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異世界帰りへ③ 英雄は○○を好みます
飲食代で通りませんか? ③
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国王は威厳ある声で、言う。
「大陸制覇の英雄がこの振る舞いでは、評判が下がる一方じゃ。今後、国費の個人利用は禁止とさせてもらう」
「で……でも俺は、まだヒロインを――。それじゃ生活は……」
更に俺の言葉を無視して、二の句を継ぎ始めた。
「――しかし其方がすぐに日本へ帰ると踏んで、その程度の噂なら揉み消せると高を括り見逃していたことも事実。更に其方を帰れない状況にしてしまったことに関しては、ワシにも落ち度がある」
おっ、ようやく国中の美女をネトラレ属性に変えたことが間違いだと気付いたか?
「日本に帰れば嫁となる者をすぐに選べ、というのも無理がある。まだ若いのじゃ。せめてもう少し互いを知り、互いの良さに気付いてからでも遅くはないじゃろう」
「は、はあ……」
説法のように言われているし、その言葉自体に反論はないのだけれど、お前も論点ずれてるよ?
そもそもリルにネトラレ属性が叩き込まれていなかったら、即行で連れ帰っていたという話なわけで。
まあ、その場合リルの素の性格に気付けず日本で苦労しただろうから、結果的にはこれで助かったのかもしれないけれど。
「そこで其方達には、生活を共にしてもらおうと考えておる」
国王が放った言葉に、俺だけではなくリルやマノンも驚いた。
「ちょっ、お祖父さま!? ネトラレを理解しない者となど――」
「引きこもれないなら、城もろとも粉々にするよ?」
うーん。今の発言だけを聞いても、こいつらと生活を共にしたところで互いの良さなんてわかり合えない気がする。どっちも勘弁願いたい!
「リル、これは国王命令じゃ」
「そんな……」
威厳を効かせた国王に対してリルは承服しがたいという表情を見せたが、すぐにシュンとして俯き、それ以上は反論しなかった。
ほんと王政って……。
「そしてマノンちゃん。……城にはいくらでも引きこもれる部屋がある。新居を拵えるまではそこに居着いてもらって、構わんのじゃよ」
「三食昼寝付き?」
「当然じゃ」
「なら大丈夫。――城と命は大切に、ね?」
怖いわ!
マノンは一々脅しを入れるところがある気がする。この子、本当に十四歳なのかな。
「第一じゃな、二人の仕掛けた魔法の結果でハヤトに死なれると、契約不履行でワシまで死ぬ可能性があるのじゃ。それは困る」
あー、なるほど。最終的にはそこに行き着いたわけか。
ネトラレを叩き込んだ国王は契約不履行で死にたくない。
ネトラレを叩き込まれたリルは国王命令に逆らえないようだし、俺に選ばれなかったことへ反感を持つ程度にはプライドも高そうだ。
日本で引きこもりたいマノンに諦める気配はない。
俺は死なない程度に二人の好感度を上げつつ、できれば――、いや、絶対に二人以外のヒロインを見つけ出したい。
「……妙な利害関係が一致してんなあ」
一言だけ呟いて、俺は諦めの境地に達した。
この際だ、日本に連れ帰る一人を厳選するという一点以外は妥協するしかない。
王族の令嬢と国を破壊できる魔法使い。そして英雄。
大人しくしていれば悪いようにはされないだろう。…………多分。
「大陸制覇の英雄がこの振る舞いでは、評判が下がる一方じゃ。今後、国費の個人利用は禁止とさせてもらう」
「で……でも俺は、まだヒロインを――。それじゃ生活は……」
更に俺の言葉を無視して、二の句を継ぎ始めた。
「――しかし其方がすぐに日本へ帰ると踏んで、その程度の噂なら揉み消せると高を括り見逃していたことも事実。更に其方を帰れない状況にしてしまったことに関しては、ワシにも落ち度がある」
おっ、ようやく国中の美女をネトラレ属性に変えたことが間違いだと気付いたか?
「日本に帰れば嫁となる者をすぐに選べ、というのも無理がある。まだ若いのじゃ。せめてもう少し互いを知り、互いの良さに気付いてからでも遅くはないじゃろう」
「は、はあ……」
説法のように言われているし、その言葉自体に反論はないのだけれど、お前も論点ずれてるよ?
そもそもリルにネトラレ属性が叩き込まれていなかったら、即行で連れ帰っていたという話なわけで。
まあ、その場合リルの素の性格に気付けず日本で苦労しただろうから、結果的にはこれで助かったのかもしれないけれど。
「そこで其方達には、生活を共にしてもらおうと考えておる」
国王が放った言葉に、俺だけではなくリルやマノンも驚いた。
「ちょっ、お祖父さま!? ネトラレを理解しない者となど――」
「引きこもれないなら、城もろとも粉々にするよ?」
うーん。今の発言だけを聞いても、こいつらと生活を共にしたところで互いの良さなんてわかり合えない気がする。どっちも勘弁願いたい!
「リル、これは国王命令じゃ」
「そんな……」
威厳を効かせた国王に対してリルは承服しがたいという表情を見せたが、すぐにシュンとして俯き、それ以上は反論しなかった。
ほんと王政って……。
「そしてマノンちゃん。……城にはいくらでも引きこもれる部屋がある。新居を拵えるまではそこに居着いてもらって、構わんのじゃよ」
「三食昼寝付き?」
「当然じゃ」
「なら大丈夫。――城と命は大切に、ね?」
怖いわ!
マノンは一々脅しを入れるところがある気がする。この子、本当に十四歳なのかな。
「第一じゃな、二人の仕掛けた魔法の結果でハヤトに死なれると、契約不履行でワシまで死ぬ可能性があるのじゃ。それは困る」
あー、なるほど。最終的にはそこに行き着いたわけか。
ネトラレを叩き込んだ国王は契約不履行で死にたくない。
ネトラレを叩き込まれたリルは国王命令に逆らえないようだし、俺に選ばれなかったことへ反感を持つ程度にはプライドも高そうだ。
日本で引きこもりたいマノンに諦める気配はない。
俺は死なない程度に二人の好感度を上げつつ、できれば――、いや、絶対に二人以外のヒロインを見つけ出したい。
「……妙な利害関係が一致してんなあ」
一言だけ呟いて、俺は諦めの境地に達した。
この際だ、日本に連れ帰る一人を厳選するという一点以外は妥協するしかない。
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大人しくしていれば悪いようにはされないだろう。…………多分。
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