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異世界帰りへ③ 英雄は○○を好みます
飲食代で通りませんか? ①
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いつの間にか夕刻。
城に帰って、再び王座の間に入る。
「ちーっす」
もう国王を敬う気はこれっぽっちもない。
重い扉を近衛兵に開けてもらい堂々と、そのまま王座の周りまで歩く。
まあ、すでに先客がいるようだが。
「あなたは王族なのですから、この国に留まれば良いんです」
「あんたこそ、一生小屋に引きこもっていれば良いのよ」
彼女達が啀み合っている理由がわからない。
いや百歩譲って、日本での引きこもり生活を目標に掲げるマノンの事情を理解したとしよう。
だがリルは、意地になって張り合う必要はないと思うのだが。
俺がどこか他人事のように二人を眺めていると、ドンッ、と鳴らして、国王が馬鹿でかい宝石付きの杖を厚い絨毯に突き下ろした。
「静粛に! リルは王族じゃろう。一国民を相手に余裕を失うでない」
急に威厳を発揮して声音を低くした国王を、俺は目を半眼に細め、冷めた感情でジーッと見る。
「マノンちゃんも、ライフラインを止めるぞ!」
「……くっ」
マノンの弱点はライフラインの停止か。
確かに、引きこもることを前提としているならば――。仮に図抜けた魔法の才が国を滅ぼすレベルだとしても、滅ぼした後にライフラインを再開させるには多大な労力と犠牲を払うことになりそうだ。
面倒くさいことに変わりはない。
「――して、英雄ハヤトよ」
「なんだ」
だが俺に脅される要素はない。
ライフラインなんかいくらでも止めてもらって結構。
各所の町に滞在している間を除けば、旅路にそんなものはなかった。サバイバルにだけはやたら強くなったんだ。
第一――、
「すぐには日本へ帰らないとして――。其方は、どうやってこの国で生活するつもりじゃ?」
「生活? そんなもん、国の金で……」
俺はこれまでの五年間、国王の赦しを得て、国の金を自在に動かしてきた。
個人の財布などという小さな価値観は、とっくにない。
「なぜ統一を果たした後まで、其方に国費を使わせねばならん?」
「――なっ、ジジイ! 汚えぞそれは!」
そんなことをされては、個人の財布を持ち合わせていない俺は本気で生活が成り立たなくなる。
大体、英雄をぞんざいに扱うなんて――。
「聞くところによると其方、諸国統一の最中に随分と派手な遊びへ金を費やしたそうじゃな。キャバクラ……正確にはコスパブ、ランパブ」
「な、なぬなななんのことでしょうか!?」
マズい。何故そんな情報が漏れた!?
城に帰って、再び王座の間に入る。
「ちーっす」
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「あんたこそ、一生小屋に引きこもっていれば良いのよ」
彼女達が啀み合っている理由がわからない。
いや百歩譲って、日本での引きこもり生活を目標に掲げるマノンの事情を理解したとしよう。
だがリルは、意地になって張り合う必要はないと思うのだが。
俺がどこか他人事のように二人を眺めていると、ドンッ、と鳴らして、国王が馬鹿でかい宝石付きの杖を厚い絨毯に突き下ろした。
「静粛に! リルは王族じゃろう。一国民を相手に余裕を失うでない」
急に威厳を発揮して声音を低くした国王を、俺は目を半眼に細め、冷めた感情でジーッと見る。
「マノンちゃんも、ライフラインを止めるぞ!」
「……くっ」
マノンの弱点はライフラインの停止か。
確かに、引きこもることを前提としているならば――。仮に図抜けた魔法の才が国を滅ぼすレベルだとしても、滅ぼした後にライフラインを再開させるには多大な労力と犠牲を払うことになりそうだ。
面倒くさいことに変わりはない。
「――して、英雄ハヤトよ」
「なんだ」
だが俺に脅される要素はない。
ライフラインなんかいくらでも止めてもらって結構。
各所の町に滞在している間を除けば、旅路にそんなものはなかった。サバイバルにだけはやたら強くなったんだ。
第一――、
「すぐには日本へ帰らないとして――。其方は、どうやってこの国で生活するつもりじゃ?」
「生活? そんなもん、国の金で……」
俺はこれまでの五年間、国王の赦しを得て、国の金を自在に動かしてきた。
個人の財布などという小さな価値観は、とっくにない。
「なぜ統一を果たした後まで、其方に国費を使わせねばならん?」
「――なっ、ジジイ! 汚えぞそれは!」
そんなことをされては、個人の財布を持ち合わせていない俺は本気で生活が成り立たなくなる。
大体、英雄をぞんざいに扱うなんて――。
「聞くところによると其方、諸国統一の最中に随分と派手な遊びへ金を費やしたそうじゃな。キャバクラ……正確にはコスパブ、ランパブ」
「な、なぬなななんのことでしょうか!?」
マズい。何故そんな情報が漏れた!?
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