異世界帰りは寝取られ令嬢と共に。 ~命がけで頑張ったので、ただ可愛すぎるだけの人はお断りします~

本山葵

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異世界帰りへ⑤ 国王は新たな○○を画策する

マノン⑪ 王族と魔力

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 マノンのちようきゆうと呼べる魔法にも、欠点はあった。
 強力ではあるのだけれど、賢者ほどの知識を持っているわけではない。

 例えばこの盗撮魔法では、『知っている人か、知っている場所』どちらかの要件を満たしていなければ映し出せないそうだ。
 今は、この部屋にそっくりな部屋が映っている。


「これは?」

「私の部屋です」


 そういやマノンの部屋に入ったことは、あまりないな。
 物が散らばっているわけでもなく、むしろすっきり片付いていて、ただただすいみんに適した部屋という印象だ。


「リルの部屋も見られるのか?」

「それでもしえ中だったら、どうするのですか。だいたい、プライバシーのしんがいです」

「ああ、まあそうか」

「公共の場所を映してみましょう」


 そうして映し出されたのは、城下町の、ある表通りだった。
 商店が並ぶにぎやかな場所である。


「これは……?」

「家の近所です。一度だけ、両親に連れて行ってもらったことがあります」

「近所なのに、一度だけなのか?」


 と、つうたずねしまったしゆんかん
 この質問は引きこもりの事情に深く関わるのではないか――。
 平たく言えば、思いっきりらいんだんじゃないか――、と。


「――――両親、と呼ぶのも、心苦しいぐらいなのですよ」


 ほら……。これ絶対地雷じゃん。

 ネトラレ養成学校だけが原因かと思っていたけれど、マノンからは『引きこもる前の生活』が全く伝わってこなかった。
 今のねんれいから逆算して、学校の件が精々、二とか三年前ぐらいの出来事だとすると……。日本で言う小学生の頃までは、そこそこ普通に生活していたのではないか、と思えたわけだ。

 どうしよう……。踏んだ地雷を忘れるか、それともあえてくか。
 ――マノンは色々問題をかかえていても、わいい妹のように感じられるところもあるわけで。
 引きこもり続けていたのなら、相談相手すらもいなかっただろうし。何よりも、この子と俺にはどこか通ずるものがあるような気もする。

 リルは王族で、育ちから何から全然違う。パティは学問に関しちゃ天下無敵の天才。
 だがマノンはとんでもない魔力を持っていることを除けば、普通の――――――――引きこもりだ。


「王族をえる魔法の才――。危険な目にでもったか?」

「なっ、なんでわかったのですか!?」

「王族貴族の名前とかにはくわしくないけれど、それでも、色々見てきたからな。この世界が抱える事情には、そこそこ精通しているつもりだ」


 魔法の才があるからこそ、王族が王族でいられる。
 王族の中でも魔法のゆうれつが存在し、最も強力で有用な魔法を持つ者が王となるそうだ。
 つまり今の国王は、召喚術にけて王位にいたと言うことになる。
 ならばマノンは、魔法の才だけで比べるならば、この国の王になるべきうつわを有していると言えるだろう。
 王の血族とはえんなはずなのに。

 ――そんなもの、この絶対王権国家が許すはずがない。

 幼い内に殺してしまう。
 両親をひとじちに取る。
 これぐらいのことは画策されたんだろうな、って。考え至るのに一秒もいらなかった。


「うちは貿易商の家系なのです。ですからちょっと遠くの町とかには、私もよく連れて行かれていました。一度だけ――というのは、そもそもこの町にあまりいなかったからでもあるのですよ。まだ、物心ついて間もなかったですし」


 しかし、こうして原因をひもいていけば、マノンの引きこもり願望を解消できるのではないだろうか。


「でも、私が強力な魔法を使えることが知れ渡ってからすぐ、父に発行されていた貿易許可証が取り消しになったのです」

ひどい話だな……」

「そうして、取引が始まりました」

「許可証がしければ、マノンの才能をかくせ――って?」

「殺せと言われないだけ温情だと思いなさい、という話です」


 はぁ……。本当に、一つも言葉が出てこないほど、酷い話だ。
 マノンのおどぐせまでも、ここに原因がありそうだな。自分や両親がまず脅されていたのかよ……。


「しかし物心ついて間もない子供が、身に余る魔力をコントロールできるはず、ないではないですか? 絶対にどこかでボロが出ます。それならいっそ――」

「いっそ、引きこもった、か。両親も協力して」

「――――はい」


 まさかそんな事情があったなんて。
 これは国王の居場所を探し出してなぐむ案件である。
 自分たちの地位を脅かすからと言って普通に生きていくことを許さないなんて、これではマノンと両親が余りにもわいそうだ。
 どの王族貴族が脅したかは知らないけれど、国王は最高責任者でもあるだろう。話ぐらいは聞いてもらわないとな。


「じゃあマノンは元々、引きこもりたくて引きこもったわけじゃない。――そういうことだな?」

「はい」

「そっか……」

「元々は、そうでした」


 ………………あれ、なんか限定された?


「一度引きこもってしまうともう――っ! 両親が家にいればぜんぜん! 学校には通わなくて良いし父の貿易にも付いていかなくていいし、現実も見る必要なし! そりゃぁもう最高の一言ですよ。わかりますよね!? ハヤトさんなら!!」

「わかるけど、わかっちゃだめなんだよ!!」

「ふぇっふぇっふぇぅ……。日本での引きこもり生活が楽しみですねぇ。いっそ二人で引きこもりましょうか? ずーっと一緒にいられますよぉ」


 これ、原因解決しても引きこもり続けるわ。可哀想なの、両親だけだったかも。
 ていかんに達すると同時に、俺たちの声がうるさかったのか、パティがむくりと起き上がった。
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