逆にトラックを轢いてみる

トンボ

文字の大きさ
1 / 1

トラックを轢いてみたら

しおりを挟む
「逆にトラックを轢いてみようぜ」

 3人で教室の机を囲んでオタトークをしている最中、机をバンと叩いてアカリは言った。私は彼女を冷ややかな目で見るだけだったが、もうひとりのオタク乙女、スイレンが悪ノリをすくい上げたのが始まりだった。
 というかトラックを轢くって何よ。

「トラックが異世界転生か。興味深い」

 興味深いわけねえだろ。

 そんな言葉を喉の奥にしまって、さてはて私はスマフォでも開いてソシャゲでもしよう。こうなってしまえばもう止まらない。あんな無駄な時間を過ごすくらいなら、私はその時間をソシャゲに捧げる。

「いや、この場合はトラックの運ちゃんが異世界転生するんじゃない? トラックが転生するなら、よくあるラノベも主人公の服が転生するだろ」

「せやね。無機質が転生とか誰得……。じゃあ転生した運ちゃんは女神さまに何を貰うと思う?」

「うーん、現実で得意だったことを利用するのが多いから……。なんか強いトラック?」

「トラックでスライムを殴る勇者か……」

 スライム粉々じゃないかな、それ……。

 スマフォをぽちぽちいじる私の周りで、話はどんどん盛り上がっていく。

「燃料なくても動くトラックで、自動回復スキルがデフォでついてるとか!」

「マジか。魔王城になんかもアクセル全開で突っ込めば、異世界を救うRTAも世界記録狙えそう」

「タイトルは『トラック運転手の俺がトラックごと轢かれたと思ったらいつの間にか魔王城ぶっ壊してたんだが』で決まりかな」

 お腹すいたな。帰りにコンビニよろう。

「ヒロインは誰よ?」

「当然魔王。魔王城の修理費やらをせがんでくるかわいいロリババアよ」

「うおー! あたし、今日からトラック轢くために筋トレするわ

「じゃあわたしは大型トラックの免許取り行くわ。取ったら速攻でお前に轢かれに行ってやるよ」

 肉まん食べたいなあ。あんまんもいい。
 ソシャゲのデイリーミッションも終わったので、席を立つ。未だに語り合ってる2人を見ると、何故だか自然とため息が出た。

「帰って缶蹴りでもしようか……」

「トラック使ってもいい?」

「ダメに決まってんだろハゲ」

 夕暮れのオレンジ色に染まった教室を抜けて、3人は語り合いながら放課後の時間を楽しく浪費していくのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...