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9章
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商業都市から帰還して、三日が経った。
帰ってからも変わらず、夜になるたびにエドガーは屋敷を訪れている。契約通り、サイラスを抱く日々を続けていた。
だが厄介なことに、あの商業都市への数日間の旅を経てから、どうにも彼のことに心が惹かれてしまっていることを自覚せざるを得なくなっていた。
旅路で見せた彼の自然な笑顔。興味深そうにエドガーの話を聞く姿。ガラス工房復活への真摯な思い。そのすべてが、エドガーの心に深く刻まれてしまった。
だが、彼との関係はあと二週間ほどで終わりだ。契約の期間さえ過ぎてしまえば、彼と自分は身分が違うのだ。後腐れのない別れができるだろう。
頭では、そう割り切るべきだと理解していた。しかし、胸の奥では何かが軋むような音を立て、エドガーは日に日にその痛みを無視することが難しくなっていた。
そんな複雑な気持ちを抱きつつ、今日もエドガーは屋敷を訪れた。しかし、珍しいことにサイラスの姿が見当たらない。
「申し訳ございません」
出てきた執事が恐縮そうに頭を下げる。
「サイラス様は朝方から仕事で屋敷の外に調べものをしに行かれたまま、まだお戻りになっておりません。ちょうど王都から商人様もお見えになっておりますので、よろしければ彼と共に客室でお待ちいただけますでしょうか」
「そうですか……」
エドガーは困惑した。いつもなら書斎で執務をしているか、自室で彼を待っているはずなのに。だが、他に選択肢もない。エドガーは素直に頷いた。
客室に案内されると、そこには先客がいた。栗色の巻き毛が特徴的な、どこか犬のような雰囲気の若い男だ。エドガーが客室に通されたのを見るや、彼は元気に話しかけてきた。
「あれ、サイラスに俺以外のお客さんが来るなんて珍しい!」
彼の姿を見て、エドガーはどこかで見たような気になった。そういえば数日前、畑で作業をしている時に見かけたような……。
あの時、隣にいた男が言っていた言葉を思い出す。彼は王都で商売をしている商人だと。
対するアランは好奇心を隠そうともせず、じろじろとエドガーを観察している。そして、はっと何かに思い至ったように手を叩いた。
「そうか、君が今のサイラスの夜の相手役か!」
その言葉に、エドガーは思わず眉を顰めた。夜の相手という響きに性的なことを指すニュアンスを感じ、警戒心を隠さずに問いただす。
「……お前は、サイラス様とどういう関係だ?」
不躾な態度のエドガーに怒ることもなく、彼は軽やかに答えた。
「失礼。俺は王都で商売をやってるアランだ。サイラスとは昔からの付き合いでね。儲け話があれば、こうしてたまに顔を出す関係だよ」
しかし、どこか挑発するような口調で言葉を続ける。
「──あと、サイラスが王都にいた時は、ちょっと身体の関係もあったけど」
「なっ……!」
エドガーはそれを聞き、反射的に頭にサッと血が昇るのを自覚する。胸に得体の知れない不快な気持ちが湧き上がり、エドガーは自分の感情に戸惑った。
この感情は──恐らく、嫉妬だ。
サイラスとは契約で結ばれただけの関係のはずだ。それなのに彼が他の男と肌を重ねていたという事実が、なぜこれほど自分を苦しめるのだろう。理性では理解できない感情が胸の奥で渦を巻き、エドガーは拳を無意識に強く握りしめた。
アランはそんなエドガーの顔を見て、ひらひらと軽く手を振る仕草を見せる。
「ああ、そんなに怖い顔をするなって。大丈夫、今は彼とはそういう関係はなくって、ただの仕事仲間ってだけだから」
エドガーはなおも訝しそうに彼を見つめた。
「どうして自分と彼の関係を知っている。サイラス様から聞いたのか」
「直接的には聞いてないけど、今は相手がいるって聞いてたから。そんな時、屋敷に彼を訪問する君が現れたもんだから、まあ、そうだろうなって」
まだ警戒を見せるエドガーを他所に、アランはそう言うと、もう帰りますと言わんばかりに荷物をまとめ始める。
「しっかし、今日は事前に訪問する連絡を入れておいたのに約束を破るなんて、あいつもひどいな」
「約束をしていたのに、彼は来なかったのか」
「そう、昼過ぎに会う予定だったのに、ひどいよね」
違和感がエドガーの胸をよぎった。今まで彼と過ごしてきた印象からすると、彼は人との約束を破るような人物ではない。そこでエドガーの脳裏に、ある可能性が浮かんだ。サイラスの身に、何かがあったのではないかと。
「彼はどこに行ったのか知っているのか」
「執事さんの説明だと、彼は朝方、この領地の外れにあるガラス工房跡地に向かったみたいだね」
朝から出かけ、この時間まで帰ってきていない。その事実に、エドガーは嫌な胸騒ぎを感じ始めた。
「朝からずっと出て行ったままというのはおかしい。もしかしたら、何かトラブルがあったのかもしれない」
アランはそんなエドガーの疑念に対し、淡々とした調子で返事をする。
「まあ、そうかもしれないね。でも、自分はもう帰るとするよ」
まとめた荷物を抱え始める彼の様子に、どうしてかエドガーは腹が立つ気持ちが抑えられなくなった。
この男は、サイラスのことを本当に心配していないのか。以前は身体の関係まで持ったという相手なのに、なぜこんなにもそっけなくいられるのか。
「お前は、彼のことが心配ではないのか」
その質問に対し、アランは割り切った様子で答える。
「彼とは今は商売仲間みたいな関係だからね。心配じゃないわけじゃないけど、深入りはしない。それが今の俺たちの関係だよ」
エドガーは眉を顰めた。
「薄情な奴だな」
「じゃあ、彼のことは君が探しに行ってあげるといい。君は彼の今の恋人みたいなものなんだろう?」
その言葉に、エドガーは二の句が継げなくなった。
咄嗟に違う、と答えようとした。自分と彼は契約の上で関係が成り立っているだけの関係だと。
そう彼に説明しようとしたところで、エドガーは強烈な自己嫌悪に襲われた。
自分は、契約という冷たい線引きを盾に、サイラスへの気持ちから目を背け、ただ己の利益のために関係を続けている。
自分と目の前のこの男に、一体なんの違いがある?
契約を都合よく利用している自分の方が、よほど卑怯で薄情ではないか。
商人のアランは少なくとも正直だ。今は深入りしないと明言している。だが自分はどうだ。サイラスのことを心配する素振りをしながら、心の中では契約だからと無関心を装っている。これほど不誠実なことがあるだろうか。
そのことに気づき、エドガーは愕然とした。自分は、この男を薄情だと非難する資格などどこにもないのだ。
そんなエドガーの様子を見て、アランは表情を弛めた。
「……俺は彼と親密な間柄になれなかったけど、彼のことはずっと気になってはいるんだ。彼は尊大で口が悪いから誤解されがちだけど、実のところ、寂しがり屋なところがあるから。だから、君が迎えに行ってあげて」
その言葉に、ますます複雑な気持ちがこみ上げてくる。
自分は彼のことを迎えに行く資格などあるのだろうか。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。外を見るとすっかり日が暮れている。それでも帰ってくる様子のないサイラスのことは、やはり心配だった。
エドガーは決意を決めて立ち上がり、屋敷の執事を呼び出してガラス工房跡地の場所を尋ねる。
そして、急ぎ足でその場所へ向かうことにした。
松明を片手に、エドガーは夜闇に包まれた道を歩いていく。
ガラス工房跡地は領地の外れにある。普段は人の往来もほとんどない場所だ。道こそ作られているものの、屋敷からは相当な距離がある。
足元を照らす松明の火が、風に揺れて不安定に踊る。周囲は静寂に満ちていて、自分の足音だけが妙に大きく響いた。
(本当に大丈夫だろうか……)
歩みを進めるたび、胸の奥に不安が募っていく。朝から出かけて、この時間まで戻らないなんて。いくらサイラスが有能な男だとはいえ、一人で人里離れた場所にいるのは危険すぎる。
何かあったのではないか。怪我でもしているのではないか。
そんな考えが頭をよぎり、思わず歩調が早くなる。
やがて、松明の明かりの先に建物の影が浮かび上がった。
ガラス工房跡地だ。
石造りの建物は、確かに丈夫そうな作りをしている。だが長い間人の手入れを受けていないせいで、壁には植物の蔦がびっしりと這っていた。建物の一部は崩れ、廃虚然とした佇まいを見せている。
その外観を見て、エドガーは妙な既視感を覚えた。どこかで見たことがある気がする。いつだったか……。
しばらく考えて、はっと思い出した。
三年前。エドガーはこの建物に確かに来たことがあった。賊がここを拠点にしていて、それを討伐するためにここにいたのだ。
奇妙な巡り合わせもあるものだ。そう思いながら、エドガーは松明をかざして建物の中に足を踏み入れた。
内部は工房らしく広々としている。朽ちかけた椅子やテーブルが散乱し、廃虚独特の不気味な雰囲気が漂っていた。
足音が反響して、ずいぶん大きく聞こえる。闇の中、何かが潜んでいるような錯覚に襲われる。 エドガーは少し慄きながらも、慎重に建物の奥へと進んでいく。松明の火で内部を照らしながら歩き回る。サイラスの姿を探して、一つ一つ部屋を確認していった。
どこにもいない。どこにも──
そして建物の奥まで入ったところで、エドガーは息を呑んだ。
窓から差し込む月明かりが、工房の中央を静かに照らしている。
そこに、一人の男が倒れていた。
帰ってからも変わらず、夜になるたびにエドガーは屋敷を訪れている。契約通り、サイラスを抱く日々を続けていた。
だが厄介なことに、あの商業都市への数日間の旅を経てから、どうにも彼のことに心が惹かれてしまっていることを自覚せざるを得なくなっていた。
旅路で見せた彼の自然な笑顔。興味深そうにエドガーの話を聞く姿。ガラス工房復活への真摯な思い。そのすべてが、エドガーの心に深く刻まれてしまった。
だが、彼との関係はあと二週間ほどで終わりだ。契約の期間さえ過ぎてしまえば、彼と自分は身分が違うのだ。後腐れのない別れができるだろう。
頭では、そう割り切るべきだと理解していた。しかし、胸の奥では何かが軋むような音を立て、エドガーは日に日にその痛みを無視することが難しくなっていた。
そんな複雑な気持ちを抱きつつ、今日もエドガーは屋敷を訪れた。しかし、珍しいことにサイラスの姿が見当たらない。
「申し訳ございません」
出てきた執事が恐縮そうに頭を下げる。
「サイラス様は朝方から仕事で屋敷の外に調べものをしに行かれたまま、まだお戻りになっておりません。ちょうど王都から商人様もお見えになっておりますので、よろしければ彼と共に客室でお待ちいただけますでしょうか」
「そうですか……」
エドガーは困惑した。いつもなら書斎で執務をしているか、自室で彼を待っているはずなのに。だが、他に選択肢もない。エドガーは素直に頷いた。
客室に案内されると、そこには先客がいた。栗色の巻き毛が特徴的な、どこか犬のような雰囲気の若い男だ。エドガーが客室に通されたのを見るや、彼は元気に話しかけてきた。
「あれ、サイラスに俺以外のお客さんが来るなんて珍しい!」
彼の姿を見て、エドガーはどこかで見たような気になった。そういえば数日前、畑で作業をしている時に見かけたような……。
あの時、隣にいた男が言っていた言葉を思い出す。彼は王都で商売をしている商人だと。
対するアランは好奇心を隠そうともせず、じろじろとエドガーを観察している。そして、はっと何かに思い至ったように手を叩いた。
「そうか、君が今のサイラスの夜の相手役か!」
その言葉に、エドガーは思わず眉を顰めた。夜の相手という響きに性的なことを指すニュアンスを感じ、警戒心を隠さずに問いただす。
「……お前は、サイラス様とどういう関係だ?」
不躾な態度のエドガーに怒ることもなく、彼は軽やかに答えた。
「失礼。俺は王都で商売をやってるアランだ。サイラスとは昔からの付き合いでね。儲け話があれば、こうしてたまに顔を出す関係だよ」
しかし、どこか挑発するような口調で言葉を続ける。
「──あと、サイラスが王都にいた時は、ちょっと身体の関係もあったけど」
「なっ……!」
エドガーはそれを聞き、反射的に頭にサッと血が昇るのを自覚する。胸に得体の知れない不快な気持ちが湧き上がり、エドガーは自分の感情に戸惑った。
この感情は──恐らく、嫉妬だ。
サイラスとは契約で結ばれただけの関係のはずだ。それなのに彼が他の男と肌を重ねていたという事実が、なぜこれほど自分を苦しめるのだろう。理性では理解できない感情が胸の奥で渦を巻き、エドガーは拳を無意識に強く握りしめた。
アランはそんなエドガーの顔を見て、ひらひらと軽く手を振る仕草を見せる。
「ああ、そんなに怖い顔をするなって。大丈夫、今は彼とはそういう関係はなくって、ただの仕事仲間ってだけだから」
エドガーはなおも訝しそうに彼を見つめた。
「どうして自分と彼の関係を知っている。サイラス様から聞いたのか」
「直接的には聞いてないけど、今は相手がいるって聞いてたから。そんな時、屋敷に彼を訪問する君が現れたもんだから、まあ、そうだろうなって」
まだ警戒を見せるエドガーを他所に、アランはそう言うと、もう帰りますと言わんばかりに荷物をまとめ始める。
「しっかし、今日は事前に訪問する連絡を入れておいたのに約束を破るなんて、あいつもひどいな」
「約束をしていたのに、彼は来なかったのか」
「そう、昼過ぎに会う予定だったのに、ひどいよね」
違和感がエドガーの胸をよぎった。今まで彼と過ごしてきた印象からすると、彼は人との約束を破るような人物ではない。そこでエドガーの脳裏に、ある可能性が浮かんだ。サイラスの身に、何かがあったのではないかと。
「彼はどこに行ったのか知っているのか」
「執事さんの説明だと、彼は朝方、この領地の外れにあるガラス工房跡地に向かったみたいだね」
朝から出かけ、この時間まで帰ってきていない。その事実に、エドガーは嫌な胸騒ぎを感じ始めた。
「朝からずっと出て行ったままというのはおかしい。もしかしたら、何かトラブルがあったのかもしれない」
アランはそんなエドガーの疑念に対し、淡々とした調子で返事をする。
「まあ、そうかもしれないね。でも、自分はもう帰るとするよ」
まとめた荷物を抱え始める彼の様子に、どうしてかエドガーは腹が立つ気持ちが抑えられなくなった。
この男は、サイラスのことを本当に心配していないのか。以前は身体の関係まで持ったという相手なのに、なぜこんなにもそっけなくいられるのか。
「お前は、彼のことが心配ではないのか」
その質問に対し、アランは割り切った様子で答える。
「彼とは今は商売仲間みたいな関係だからね。心配じゃないわけじゃないけど、深入りはしない。それが今の俺たちの関係だよ」
エドガーは眉を顰めた。
「薄情な奴だな」
「じゃあ、彼のことは君が探しに行ってあげるといい。君は彼の今の恋人みたいなものなんだろう?」
その言葉に、エドガーは二の句が継げなくなった。
咄嗟に違う、と答えようとした。自分と彼は契約の上で関係が成り立っているだけの関係だと。
そう彼に説明しようとしたところで、エドガーは強烈な自己嫌悪に襲われた。
自分は、契約という冷たい線引きを盾に、サイラスへの気持ちから目を背け、ただ己の利益のために関係を続けている。
自分と目の前のこの男に、一体なんの違いがある?
契約を都合よく利用している自分の方が、よほど卑怯で薄情ではないか。
商人のアランは少なくとも正直だ。今は深入りしないと明言している。だが自分はどうだ。サイラスのことを心配する素振りをしながら、心の中では契約だからと無関心を装っている。これほど不誠実なことがあるだろうか。
そのことに気づき、エドガーは愕然とした。自分は、この男を薄情だと非難する資格などどこにもないのだ。
そんなエドガーの様子を見て、アランは表情を弛めた。
「……俺は彼と親密な間柄になれなかったけど、彼のことはずっと気になってはいるんだ。彼は尊大で口が悪いから誤解されがちだけど、実のところ、寂しがり屋なところがあるから。だから、君が迎えに行ってあげて」
その言葉に、ますます複雑な気持ちがこみ上げてくる。
自分は彼のことを迎えに行く資格などあるのだろうか。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。外を見るとすっかり日が暮れている。それでも帰ってくる様子のないサイラスのことは、やはり心配だった。
エドガーは決意を決めて立ち上がり、屋敷の執事を呼び出してガラス工房跡地の場所を尋ねる。
そして、急ぎ足でその場所へ向かうことにした。
松明を片手に、エドガーは夜闇に包まれた道を歩いていく。
ガラス工房跡地は領地の外れにある。普段は人の往来もほとんどない場所だ。道こそ作られているものの、屋敷からは相当な距離がある。
足元を照らす松明の火が、風に揺れて不安定に踊る。周囲は静寂に満ちていて、自分の足音だけが妙に大きく響いた。
(本当に大丈夫だろうか……)
歩みを進めるたび、胸の奥に不安が募っていく。朝から出かけて、この時間まで戻らないなんて。いくらサイラスが有能な男だとはいえ、一人で人里離れた場所にいるのは危険すぎる。
何かあったのではないか。怪我でもしているのではないか。
そんな考えが頭をよぎり、思わず歩調が早くなる。
やがて、松明の明かりの先に建物の影が浮かび上がった。
ガラス工房跡地だ。
石造りの建物は、確かに丈夫そうな作りをしている。だが長い間人の手入れを受けていないせいで、壁には植物の蔦がびっしりと這っていた。建物の一部は崩れ、廃虚然とした佇まいを見せている。
その外観を見て、エドガーは妙な既視感を覚えた。どこかで見たことがある気がする。いつだったか……。
しばらく考えて、はっと思い出した。
三年前。エドガーはこの建物に確かに来たことがあった。賊がここを拠点にしていて、それを討伐するためにここにいたのだ。
奇妙な巡り合わせもあるものだ。そう思いながら、エドガーは松明をかざして建物の中に足を踏み入れた。
内部は工房らしく広々としている。朽ちかけた椅子やテーブルが散乱し、廃虚独特の不気味な雰囲気が漂っていた。
足音が反響して、ずいぶん大きく聞こえる。闇の中、何かが潜んでいるような錯覚に襲われる。 エドガーは少し慄きながらも、慎重に建物の奥へと進んでいく。松明の火で内部を照らしながら歩き回る。サイラスの姿を探して、一つ一つ部屋を確認していった。
どこにもいない。どこにも──
そして建物の奥まで入ったところで、エドガーは息を呑んだ。
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