魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

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幕間 その頃、聖カトミアル王国では その2

1 聖なる乙女と光の騎士たち③

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「いたぞ、魔物だ! よし、俺様に任せろ!」

 首都ラロシューから北へ向けて馬車で約3日。
 グル・ノール海に面した港町パーニャックに着いたジャンたち一行は、さっそく魔物たちに遭遇した。
 受けていた報告の通り、魔物たちは、多くの人々で賑わう、日中の市場に堂々と姿を現したのである。

 魔物たちの上半身は人間の女性の姿だが、腰から下は蛇体だ。蛇のような、うろこのついた細長い胴体が連なっている。
 気味の悪い姿をした魔物たちが、次々に海から上がって来ては、人々を襲っていた。
 市場で買い物を楽しんでいた町民たちは、口々に悲鳴を上げて逃げ惑う。
 魔物は、鋭い爪を持った両手で、逃げようとする者の頭を掴んだ。

「ギャアァァッ! 誰か、誰か、助けて!」

 ジャンは、腰にいた剣を抜くと、助走をつけ、魔物に向けて勢い良く切りかかった。
 ダミアンも、ジャンに続く。
 ジャンを新たな標的と捉え、次々に襲いかかってくる魔物たちの手が、ジャンに届くより前に、ダミアンがその手を切り落とした。
 アンリは、既に怪我をして倒れている人のもとに向かうと、回復魔法を使って、応急処置を行う。

「ジャン様、頑張ってくださいませ!」

 ヴァレリーは、応援スキルを使って、ジャンの攻撃力をアップさせた。
 両手を組み、跪いて、必死に祈りを捧げるヴァレリーを魔物が襲う。

「危ない! ヴァレリー!」
「キャアァァー!」

 ジャンは身を呈して、ヴァレリーを守る。
 魔物の鋭い爪が、ジャンの背中を切り裂いた。
 ジャンの背中から、赤い血しぶきが飛ぶ。

「くっ……」
「ジャン様……、申し訳ございません! 私が、ボーッとして隙を見せたせいで、ジャン様にご迷惑を……」
「だ、大丈夫だ。……これぐらいの傷、なんてことはない。ヴァレリーが祈ってさえくれれば、すぐに治るさ……」
「ジャン様!」

 ヴァレリーは、ジャンの背中に手をかざし、血が止まるようにと一心に祈る。
 しかし、そうしている間にも、新たな魔物たちが、次々と海から上がって来ていた。

「くそっ、ダメだ。これではキリがない……」
「認めたくはありません。しかし、悔しいのですが、ジャン様をお守りするこの無敵の騎士にも、そろそろ限界が近づいてきているようです……ね……」

 ジャンとヴァレリーを守るように戦っていたダミアンの体力も限界に近づいてきたようだ。先ほどから、肩で息をしている。
 それでも、魔物たちの攻撃の手はやまない。
 倒しても倒しても、魔物たちは海から上がって来ていた。
 怪我人も増える一方だ。アンリの回復魔法も、既に追いついてはいなかった。

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