異世界帰りは寝取られ令嬢と共に。 ~命がけで頑張ったので、ただ可愛すぎるだけの人はお断りします~

本山葵

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異世界帰りへ⑥ その学校は○○の痕跡を残す

リル⑬ ヒロイン養成学校

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 リルに先導されて、王城と城下町のさかいにある『ヒロイン養成学校あと』をおとずれた。
 跡地と言っても城の一部である建物がこわされるはずもなく、次の使い道が決まるまで内装がそのままになっているそうだ。
 学校を作り直す案もあるとか。
 まだ建物に入る手前、広場の中で、観光案内人のようにリルが解説する。


「これが養成学校の銅像。『サラマンダーに乗るカップル』です!」


 色々とみたいところはあるけれど、今は無視しておこう。


「寝取られの初期段階をこうして心に刻みます」

「トラウマになるぞ……」

「最初の思い出がいかに深くれいなものであるかが、重要である。これはおさまが特に強く強調していたポイントです」


 なんだろう。
 おれたちのすることと、この学校、なんにも関係ない気がしてきた。


「この像は、学校ができたころからあったのか?」

「私が十五の頃だったから……。三年ぐらい前かしら? そもそも、最初の頃は寝取られという言葉を教わった覚えもないのよね」

「なるほど……ね」


 三年前から急にネトラレをみ始めたってことか。当初の目的から方針をてんかんする必要にせまられた――ってところだな。


「最初の頃は、どういうヒロイン像を理想としていたんだ?」

「そりゃ、ハヤトくんの好みの子に決まってるわ。確か当時は『背が小さくて、無口で、男性きようしよう気味の妹みたいな子。少し中二病気味でも可』……だったわよね。――――どうしたの? 顔、赤いよ」

「…………もう、こんな学校ほろんじゃえばいいと思う」


 過去の黒歴史ばくみたいになってるじゃん。
 そりゃね、俺、妹いないから! 妹キャラが好きな時代もありましたよ。コミュ障だから、俺よりコミュ障な子を望みましたよ。ええ。…………悪いか!? 思春期のごく一部にそんな時代があったってよかろう!?


「よしっ、私、無口になる!」


 赤面する俺の横で、マノンが勝手な決意を固めた。
 確かに無口以外はマノンそのものなんだけどね。今はもうその設定、そんなにひびかないからな?


「でも……やっぱ変だよな」

「うん。寝取られがハヤトくんの願望じゃなかったのなら、急にお祖父様の好みが入ってきていることになっちゃう」


 ちなみにパティはお口にチャック中。
 権力の犬であるかのじよが国王のやろうとしていることにさぐりを入れるなんて、もってのほかなのだろう。
 いつしよに付いてきているだけでも良し、か。
 ただ……。


「パティ、めっちゃ目がかがやいてるぞ」


 秘密を知りたい願望が強すぎるのか、目が『知りたい知りたい知りたい』と言わんばかりに輝いている。目は口ほどにものを言うって、こういうことか。


「よし。中に入ってみようぜ」

「うんっ」


 それから校舎の中に入ると――。
 くつぐ、いわゆるばこが用意されていた。


「これも日本文化のしようちようだ――って」

「うん。不覚にもちょっと感動した」


 この中世西洋風ファンタジー世界じゃ、靴を脱ぐ文化なんてあるはずもなく。るときぐらいしか裸足にならないわけだ。


「おわっ、うわきじゃねえか、これ!?」


 無論、靴を履き替える文化もない。


「日本から取り寄せたのじゃ! って」

「ここまでこだわるのかよ。凄えな……」


 ただ、俺の通っていた高校、土足OKだったんだよねぇ。


せつかくだからいてみたら?」

「男用はないだろ。それに他人の上履きを履きたがるやつはいねえよ」

「女の子用なら、新品がいくらでもあるわよ? だれかさんが『靴がよごれっぱなしの人は性格もゆるい』とか、好き勝手なことを言ってくれたおかげで」

「俺もう、帰っていいかな」


 これ以上は泣いちゃう。えらそうに何言ってんの俺……。
 暗黒史にひしがれている横で、マノンとパティが上履きにえる。
 日本ならマノンは中学生。パティは大学生……か。

 ――――――いや、ちょっと待てよ。この学校には人妻も通っていたはずだ。つまり人妻がここで靴を脱ぎ、上履きを履いていた――ということか!
 ………………悪くない。むしろ、あり……だな。


「なんで靴を履き替えるだけで、鼻の下ばせるのよ。……はぁ、先行くわよーっ」

「変態の顔をしています」

「…………お口にチャックです」


 三人の好感度がちょっぴり下がった。
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