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第二章 大魔道書『神々の終焉讃歌録』
34 青白いもの
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砂埃が漂う小さな廃墟と化したその場所で、シルヴァはシアンの言ったことへ静かに戦慄していた。
しかし、今はそんなことを気にしていられる状況ではなかった。カレンのことは不気味でかなり気がかりであるが、他にやることがある。
静かに泣きじゃくるシアンの肩を抱いて、シルヴァは言った。
「……とりあえず、今のこの状況はマズい。あの爆発はハーヴィンの仕業に違いないしな」
シルヴァは辺りを注意深く見渡す。
恐らく、爆発したのは白髪の男の鎧の中にあった、青白い光を放つ何かだ。アレンのあの様子からして、彼は何か気づいたようだったが、シルヴァには細かいことは分からない。
問題は、あの爆破が自動だったのか任意だったのか、だ。
前者の場合、何かがトリガーとなって起爆してしまったのだろう。その際、それを仕組んだと思われるハーヴィンがまだ近くにいないという、希望的観測もできる。
しかし、後者の場合――すなわち、ハーヴィンの手にとって爆破が行われた場合、それは先手を取られたということだ。故に、
「――シルヴァ! あっち!」
シアンの獣耳がピクリと反応し、彼女は十時の方向へ指をさした。シルヴァは何も問うことなく、辺りに散らばっている瓦礫を操り、その方向へ飛ばす。
それなりを速度を持って飛んで行った瓦礫は砂埃をかき分け進んでいき、その先で何かに着弾した音と共に、くぐもったいくつかの悲鳴が聞こえた。
ハーヴィンの私兵たちのいくつかにヒットしたようだ。
「まだ半分以上いるよ!」
「ああ!」
これは敵襲だ。今のシルヴァの攻撃で少し数は減らせたようだが、まだ敵戦力は残っている。
シルヴァは周囲の瓦礫にまた支配の能力を与えた。そしてそれを武器に攻撃を行うとするも、しかしそれはかなわない。
「上!」
シアンの声に釣られて、シルヴァも頭上を見上げた。直後、青い火炎弾が上空から砂埃をかき分けながら、二人に向かって降り注いだ。
シルヴァは咄嗟に瓦礫を操り、迫りくる数々の火炎弾と相殺させる。一つ一つの火炎弾が瓦礫とぶつかり合うたび、それぞれ小さな爆発を起こし、大気を揺らしていった。
バラバラに燃え尽き落ちていく瓦礫の欠片。その爆風で砂埃が薄くなり、頭上の空がうっすらと見えてくる。そこには、火炎弾を放ったと思われる巨大な青い鷹が、羽を揺らして数羽滞空していた。
「青白い鷹……これも精霊か……?」
「――シルヴァ! 危ない!」
上空に飛ぶ精霊鷹へシルヴァの注意が向いている最中、シアンがシルヴァに飛びかかった。飛びつけれたシルヴァはシアンと共にそのままゴロゴロと瓦礫の上を転がっていく。その刹那、さっきまで二人がいた場所に、青い炎を宿した無数の矢が通過していった。
「助かった……!」
シルヴァはシアンへお礼を言うと、すぐさま両腕を左右に翳す。
さっきまで砂埃が自分たちを隠す遮蔽となってくれると思っていたが、何故だかこちらの位置を向こうは完全に把握しているようだ。故に、この砂埃の目隠しはシルヴァたちに対しマイナスでしかない。
シルヴァは『支配』の能力をフル活用し、辺りに舞う砂埃を全て支配下に置く。大気中の砂埃の動きが完全に止まる。
そして、シルヴァは自分を中心として、支配下においた砂埃を外側へと一気に押し出した。
それはまるで突風。瓦礫を外に押し出すほどの強烈な風となって、周囲にいたであろう私兵たちを一気に押し出した。そしてシルヴァは滞空する精霊鷹に向かって駆け出す。
精霊鷹から放たれた青い火炎を『支配』の能力を使って翻しながら、その鷹の真下までたどり着く。そしてシルヴァは『支配』の能力を鷹に向かって放った。
鷹に対する距離として、その真下は最短距離を誇る。精霊を支配下に置けるかは分からないが、やってみる価値はあるだろう。
というか、物質や人間、魔獣を支配下におけるなら、精霊もいけるはず。
案の定、三羽の精霊鷹を支配下においたシルヴァ。残りの一羽は寸でのところで逃がしてしまったが、まあ及第点だ。
「シアン! こっちに!」
「うん!」
支配した鷹を地上へ引きずり落としながら、シルヴァはシアンへ手を伸ばす。シアンもシルヴァに向かって駆け出した。
ゴルドの時みたいに、この砂埃として舞っている砂粒を『支配』し、疑似的に敵を感知する手もあったのだが、現状の把握ができていない状態でそうすることは危険だと思い、シルヴァはそれを実行しなかった。
まず砂粒を支配下におくことで、意識がそこへ集中するが故に、攻撃から身を守れなくなる可能性がある。さらに、砂で感知できるものが、アレンたち含む多くの人や、それから放たれる無数の矢という、かなりの数になる。その情報量に、シルヴァの方が対応できなくなるかもしれなかった。
駆けてきたシアンの手を取って、シルヴァは抱き寄せる。それから、落とした三羽の鷹を盾代わりとして、二人を囲む形で周囲に固定した。鷹の大きさはかなりのもので、人がその影に隠れられるほどだ。
「……さて」
これからどうするか。
シルヴァは明らかに劣勢なこの状況に、小さく舌打ちをした。
しかし、今はそんなことを気にしていられる状況ではなかった。カレンのことは不気味でかなり気がかりであるが、他にやることがある。
静かに泣きじゃくるシアンの肩を抱いて、シルヴァは言った。
「……とりあえず、今のこの状況はマズい。あの爆発はハーヴィンの仕業に違いないしな」
シルヴァは辺りを注意深く見渡す。
恐らく、爆発したのは白髪の男の鎧の中にあった、青白い光を放つ何かだ。アレンのあの様子からして、彼は何か気づいたようだったが、シルヴァには細かいことは分からない。
問題は、あの爆破が自動だったのか任意だったのか、だ。
前者の場合、何かがトリガーとなって起爆してしまったのだろう。その際、それを仕組んだと思われるハーヴィンがまだ近くにいないという、希望的観測もできる。
しかし、後者の場合――すなわち、ハーヴィンの手にとって爆破が行われた場合、それは先手を取られたということだ。故に、
「――シルヴァ! あっち!」
シアンの獣耳がピクリと反応し、彼女は十時の方向へ指をさした。シルヴァは何も問うことなく、辺りに散らばっている瓦礫を操り、その方向へ飛ばす。
それなりを速度を持って飛んで行った瓦礫は砂埃をかき分け進んでいき、その先で何かに着弾した音と共に、くぐもったいくつかの悲鳴が聞こえた。
ハーヴィンの私兵たちのいくつかにヒットしたようだ。
「まだ半分以上いるよ!」
「ああ!」
これは敵襲だ。今のシルヴァの攻撃で少し数は減らせたようだが、まだ敵戦力は残っている。
シルヴァは周囲の瓦礫にまた支配の能力を与えた。そしてそれを武器に攻撃を行うとするも、しかしそれはかなわない。
「上!」
シアンの声に釣られて、シルヴァも頭上を見上げた。直後、青い火炎弾が上空から砂埃をかき分けながら、二人に向かって降り注いだ。
シルヴァは咄嗟に瓦礫を操り、迫りくる数々の火炎弾と相殺させる。一つ一つの火炎弾が瓦礫とぶつかり合うたび、それぞれ小さな爆発を起こし、大気を揺らしていった。
バラバラに燃え尽き落ちていく瓦礫の欠片。その爆風で砂埃が薄くなり、頭上の空がうっすらと見えてくる。そこには、火炎弾を放ったと思われる巨大な青い鷹が、羽を揺らして数羽滞空していた。
「青白い鷹……これも精霊か……?」
「――シルヴァ! 危ない!」
上空に飛ぶ精霊鷹へシルヴァの注意が向いている最中、シアンがシルヴァに飛びかかった。飛びつけれたシルヴァはシアンと共にそのままゴロゴロと瓦礫の上を転がっていく。その刹那、さっきまで二人がいた場所に、青い炎を宿した無数の矢が通過していった。
「助かった……!」
シルヴァはシアンへお礼を言うと、すぐさま両腕を左右に翳す。
さっきまで砂埃が自分たちを隠す遮蔽となってくれると思っていたが、何故だかこちらの位置を向こうは完全に把握しているようだ。故に、この砂埃の目隠しはシルヴァたちに対しマイナスでしかない。
シルヴァは『支配』の能力をフル活用し、辺りに舞う砂埃を全て支配下に置く。大気中の砂埃の動きが完全に止まる。
そして、シルヴァは自分を中心として、支配下においた砂埃を外側へと一気に押し出した。
それはまるで突風。瓦礫を外に押し出すほどの強烈な風となって、周囲にいたであろう私兵たちを一気に押し出した。そしてシルヴァは滞空する精霊鷹に向かって駆け出す。
精霊鷹から放たれた青い火炎を『支配』の能力を使って翻しながら、その鷹の真下までたどり着く。そしてシルヴァは『支配』の能力を鷹に向かって放った。
鷹に対する距離として、その真下は最短距離を誇る。精霊を支配下に置けるかは分からないが、やってみる価値はあるだろう。
というか、物質や人間、魔獣を支配下におけるなら、精霊もいけるはず。
案の定、三羽の精霊鷹を支配下においたシルヴァ。残りの一羽は寸でのところで逃がしてしまったが、まあ及第点だ。
「シアン! こっちに!」
「うん!」
支配した鷹を地上へ引きずり落としながら、シルヴァはシアンへ手を伸ばす。シアンもシルヴァに向かって駆け出した。
ゴルドの時みたいに、この砂埃として舞っている砂粒を『支配』し、疑似的に敵を感知する手もあったのだが、現状の把握ができていない状態でそうすることは危険だと思い、シルヴァはそれを実行しなかった。
まず砂粒を支配下におくことで、意識がそこへ集中するが故に、攻撃から身を守れなくなる可能性がある。さらに、砂で感知できるものが、アレンたち含む多くの人や、それから放たれる無数の矢という、かなりの数になる。その情報量に、シルヴァの方が対応できなくなるかもしれなかった。
駆けてきたシアンの手を取って、シルヴァは抱き寄せる。それから、落とした三羽の鷹を盾代わりとして、二人を囲む形で周囲に固定した。鷹の大きさはかなりのもので、人がその影に隠れられるほどだ。
「……さて」
これからどうするか。
シルヴァは明らかに劣勢なこの状況に、小さく舌打ちをした。
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