそう叫んだ。
すると森野さんは
「望むところだ」
って言うと、『コツン』っと私の額に自分の額を当ててそう答えて、再びゆっくりと抱き締めた。
森野さんの腕の中で、私はふと夜空を見上げる。
夜空で輝く星や月が…、まるで私達を祝福してくれているかのように輝いていた。
私の長い片想いは、今、こうして終わりを告げた。
そしてこれから、私と森野さんの新しい関係が始まる。
きっとこの先、何かある度に私はこの夜空を思い出すんだろう。
月の光がまるで…私達を包み込むように光り輝いているこの夜空を…。
~完~
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