異世界帰りは寝取られ令嬢と共に。 ~命がけで頑張ったので、ただ可愛すぎるだけの人はお断りします~

本山葵

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異世界帰りへ⑦ ○○を知る英雄は紳士と語る

マノン⑬ 食べられない

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 車輪のついた銀製の荷台で夕食を運んでから、寝ているマノンを起こす。すると当然のように、荷台をして自室へ歩き始めた。


「マノン、今日も一人で食べるのか?」

「はい」


 止めても歩き続ける。
 うーん……。食事を人に見られたくないってことかな。
 思春期ならではのなやみ?
 でも、あんまりそういう話は聞いたことがないな。

 いや、そりゃ俺だって、引きこもっていたころは自室に閉じこもってご飯を食べていた時期はあった。もうだれとも接したくない精神状態の頃だ。
 しかしそういうのは、家からは出なくても少し自室からは出られるようになって家族と接するようになりはじめて、少しった頃には自然と解消されていた。
 マノンは俺たちとの交流をそれほどこばまないし、食事だけ一人が良いというのは、少しかんがある。


「マノンちゃんは、一人でご飯を食べたいの?」


 リルがやさしく問う。二人の年の差は四つ。引きこもりの妹をづかう、良いお姉ちゃんみたいだ。


「……別に、そういうわけでは、ないのですけれど」


 んー?
 今の反応を見るからに、当のマノンだって、一人での食事を全力で好むというわけでも無さそうだ。
 引きこもり願望は全くかくしていないわけで、えんりよや気遣いでそういう風に言っているとも思えない。


「なあ、ひょっとしてマノンって、他人の見ている前でメシを食ったこと、ないんじゃないか?」


 幼少の頃に強制的に引きこもらされてから十四さいになる今まで、ほとんどずっと引きこもり。
 一日だけ学校へ連れて行かれたのがとくしゆなのであって、それ以外は本当に一歩も外へ出ていないそうだ。
 筋金入りにもほどがあると言いたいけれど、親のためという面も持ち合わせているから、言えないな。


「…………はい。どうしたらいいか、わからないのです……から、一人で……」


 それはマノンから出た言葉の中で過去最大級に希望が持てるものだった。
 本当は私もいつしよに食べたい――という気持ちがあふていたからだ。
 俺とリルは顔を見合わせて、喜びを共有した。

 よく考えてみるとマノンという女の子は、国王すらおどして城をひとじちのようにあつかうほどきようれつな引きこもり願望はあっても、ひとぎらいではない。
 喋らないわけでもないし、むしろ俺やリル、パティとのコミュニケーションを楽しんでいる節すらある。
 …………まあ、パティ相手に関しては、かなりじよくてきな物言いで遊んでいる感もあるけれど。


「リル、まだ食べられるよな!?」

「もちろん!」


 それから俺たちは「ちょっと待っていてくれよ」と言い残して、自分たちの『おかわり』を頂くために調理場へ向かった。
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