【完結】悪徳領主の一途な偏愛

大河

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3章

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 エドガーの腕の中、サイラスは長く続く絶頂を迎えていた。

 強烈な快楽の余韻が全身を駆け抜け、甘美な疲労感に包まれる。荒い息を整えながら、サイラスはエドガーの顔を見上げた。見ると彼は強い興奮を帯びた目でサイラスを見つめており、その下半身はズボン越しでも判別できるほど、はち切れんばかりに膨張していた。

「ほう、触れてもいないのに、随分とそこに血をたぎらせたものだ」

 見透かすような視線で、エドガーの膨らんだ下半身を見やる。その挑発的な眼差しに、エドガーの頬は夕日の色を受けてなお赤く染まった。

「私の姿を前にそんなにも勃たせておいて、今さら男は抱けないなどとは言うまいな?」

 念を押すような口調で問いかける。エドガーは困ったような、それでいてバツが悪そうな顔を見せた。

「……貴方の姿に、理性を失いました。お許しください」

 その言葉にサイラスは軽く笑う。

「構わぬ。私が煽ったことだからな。むしろ、お前が反応を見せなければ、私はこの退屈な夜をどう過ごせばよいのか途方に暮れていたところだ」

 エドガーはまだ躊躇いを見せる。その表情には、貴族である自分に手を出すことへの畏れと、それでも抑えきれない欲望とが入り混じっているように見えた。

「本当にいいのですか」
「くどい」

 サイラスは即座に切り返した。

「私が望んだのだ。さあ、その服の下で勃ち上がっているそれで、早く私の身体を貫いてみせろ」

 わざと煽るように告げる。その言葉を受けてエドガーはそのズボンを脱いだ。そこから現れたのは、想像以上に大きい男の象徴だった。既にそこはしっかりと硬く張り詰めており、血管が浮き出ている様は実に生々しい。

 その怒張を自らの手で支え、エドガーはサイラスのもとへと近づいてくる。だが、そこでエドガーはためらうように声を落とした。

「このままの体勢で……続けてもよろしいのでしょうか?」

 そこで改めて、サイラスは自分がいま、執務室の机の上で身体を広げていたことを思い出す。

 しかし、もう抑えられない。興奮はとうに限界を越えていた。今すぐにでも、あの熱の塊を受け入れることしか考えられなかった。寝室へ移る余裕などあるはずもない。

 そのため、サイラスは机の端に身体を移動させ、その位置で大きく股を開いた。自ら足を手で支え、立ったままエドガーが挿入できるよう調節する。

「構わない。この高さならお前も入れやすいだろう」
「……分かりました」

 息を呑む音とともに、たぎる先端が秘奥へ押し当てられる。

 サイラスの心臓が激しく高鳴った。ついに、この男の熱を受け入れる時が来たのだ。期待に、入り口がヒクヒクと戦慄くのを自分でも感じる。

 そして次の瞬間、エドガーはその張り詰めた先端をサイラスの中へ力強く、ゆっくりと侵入させた。

「ああっ、凄い、大きぃッ……!」

 思わず嬌声を上げる。指など比べものにならないほどの太さを持つものが、サイラスの隘路にメリメリと入り込んでいく。

 事前に指で慣らしたとはいえ、エドガーのものは想像以上に大きかった。それが奥に奥にと進むたび、息が詰まるような痛みが走る。

 だが、それ以上にえも言われぬ喜びが全身を駆け抜けた。熱く、大きいエドガーの猛りが自分を貫いている。その事実に歓喜が震えとなって現れ、サイラスの頬を涙が伝う。

「ああ、痛っ……あ、あ……ッ!」

 涙に気づいたのか、エドガーの動きが止まる。

「すみません、痛いのでしたらすぐ抜いて……」

 離れようとする気配に、サイラスはすぐさま足を絡めてその腰を捕らえた。

「いい、抜くな……っ! 気持ちよくて涙が出たのだ、このまま続けろ」

 命じられたエドガーは息を呑み、一瞬の躊躇いとともにその動きを止めた。だが次の瞬間、エドガーは何かを決意したかのような顔をしたかと思うと、容赦なく奥底まで一気にその身体を突き立てた。

「あ、あぁぁぁッ!」

 サイラスは衝撃に目を見開く。腰を弓なりに反らし、悲鳴にも似た嬌声を上げる。肌と肌が密着し、奥の奥まで貫かれているのが分かった。エドガーの熱い体温が、サイラスの内側に直接伝わってくる。

 震える体を支えながら顔を上げると、エドガーの瞳には興奮と戸惑いが入り混じっているように見えた。

「さて。……初体験の感想はいかがかな?」

 問いかけると、返ってきた声は熱に浮かされて震えていた。

「……正直、信じられないほど、気持ちがいいです。熱くて、奥がまるで、生きているかのように俺のものを締め付けて……」

 あまりに素直な言葉に、サイラスは満足げに唇を吊り上げる。

「動いてみたいか?」

 問いに、エドガーは小さく頷いた。その仕草には、もう迷いは消えていた。

「何を躊躇う。良い、好きなだけ暴れてみろ。貴様のその熱い体で、私の奥を、さらに強く貫いてみせろ」

 エドガーはサイラスの腰から一度熱い肉体を抜いた。粘りつくような音を立てて入口まで引き抜いたかと思うと、容赦なくそれを再び最奥まで穿つ。熱い塊が、一気に奥底の敏感な場所を突き上げる。内臓を押し上げられるような深さに息を呑んだ。悲鳴すら忘れ、視界が白む。

 エドガーはサイラスの腰を抱きかかえたまま、猛る熱を何度も肉壁に擦りつけてくる。鈍い痛みと奔流のような快感が入り交じり、サイラスの意識は朦朧とした。

「あ……っ、ああ……っ」

 熱に浮かされ、思わず声が漏れる。

 その声を聞き、エドガーが困惑を滲ませて口を開いた。

「……どうか、そのような声で俺を煽らないでください。貴方のその声は、俺の理性を吹き飛ばしてしまう」

 息を荒げるエドガーの言葉に、サイラスは笑みを浮かべて返す。

「なんだ、まだ、自分を抑えるだけの理性があるというのか。ならば、その残された最後の枷を、私の声で、私の快楽で、すべて吹き飛ばしてやろう」

 下腹に力を込め、奥深く突き立てられた熱をぎゅうと締め上げる。

「……ッ!」

 苦しげな声をあげるエドガー。その顔に浮かぶ苦悶の表情を愉しみながら、サイラスは自らの収縮でさらに怒張が膨れ上がっていくのを感じ取った。

 睨み返すようにエドガーが言葉を吐く。

「……もう、どうなっても責任はとれません!」

 次の瞬間、獣のような勢いで突き込まれる。突然の激しい動きに、サイラスは思わず机の端を強く掴んだ。エドガーの容赦ない衝動を受け、サイラスはいよいよ何も考えられなくなった。身体がのけぞり、奥の襞を力任せに抉られるような衝撃に、サイラスの喉から短い呻きが漏れる。

 その時である。激しい連動の中、熱い怒張が腰の角度を変え、サイラスの中のある一点に触れた。

「あっ……あ、んぁっ、ああっ……!」

 明らかに今までとは違う、甘く、それでいて悲痛な反応を見せるサイラス。それは先ほど、エドガーが指で探し当てた、サイラスの秘められた快楽の場所だった。

「ここが、貴方が先ほど教えてくださった快楽を感じる場所ですか?」

 エドガーは執拗にそこを責め立てる。敏感なその一点が擦られるたび、息が止まるような快楽がサイラスの全身を襲った。

「や……ひぅっ、あ、あっ……!」
「俺の動きは……貴方の望む快楽を与えていますか?」

 耳元で低く囁きながら、なおも容赦なく腰を打ち付けてくる。

「ああ……っ、最高だ……! そのまま、私を、もっと深く……!」

 それから益々エドガーの動きが激しくなったが、サイラスはもう、まともに状況を考えることはできなくなっていた。既に痛みは強すぎる快楽によって上書きされ、激しい動きに翻弄されるまま、サイラスは声を抑えることなく嬌声を上げ続ける。

 エドガーが高みに至ろうとしていることに気づき、サイラスは自分も同じ境地に至るべく、既に固く張り詰めていた自身の性器に、震える手を伸ばす。そしてそれを、慣れた手つきで弄り始めた。

「ああ……っ、ぁ、イイっ……!」

 自ら乱れるサイラスの姿を見たエドガーの動きは、ますます激しさを増した。

 彼はサイラスの細い腰を強く掴むと、熱に浮かされたような勢いで、奥を熱心に穿ち続ける。硬く膨張した肉塊がサイラスの敏感な内壁を執拗に擦り上げ、全身の血を沸騰させるような快感を強引に引き出していく。

 サイラスは快感に全身を震わせながら、もはや喘ぎ声さえ形にならなかった。

「領主様、もう……っ」

 エドガーが苦し気な声を上げたとき、サイラスの中で、彼を貫く塊が一層質量を増したような感覚を覚えた。

 自分を抱くエドガーの筋肉が硬直したのを感じると同時に、熱い飛沫がサイラスの中へと放たれる。

 その衝撃に耐えきれず、サイラスもまた絶頂へと達した。

「あ、ああぁぁぁッ!」

 口から叫び声を上げながら、自身が握っていたそこから白い白濁が勢いよくほとばしり、サイラスの腹を汚す。

 絶頂の余韻で息を荒くし、机の上でぐったりと横たわるサイラス。そんな彼に対し、エドガーは抱き上げ行為の余韻に浸るような甘いキスを交わした。

 優しく唇を重ね、舌先でそっと触れ合う。先ほどまでの激しさとは正反対の、まるで愛おしむかのような口づけ。その温かさに、サイラスの胸が甘く疼く。

 その唇が離された後、サイラスは眉を跳ね上げた。

「随分とサービスがいいことだな」

 挑発めいた言葉に、エドガーははっとしたように距離を取った。

「……すみません、出過ぎた真似をしました」

 殊勝に頭を下げる姿に、サイラスは声を立てて笑う。

「今さらだな。あれだけ激しく抱いておいて、たかがキスで出過ぎたも何もないだろう」

 わざと軽口を叩き、さらに続ける。

「それに私はキスが好きだ。先ほどのように甘いものは特にな。私に媚びを売りたいというのだったら、もっとサービス過剰になるべきだな」

 からかうように告げると、エドガーは困ったように微笑んだ。そして再び唇を重ねてくる。

 それは媚びるというより、愛を確かめ合うような甘いキスだった。

 それにサイラスはくすぐったさを覚えながらも、目を閉じそのキスの甘さに素直に酔いしれた。
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