異世界帰りは寝取られ令嬢と共に。 ~命がけで頑張ったので、ただ可愛すぎるだけの人はお断りします~

本山葵

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異世界帰りへ① 王族の令嬢は○○です

凱旋と報酬②

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 まず俺の異世界強制そうかん……じゃなかった強制召喚において、とても幸運な点が二つある。
 一つはこうりやくできるほどの力をあたえられ、攻略後の日本かんが保証されていたこと。

 大前提だよね。
 帰れないからめられて、着の身着のままはいすいじんがんる――っていう物語も好きだけどさ。
 自分の身に降りかかるのはめんだ。
 いきなり国を代表して戦えって、そんなもん断る以外のせんたくがどこにある?
 戦って勝てる力があるなら、その力でおおせるわ。普通に考えて。
 本気の殺し合いなんてやったらスパッと首ねられて死ぬかもしれないんだぞ。

 ――――だからそれだけでは、命をして戦う理由には全く足りない。

 そこで二つ目だ。
 日本へ帰還する際には、一人、国王と俺の両者が認めた

『ヒロイン』を

『婚約者』として

 持ち帰ることができる。

 そしてそのけいやくを、たがいの命をけてこうする。
 これが青春を捨てて命を賭す理由に足るかは個人の価値観によるだろうけれど、他に日本へ帰る手段が用意されていないこともあって俺は、この所謂いわゆる『ヒロイン報酬』を戦う理由に定めた。

 日本でそこそこ頑張って勉強をして、そこそこの学歴で、そこそこの仕事をして……。
 それでそこそこのよめもらうことができれば良いのだけれど、現実は最後の嫁のところだけ異常に難易度が高いからな。
 急に難易度をベリーハードに変えたらプレイヤーが混乱することを神様や社会は、理解していないのだ。
 みなまだ一周目なんだよ。多分。


「……どうした、なやんでおるのか?」


 爺さんは心配してくれている。
 強制召喚とか強制スキルじゆとかちやちやなイベントを起こすけれど、根はいい人なんだよなあ。
 国民からも慕われているし。
 実際にこうして大陸せいまでげたのだから、これはもう、後世まで語り継がれる名君ってやつだ。


「いえ。五年の旅路に思いをせていました」


 無意識にこういう切り返しができる程度にはコミュニケーション能力が成長したが、こんなものは上っ面である。
 俺は人付き合いなんてめんどうくさいと思ってしまうタイプの人間だ。
 この世界でスマートフォンやら何やらから解放されて、ちょっと精神的に安らいでしまった程に。

 なにあの機械。
 なんでプライベートの時間に他人から送られてくるどうでもいい文言を読まないといけないの。
 返事をしなかったらきよを置かれるし、頑張って返事を書いたら『言葉が冷たい』とか言われるし、面倒くさくなって画像にたよったらかげで『ちょっとキモい』とか言われるし、どうすればいいんだよ。
 大体、半世紀前までそんな文化はかけもなかったのに、なんで当然のように根付いたのか理解に苦しむ。
 ずっとあれにしばられていないと社会的生活を送れないって、どんなばつゲーム?

 そんな俺に、彼女なんてできるわけがない。

 もしも『性格変えないと彼女できないよ』なんて言われようものなら、『じゃあできなくていい』って強がって答えて、家に帰ってから一人でまくららすタイプなんだ俺は。


「本当に長い旅じゃったの。つかれもえていないじゃろう。少しぐらい、この国でゆっくりしてからでも構わんのじゃよ」

「……日本に、家族がいますから」


 しんみような風に言ってみたが、もう五年もっている。
 日本にもどったら死んだようなあつかいになっていて、ひょっとしたら家にぶつだんが用意されているかもしれない。

 部屋に残したあれとかパソコンの中身とか、そういうのを心配するのは一年できたし、とつぜんいなくなって両親に申し訳ないという気持ちは今でもある。
 だからなおのこと、良い嫁ヒロインを連れて帰って色んな意味で安心させてやりたい。

 こっちの世界でも勉強はできたし、すぐに高卒にんてい試験を受けて大学受験をすれば二ろうか三浪。かなりの後れを取るけれど、まだ絶望的展開とまでは言えないはずだ。
 というかしつそうしたむすが五体満足で帰ってくるだけで十分だろう。きっと、生きているだけで喜んでくれる。

 ……いつの間にか、ずいぶんハードルが下がったな。

 この子はこんなんでまともな社会人になれるのかしら!? とか、きっともう言われない。
 それは、ちょっとさびしいかもしれない。


「そうじゃな。早く両親を安心させてやりなさい」

「はい」


 俺が希望に満ちた声で答えると、爺さん――いや国王は、となりに立つじゆうを呼び寄せて、何かを指示した。
 ――――ついに、契約が果たされる。
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