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プロローグ:「私たちの学校の不思議」
窓から伸びる顔
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これは、2年生のMから聞いた話です。
夕方、部活を終えたMは帰宅の途につきました。
帰り際、校門から校舎を振り返ると、二階の教室の窓際に友人が立っているのが見えました。
もう下校時刻なのに、家に帰らないのかな。
不思議に思いながらも、Mは友人に向かって手を振ったそうです。
友人も笑顔で手を振り返してくれました。
「また、明日ね」
Mの言葉に、友人は「うん」と頷きました。
そして、笑顔のまま、その友人の顔だけがすーっと、真横に1メートルほどスライドしたのです。
カニのように、横に歩いたわけではありません。
ただ、顔だけが滑らかにスライドしたのです。
あれ、そういえば、体はどうなっているんだろう?
体に視線を向けようと思ったところで――
「またね」
そう言いながら、友人の首だけが、窓からにゅーっと突き出てきました。
まるで、昔話のろくろ首のように。
「……ひっ」
首は一階に付きそうなところまで、伸びていました。
――あれは、友人じゃない……。
「きゃあああああぁぁぁぁ」
Mは悲鳴を上げながら、一目散に校門を駆け抜けたそうです。
心臓がドキドキ、バクバクして、家に帰ってもずっと布団をかぶっていました。
あれが、家まで追いかけてきたらどうしよう――そう思うと、怖くて夜もあまり眠れなかったそうです。
家族には、具合でも悪いのかと心配されながらも、次の日、Mは休むことなく登校しました。
確かめたかったからです。
Mは友人に尋ねました。
「昨日は部活の後、一度も教室に戻っていないよ」
と、友人は言ったそうです。
あれは「友達」の皮をかぶった、別の何かだったのでしょうか。
実は私にも、似たような体験があります。
それは、弘明寺公園の展望台での体験です。
そう、横浜の街並みを一望できる、あの展望台です。
放課後、友人と二人で展望台に上り、夕暮れを見ていた時のことです。
木々の間に、友人の顔が見えました。
私は慌てて隣を見ました。
しかし、友人は、確かにそこにいるのです。
では、木々の間に見える、あの顔はいった誰なのか?
そう思った途端、突然、木々の間の友人の顔がにゅーっと伸びてきたのです。
その顔は笑っていました。
「██ちゃん」
笑いながら、話しかけてきます。
「っ……、あれ……、何?」
私が指差した瞬間、木々の間から伸びてきた方の顔は、スーッと引っ込んでいきました。
ガクガクと震える私の横で、友人は「何?」と不思議そうに私を覗き込みました。
翌日、友人に聞くと、
「昨日は、授業が終わったらまっすぐ帰ったよ。塾のある日だったから、弘明寺公園には行っていない」
と言うのです。
では、私が一緒に展望台に上ったのは、いったい誰だったのでしょうか。
木々の間から伸びてきた顔は何だったのでしょうか。
今でもあれが何なのか、わかりません。
[3年B組・████・記]
夕方、部活を終えたMは帰宅の途につきました。
帰り際、校門から校舎を振り返ると、二階の教室の窓際に友人が立っているのが見えました。
もう下校時刻なのに、家に帰らないのかな。
不思議に思いながらも、Mは友人に向かって手を振ったそうです。
友人も笑顔で手を振り返してくれました。
「また、明日ね」
Mの言葉に、友人は「うん」と頷きました。
そして、笑顔のまま、その友人の顔だけがすーっと、真横に1メートルほどスライドしたのです。
カニのように、横に歩いたわけではありません。
ただ、顔だけが滑らかにスライドしたのです。
あれ、そういえば、体はどうなっているんだろう?
体に視線を向けようと思ったところで――
「またね」
そう言いながら、友人の首だけが、窓からにゅーっと突き出てきました。
まるで、昔話のろくろ首のように。
「……ひっ」
首は一階に付きそうなところまで、伸びていました。
――あれは、友人じゃない……。
「きゃあああああぁぁぁぁ」
Mは悲鳴を上げながら、一目散に校門を駆け抜けたそうです。
心臓がドキドキ、バクバクして、家に帰ってもずっと布団をかぶっていました。
あれが、家まで追いかけてきたらどうしよう――そう思うと、怖くて夜もあまり眠れなかったそうです。
家族には、具合でも悪いのかと心配されながらも、次の日、Mは休むことなく登校しました。
確かめたかったからです。
Mは友人に尋ねました。
「昨日は部活の後、一度も教室に戻っていないよ」
と、友人は言ったそうです。
あれは「友達」の皮をかぶった、別の何かだったのでしょうか。
実は私にも、似たような体験があります。
それは、弘明寺公園の展望台での体験です。
そう、横浜の街並みを一望できる、あの展望台です。
放課後、友人と二人で展望台に上り、夕暮れを見ていた時のことです。
木々の間に、友人の顔が見えました。
私は慌てて隣を見ました。
しかし、友人は、確かにそこにいるのです。
では、木々の間に見える、あの顔はいった誰なのか?
そう思った途端、突然、木々の間の友人の顔がにゅーっと伸びてきたのです。
その顔は笑っていました。
「██ちゃん」
笑いながら、話しかけてきます。
「っ……、あれ……、何?」
私が指差した瞬間、木々の間から伸びてきた方の顔は、スーッと引っ込んでいきました。
ガクガクと震える私の横で、友人は「何?」と不思議そうに私を覗き込みました。
翌日、友人に聞くと、
「昨日は、授業が終わったらまっすぐ帰ったよ。塾のある日だったから、弘明寺公園には行っていない」
と言うのです。
では、私が一緒に展望台に上ったのは、いったい誰だったのでしょうか。
木々の間から伸びてきた顔は何だったのでしょうか。
今でもあれが何なのか、わかりません。
[3年B組・████・記]
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