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異世界帰りへ③ 英雄は○○を好みます
リル⑤ スキル磨き
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リルがしばらく生活する部屋の前に訪れて、三回ドアをノックした。
さすが王族令嬢様、少し離れたところからではあるけれど、きっちり通路を見渡す角度で二人の兵士が見張っている。
「――誰?」
「俺、ハヤトだ。開けてくれ」
中からバタンバタンと物音が鳴り、しばらくするとシンと静まってゆっくり扉が開いた。
「……何か用?」
「凄い音がしてたけど、お前一人なのか?」
「一人よ」
少し背伸びをして、彼女の頭の上から後ろの様子を見遣る。
「ちょっ、勝手に見ないでよ!」
造りそのものは俺の部屋と大差ないように見える。というか、うり二つだ。しかし幾つもの衣装鞄が床に取り散らかっている。
かと言って服がひっちゃかめっちゃかに置かれているとか、そういうことはない。
ただ、服の代わりに何故か、鍋や包丁といった調理道具が散見できた。
「お前、料理するのか?」
「ああ、もう……見ちゃってるし…………」
「勝手に見たのは悪かったよ」
両手を顔の高さに上げて、もう見ないから、と身振り付きで伝える。
「にしても、王族が料理……か。自分でやらなくても、誰かがやってくれるんじゃないのか?」
「養成学校では必須スキルなのよ」
「なんで?」
「誰かさんが『女の子の手料理が食べたい』とか、我が儘を言ったんじゃないのかしら」
リルはジト目で俺のことを見る。
まあ、うん。確かに言った覚えがある。
肉じゃが作ってくれたら嬉しいとか。
味噌汁の一つぐらいはせめて、とか。
この世界の料理も悪くはないけれど全体的に獣臭くて困る。故郷の味が懐かしくなるのは当然だ。味噌と醤油の香りが酷く懐かしい。
しかし中世西洋風世界に味噌なんてものがあるわけないし、俺が味噌の造り方を知っているわけもない。
大体あれ、発酵食品だから時間がかかるだろう。醤油も同様だ。
「謎の料理ばっかりオーダーされる身にもなりなさい!」
可愛らしく腰に手を当てて軽く覗き込むように、ビッと人差し指を立てられた。
くそぅ、めっちゃ可愛いやんけ。
さすが王族令嬢様、少し離れたところからではあるけれど、きっちり通路を見渡す角度で二人の兵士が見張っている。
「――誰?」
「俺、ハヤトだ。開けてくれ」
中からバタンバタンと物音が鳴り、しばらくするとシンと静まってゆっくり扉が開いた。
「……何か用?」
「凄い音がしてたけど、お前一人なのか?」
「一人よ」
少し背伸びをして、彼女の頭の上から後ろの様子を見遣る。
「ちょっ、勝手に見ないでよ!」
造りそのものは俺の部屋と大差ないように見える。というか、うり二つだ。しかし幾つもの衣装鞄が床に取り散らかっている。
かと言って服がひっちゃかめっちゃかに置かれているとか、そういうことはない。
ただ、服の代わりに何故か、鍋や包丁といった調理道具が散見できた。
「お前、料理するのか?」
「ああ、もう……見ちゃってるし…………」
「勝手に見たのは悪かったよ」
両手を顔の高さに上げて、もう見ないから、と身振り付きで伝える。
「にしても、王族が料理……か。自分でやらなくても、誰かがやってくれるんじゃないのか?」
「養成学校では必須スキルなのよ」
「なんで?」
「誰かさんが『女の子の手料理が食べたい』とか、我が儘を言ったんじゃないのかしら」
リルはジト目で俺のことを見る。
まあ、うん。確かに言った覚えがある。
肉じゃが作ってくれたら嬉しいとか。
味噌汁の一つぐらいはせめて、とか。
この世界の料理も悪くはないけれど全体的に獣臭くて困る。故郷の味が懐かしくなるのは当然だ。味噌と醤油の香りが酷く懐かしい。
しかし中世西洋風世界に味噌なんてものがあるわけないし、俺が味噌の造り方を知っているわけもない。
大体あれ、発酵食品だから時間がかかるだろう。醤油も同様だ。
「謎の料理ばっかりオーダーされる身にもなりなさい!」
可愛らしく腰に手を当てて軽く覗き込むように、ビッと人差し指を立てられた。
くそぅ、めっちゃ可愛いやんけ。
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