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1.近所のおっさん失踪事件
1-10. 合流
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「おはよーございまあす」
配達の少年が店を出るのと入れ違いに、給仕のカスガが姿を現した。
おや、と思い時計を見ると、出勤予定時刻よりも15分程早い。普段はかったかのようなオンタイム出勤をしているカスガにしては珍しい余裕のある出勤ぶりだ。
「ねえねえ、今の子誰?!かわいくない?!」
「カナチカさん……昨日来てた美人のお客さん、いたでしょ。あの人の会社の子。食材を市場からもってきてくれたの」
「……前途ある若者を自分好みに仕立てる貴族の遊びかなにか? いいセンスしてるわ」
「――社員教育って言おう」
少年は、カスガのお眼鏡にもかなう仕上がりだったらしい。
彼の服装や振る舞いについては大いにカナチカの影響を感じるし、その無茶振りとも思える教育をばっちりあますことなく吸収しきっている少年も見事だ。
なので彼女の言わんとすることはわかる。とてもわかる。が。大いなる誤解を生むであろう言葉選びに、思わず訂正を促した。
「ていうかカスガさん、早くない? どしたの」
「手伝いに来たにきまってんでしょ。スミ君、一人で全部やってんじゃん、そういうのも」
カスガが指を指したのは、スミの手元。仕入れの記録と、店のお金の出入りを記した台帳である。
留守を預かる者として、金銭の流れは1ギルのズレもなく記録、ついでに店の様子や気になるポイントを書き記したメモを添付している。
「スミ君、頭もいいしなんでもできるけどさ。それはコックさんの仕事じゃないんじゃないの?」
「んー……でも、チルさんこういうの全然らしいし」
料理人の仕事は料理を作ること。
スミとしても、まさか料理人として派遣された職場で金の管理――どころか店の経営そのものを丸投げされるとは思ってもみなかった。
依頼人は、弟と同じ年頃の少女。
店を取り仕切る父親の失踪。本音をいうとそれどころではないのだろうが、店を閉めてしまえば収入が絶たれてしまうからと気丈にも店を開ける決断をした。
ここまでならまあ、すべてが解決したあとに「美談」となり得る「事実」だと思う。
だが問題は、彼女が――思った以上に箱入り娘だった、というところにある。
彼女は、父親とともに働いていながらなにも知らなかった。
店を経営するということがどういうことか。
利益を出すにはどうすればいいか。そんな基本の「き」のともいえる知識もなく、ただただ愚直に、こう考えていたのである。
料理を作る人がいればどうにかなる。
自分は美味しいご飯を提供するだけ。いつも通りだと。
(……まあ、店主の経営自体上手いものではなかったみたいだけど。だいぶ危うい綱渡りだよな……)
彼女が計算はおろか読み書きすらあやういという事実を知ったのは、雇われたあとだ。
仕入れの方法も知らなければ、「どうやって賃金を生み出すか」という思考も持ち合わせていなかった少女に、スミはめいいっぱいの苦言を呈した後に告げた。
このままでは共倒れだ。すべてを任せてもらう。 と。
正直、逃げても良かったのだけれど。
そうしなかったのは、ひとえにスミの「甘さ」だ。
「――あの子、何ができるの? 何かしようとしてる?」
「こら」
「私だって、君に相応な報酬が払われるのであればこんなこと言わないわよ」
カスガはスミが別のバイト先から引っ張ってきた腕も愛想もぴか一の給仕だ。
女手ひとつで小さな女の子を育てているだけあって、甘えたところがなにひとつない自立した女性である。チルのような甘えの見える「女の子」には、思うことが山のようにあるのだろう。
――だが。
「まあ、今積極的に働けっていわれても無理でしょ。……お父さん、早く見つかるといいね」
これ以上は、陰口だ。そう判断し、「お父さん」という切り札を切り次の言葉を封じる。
心根の優しいカスガはそれにわかりやすく怯むと、「そうね」とため息混じりに応えた。
そう。もとはといえばいきなり行方をくらました大黒柱が悪いのだ。
(……はやく見つけてあげなきゃな)
カナチカが動くのであれば、どんな形であれ決着はつくだろう。
根拠はないが、その点についてスミは疑っていない。それだけの説得力のある男だと思う。
チルに何かを求めるのも、自分の「これから」を決めるのもそれからでいい。
そうやって腹を括れるようになったのはありがたかった。
□
ランチタイムのピークが少し落ち着いた頃。
カスガの「昨日のイケメンさん!」という大声につられて店内を覗くと、そこには随分とラフな出で立ちをしたカナチカが立っていた。
昨日は多少着崩してはいたもののシャツにベストというきっちりとした格好をしていたのに、今日はフードのついた上着を雑に着込み、足元も動きやすそうな運動用のシューズを履いている。
(……ああいう格好するとほんとに年齢不詳だなあ)
昨日はいかにもシゴデキ!な雰囲気で誤魔化していたが、こうしてみるとどう頑張って見積もっても二十歳そこそこの青年であり、大商会を率いるボスには見えない。
そして何より、気になったのは――
「カナ」
「よお、おつかれ」
「これ、なに?」
スミはカウンターに座ろうとしているカナチカの前に立つと、カナチカの顔面にかかった『不純物』に指をかけた。
「……なにって。メガネ?」
昨日はそこになかったもの。――細いフレームの、眼鏡だ。
「目悪いの?」
「ううん。めっちゃいい」
カナチカが無抵抗なのをいいことに、眼鏡を抜き取る。
試しに眼鏡越しに店内を見てみるたが視界はそのまま。めっちゃいい、という自己申告の通りそのレンズに度は入っていないようだ。
「ないほうがいいよ」
そもそも眼鏡はフレームだけでも高級品なわけだが。
必要がないのならつけなくてもいいのではと思う。
「……いや、視力はいいんだけど、俺調子悪いの全部目に出るんだよね」
「ん?」
返せ、と右手がひらひらと動くのに適当に握手で応えながら、不自然に逸らされた目を見る。そこにあるのは、昨日と変わらない新緑ような美しい瞳と――
「……三重?」
綺麗に重なった、瞼。
言われてみたら確かに。昨日より目元がいくぶん混雑しているような、重たそうな、気がしなくもない――が。
(わかるかそんなもん)
「別に普通に綺麗だけど」
「は?」
「まあ、座りなよ。お疲れ様」
こんなもので隠すほどのデメリットには思えず。ドストレートな感想を告げて、着席を促した。
言われた方のカナチカはぽかんとしているし、周囲の女性陣のきゃあという謎の悲鳴も聞こえていないわけではないが気にしないことにする。
「調子悪いっていうのは?」
「……ただの寝不足」
「そ。よかった。飯は?食べた?食べる?」
ちなみに今日のランチも、二種選択制だ。
注文を絞らせるのは人的、予算的なコストを削減するための苦肉の策なのだが、いまのところ調子は良い。
「……とりあえず肉。」
はあ~、と深いため息をつくカナチカの表情には明らかな疲労が浮かんでいて、なるほどカロリーと了承した。
おそらく、搜索の時間を作るために結構な無理をしているのだろう。
(せめて回復アイテムになればいいな)
この無理は、雇い主のためのもの。本当はよくないけれど、少しくらい、わかりにくい形でサービスをしてやろうか。そんなことを考えながらキッチンに戻ると、妙なカオをしたカスガもその後ろに続いた。
「スミ君、それほんっと悪い癖だと思うわ」
呆れ混じりの言葉に、スミはいくつものはてなを並べて首をかしげる。
はてさて。なんのことやら。だ。
配達の少年が店を出るのと入れ違いに、給仕のカスガが姿を現した。
おや、と思い時計を見ると、出勤予定時刻よりも15分程早い。普段はかったかのようなオンタイム出勤をしているカスガにしては珍しい余裕のある出勤ぶりだ。
「ねえねえ、今の子誰?!かわいくない?!」
「カナチカさん……昨日来てた美人のお客さん、いたでしょ。あの人の会社の子。食材を市場からもってきてくれたの」
「……前途ある若者を自分好みに仕立てる貴族の遊びかなにか? いいセンスしてるわ」
「――社員教育って言おう」
少年は、カスガのお眼鏡にもかなう仕上がりだったらしい。
彼の服装や振る舞いについては大いにカナチカの影響を感じるし、その無茶振りとも思える教育をばっちりあますことなく吸収しきっている少年も見事だ。
なので彼女の言わんとすることはわかる。とてもわかる。が。大いなる誤解を生むであろう言葉選びに、思わず訂正を促した。
「ていうかカスガさん、早くない? どしたの」
「手伝いに来たにきまってんでしょ。スミ君、一人で全部やってんじゃん、そういうのも」
カスガが指を指したのは、スミの手元。仕入れの記録と、店のお金の出入りを記した台帳である。
留守を預かる者として、金銭の流れは1ギルのズレもなく記録、ついでに店の様子や気になるポイントを書き記したメモを添付している。
「スミ君、頭もいいしなんでもできるけどさ。それはコックさんの仕事じゃないんじゃないの?」
「んー……でも、チルさんこういうの全然らしいし」
料理人の仕事は料理を作ること。
スミとしても、まさか料理人として派遣された職場で金の管理――どころか店の経営そのものを丸投げされるとは思ってもみなかった。
依頼人は、弟と同じ年頃の少女。
店を取り仕切る父親の失踪。本音をいうとそれどころではないのだろうが、店を閉めてしまえば収入が絶たれてしまうからと気丈にも店を開ける決断をした。
ここまでならまあ、すべてが解決したあとに「美談」となり得る「事実」だと思う。
だが問題は、彼女が――思った以上に箱入り娘だった、というところにある。
彼女は、父親とともに働いていながらなにも知らなかった。
店を経営するということがどういうことか。
利益を出すにはどうすればいいか。そんな基本の「き」のともいえる知識もなく、ただただ愚直に、こう考えていたのである。
料理を作る人がいればどうにかなる。
自分は美味しいご飯を提供するだけ。いつも通りだと。
(……まあ、店主の経営自体上手いものではなかったみたいだけど。だいぶ危うい綱渡りだよな……)
彼女が計算はおろか読み書きすらあやういという事実を知ったのは、雇われたあとだ。
仕入れの方法も知らなければ、「どうやって賃金を生み出すか」という思考も持ち合わせていなかった少女に、スミはめいいっぱいの苦言を呈した後に告げた。
このままでは共倒れだ。すべてを任せてもらう。 と。
正直、逃げても良かったのだけれど。
そうしなかったのは、ひとえにスミの「甘さ」だ。
「――あの子、何ができるの? 何かしようとしてる?」
「こら」
「私だって、君に相応な報酬が払われるのであればこんなこと言わないわよ」
カスガはスミが別のバイト先から引っ張ってきた腕も愛想もぴか一の給仕だ。
女手ひとつで小さな女の子を育てているだけあって、甘えたところがなにひとつない自立した女性である。チルのような甘えの見える「女の子」には、思うことが山のようにあるのだろう。
――だが。
「まあ、今積極的に働けっていわれても無理でしょ。……お父さん、早く見つかるといいね」
これ以上は、陰口だ。そう判断し、「お父さん」という切り札を切り次の言葉を封じる。
心根の優しいカスガはそれにわかりやすく怯むと、「そうね」とため息混じりに応えた。
そう。もとはといえばいきなり行方をくらました大黒柱が悪いのだ。
(……はやく見つけてあげなきゃな)
カナチカが動くのであれば、どんな形であれ決着はつくだろう。
根拠はないが、その点についてスミは疑っていない。それだけの説得力のある男だと思う。
チルに何かを求めるのも、自分の「これから」を決めるのもそれからでいい。
そうやって腹を括れるようになったのはありがたかった。
□
ランチタイムのピークが少し落ち着いた頃。
カスガの「昨日のイケメンさん!」という大声につられて店内を覗くと、そこには随分とラフな出で立ちをしたカナチカが立っていた。
昨日は多少着崩してはいたもののシャツにベストというきっちりとした格好をしていたのに、今日はフードのついた上着を雑に着込み、足元も動きやすそうな運動用のシューズを履いている。
(……ああいう格好するとほんとに年齢不詳だなあ)
昨日はいかにもシゴデキ!な雰囲気で誤魔化していたが、こうしてみるとどう頑張って見積もっても二十歳そこそこの青年であり、大商会を率いるボスには見えない。
そして何より、気になったのは――
「カナ」
「よお、おつかれ」
「これ、なに?」
スミはカウンターに座ろうとしているカナチカの前に立つと、カナチカの顔面にかかった『不純物』に指をかけた。
「……なにって。メガネ?」
昨日はそこになかったもの。――細いフレームの、眼鏡だ。
「目悪いの?」
「ううん。めっちゃいい」
カナチカが無抵抗なのをいいことに、眼鏡を抜き取る。
試しに眼鏡越しに店内を見てみるたが視界はそのまま。めっちゃいい、という自己申告の通りそのレンズに度は入っていないようだ。
「ないほうがいいよ」
そもそも眼鏡はフレームだけでも高級品なわけだが。
必要がないのならつけなくてもいいのではと思う。
「……いや、視力はいいんだけど、俺調子悪いの全部目に出るんだよね」
「ん?」
返せ、と右手がひらひらと動くのに適当に握手で応えながら、不自然に逸らされた目を見る。そこにあるのは、昨日と変わらない新緑ような美しい瞳と――
「……三重?」
綺麗に重なった、瞼。
言われてみたら確かに。昨日より目元がいくぶん混雑しているような、重たそうな、気がしなくもない――が。
(わかるかそんなもん)
「別に普通に綺麗だけど」
「は?」
「まあ、座りなよ。お疲れ様」
こんなもので隠すほどのデメリットには思えず。ドストレートな感想を告げて、着席を促した。
言われた方のカナチカはぽかんとしているし、周囲の女性陣のきゃあという謎の悲鳴も聞こえていないわけではないが気にしないことにする。
「調子悪いっていうのは?」
「……ただの寝不足」
「そ。よかった。飯は?食べた?食べる?」
ちなみに今日のランチも、二種選択制だ。
注文を絞らせるのは人的、予算的なコストを削減するための苦肉の策なのだが、いまのところ調子は良い。
「……とりあえず肉。」
はあ~、と深いため息をつくカナチカの表情には明らかな疲労が浮かんでいて、なるほどカロリーと了承した。
おそらく、搜索の時間を作るために結構な無理をしているのだろう。
(せめて回復アイテムになればいいな)
この無理は、雇い主のためのもの。本当はよくないけれど、少しくらい、わかりにくい形でサービスをしてやろうか。そんなことを考えながらキッチンに戻ると、妙なカオをしたカスガもその後ろに続いた。
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