怪談を語ってはいけない2 ―昭和59年度・横浜市X中学校文芸部誌 別冊「私たちの学校の不思議」―

悠月

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プロローグ:「私たちの学校の不思議」

技術準備室に並べられた鎌と悲鳴

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 私たちの校舎は、上から見ると「コ」の字の形をしています。

 コの字の「|」に当たる部分には、普通教室が並び、上下の横棒「―」に当たる部分には、美術室や書道室、技術室といった特別教室が並んでいるのです。
 各特別教室の隣には、準備室も並んでいました。

 横棒「―」の特別教室が並ぶ辺りはいつもなんだか薄暗くて、私は行くのが嫌です。
 特に、端の方はとても薄暗いのです。

 私が嫌いなのは、技術の準備室です。
 授業で使うものかもしれませんが、なぜか古い鎌が床に何本も置かれています。

 近くまで行くと、なぜか誰かの悲鳴が聞こえます。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ひぃいいいぃぃぃぃぃぃ」

 高い声なので、女性……あるいは女子生徒の悲鳴だと思います。
 

 初めは、誰かがふざけて叫んでいるのかと思いました。
 けれど、叫び声は数十分経っても止みません。
 それに、いつ行っても悲鳴が聞こえてくるのです。

 誰がどこで叫んでいるのでしょう。
 何かの反響音かと思って耳を澄ませてみます。
 でも、音の出所はまったく見当がつきません。

 私は怖くなって、技術の先生に聞いてみました。

「先生、技術の準備室から悲鳴が聞こえてくるんですけど」

 先生は、一瞬だけ顔を強張らせたように見えました。

「…………」

 しかし、すぐに笑顔に戻るとこう言いました。

「気のせいだよ。この校舎は古いからね。風が強い日はどうしても、変な音がする。風が通るときに、変な音がするんだよ」

 でも、私は知っています。
 あの悲鳴は、誰かの声だと思います。

 生きている人かどうかはわかりません。

 けれど、その「誰か」は、今もあの準備室で叫び続けているのです。

[3年A組・████・記]
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