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異世界帰りへ③ 英雄は○○を好みます
飲食代で通りませんか? ②
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なぜか、夜のお店へ遊びに出向いていたことが国王にバレている。
俺はハッと気付いて、国王の傍で侍従のように畏まって立ち尽くすパティを睨んだ。
「パティ、お前ぇ……」
この中でそれを知っているのは、こいつだけだ。
だがパティはふいと視線を逸らして、わかりやすい態度で知らない振りをしている。
長い旅路には息抜きも必要だ――と言えば理解してくれたから、『なんだこいつチョロいじゃん』って思ってたのに。
「パトリシアは権力に弱いからのう。あっさり供述してくれたわい」
国王から見てもチョロいとは考えていなかった。
一応こいつ賢者だし、俺の言い分にも正当性はあるわけで、ついでに言えば店内での出来事なんて知るわけがない。
じゃあ少しは気を利かせるだろう――って、思い込んでいた。
「特に十八になってからの三年間は、立ち寄る町々で女性に金をばらまいて豪遊。二十歳になってからのここ一年は酒に酔うと、おさわり禁止の店で金を見せ付けて強引に抱きつき女性の胸に顔を――」
「ぬぁぁぁぁぁっ! もういい! わかったからそれ以上は言うなぁぁぁっ!!」
なんで事細かに伝わっている!?
パティか? まさか俺が楽しむ姿をどこかから見ていたのか!?
「――――ふむ。しかしの、税金の不正使用、横領――――普通なら、ギロチン台で刎ね首じゃよ?」
この中世めええええっ!
心の中で叫んだ瞬間、俺はあることに気付いた。
リルとマノンの……、特にマノンの好感度が目に見えて減少している。
――汚い大人は嫌い。
「ちょ、マノン? これは違うんだ! その――っ」
「は? なぜ私に謝るんですか? 私は引きこもるためなら多少薄汚れた大人が相手でも我慢しますよ」
「ぐふぅ――」
十四歳に言われると心に堪えるものがある。
「私は別に、お店ぐらい好きに行けばいいと思うけれど。……お店と寝取られは、ちょっと違うのよね」
リルは論点がずれている気がする。
こいつの好感度を回復させる気が起こらないのは何故だろうか。一応命が懸かっているというのに。
まあ大して減ってもいないし、放って置いてもいいだろう。
ほんとネトラレ願望さえなければ良い奥さんだったかもな、こいつ。
「――し、しかし国王、俺、いや私は大陸制覇を果たし――その…………だって、だって五年ですよ!? たまには息抜きも必要じゃないですか!」
俺は自己を正当化し、声を張って主張した。
間違ってはいないはずだ。
「うむ。其方の主張は簡単に否定できぬものじゃ。息が詰まって大陸制覇に失敗されたほうが、国の損失は大きいからの」
「そうです! つまりこれは必要経費と呼べるわけで、福利厚生というか、その――――っ」
「内容の問題じゃ」
「はい……」
そこを指摘されると立場がない。
しかしパティは何故、店内での出来事を知っているのだろうか。
一度も連れて行った覚えはない――というか露出多めの女の子と楽しく会話しながら酒を飲む店に、多感な年頃の女の子を連れて行くわけがない。
酔っ払ってうっかり話しちゃったのかな……。
俺はハッと気付いて、国王の傍で侍従のように畏まって立ち尽くすパティを睨んだ。
「パティ、お前ぇ……」
この中でそれを知っているのは、こいつだけだ。
だがパティはふいと視線を逸らして、わかりやすい態度で知らない振りをしている。
長い旅路には息抜きも必要だ――と言えば理解してくれたから、『なんだこいつチョロいじゃん』って思ってたのに。
「パトリシアは権力に弱いからのう。あっさり供述してくれたわい」
国王から見てもチョロいとは考えていなかった。
一応こいつ賢者だし、俺の言い分にも正当性はあるわけで、ついでに言えば店内での出来事なんて知るわけがない。
じゃあ少しは気を利かせるだろう――って、思い込んでいた。
「特に十八になってからの三年間は、立ち寄る町々で女性に金をばらまいて豪遊。二十歳になってからのここ一年は酒に酔うと、おさわり禁止の店で金を見せ付けて強引に抱きつき女性の胸に顔を――」
「ぬぁぁぁぁぁっ! もういい! わかったからそれ以上は言うなぁぁぁっ!!」
なんで事細かに伝わっている!?
パティか? まさか俺が楽しむ姿をどこかから見ていたのか!?
「――――ふむ。しかしの、税金の不正使用、横領――――普通なら、ギロチン台で刎ね首じゃよ?」
この中世めええええっ!
心の中で叫んだ瞬間、俺はあることに気付いた。
リルとマノンの……、特にマノンの好感度が目に見えて減少している。
――汚い大人は嫌い。
「ちょ、マノン? これは違うんだ! その――っ」
「は? なぜ私に謝るんですか? 私は引きこもるためなら多少薄汚れた大人が相手でも我慢しますよ」
「ぐふぅ――」
十四歳に言われると心に堪えるものがある。
「私は別に、お店ぐらい好きに行けばいいと思うけれど。……お店と寝取られは、ちょっと違うのよね」
リルは論点がずれている気がする。
こいつの好感度を回復させる気が起こらないのは何故だろうか。一応命が懸かっているというのに。
まあ大して減ってもいないし、放って置いてもいいだろう。
ほんとネトラレ願望さえなければ良い奥さんだったかもな、こいつ。
「――し、しかし国王、俺、いや私は大陸制覇を果たし――その…………だって、だって五年ですよ!? たまには息抜きも必要じゃないですか!」
俺は自己を正当化し、声を張って主張した。
間違ってはいないはずだ。
「うむ。其方の主張は簡単に否定できぬものじゃ。息が詰まって大陸制覇に失敗されたほうが、国の損失は大きいからの」
「そうです! つまりこれは必要経費と呼べるわけで、福利厚生というか、その――――っ」
「内容の問題じゃ」
「はい……」
そこを指摘されると立場がない。
しかしパティは何故、店内での出来事を知っているのだろうか。
一度も連れて行った覚えはない――というか露出多めの女の子と楽しく会話しながら酒を飲む店に、多感な年頃の女の子を連れて行くわけがない。
酔っ払ってうっかり話しちゃったのかな……。
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