魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

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第二章 魔王の待つアヴァロニア王国に向けて旅立ちます

3 ミニマップも見えるので魔王のもとに向かいます②

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 とはいえ、地道に徒歩で移動するにしても、現在地がわかるのとわからないのとでは、大違いである。
 中世ヨーロッパ的な世界を舞台にしたゲームだから、当然、治安も悪いことだろう。
 エレインは、これまでの人生、首都ラロシューと領地のサンレンヌでしか暮らしたことがなかった。それも、豪奢ごうしゃで堅固な館や城の中、貴族の令嬢として使用人たちに守られて、ぬくぬくと過ごしてきたのだ。
 また、前世で暮らしていた「日本」という国は、世界の中でもかなり治安が良いと言われる国だったように思う。

 だから、中世ヨーロッパ的な世界の治安の悪さというものを実際に体感したことは、これまでになかった。
 しかし、前世の歴史知識や、使用人から漏れ聞いた話を総合してみると、ここは場所によっては「人を見たら泥棒と思え」的な治安の地域もある世界のようだ。
 それ相応の覚悟を持って、旅に臨んだ方がよさそうである。

 街道を離れてしまえば、どこに盗賊や追い剥ぎが潜んでいるかわからない。
 村以外の場所で夜を過ごすのは、危険を伴うことだろう。
 警戒する相手は、人間だけにとどまらない。
 街道をはずれて、森に足を踏み入れれば、狼や熊などの肉食獣と遭遇する危険もあるはずだ。
 また、間違って洞窟ダンジョンなどに分け入ってしまえば、魔物たちの餌食になってしまう恐れもある。
 街道からはずれることなく、次の宿がある村までの距離感を把握しながら旅することができなければ、私は途中で命を落としてしまうかもしれない。
 そんな、これからの厳しい道中を考えれば、ミニマップを確認できる能力は大いに役に立つはずだ。

 また、ステータス画面が見えるという能力も、女の一人旅では大いに役立つことだろう。
 何しろ、職業や称号が見えるのだから、「盗賊」「スリ」などと書かれた人物を見かけたら、すぐに身を隠せばよい。

 道中は、危険のないよう、庶民に紛れることのできる簡素な巡礼服に着替えることにした。
 ファシシュ教の聖地を巡る巡礼者の振りをして、旅をすることにしたのだ。
 これなら、女性の一人旅でも怪しまれることがないだろう。
 ただの信心深い乙女に見えるに違いない。

 とはいえ、ゲームの中で魔王という通称で呼ばれてはいるものの、ヴィネ様はれっきとした一国の君主である。
 巡礼者のようなみすぼらしい服装で謁見など許されようはずもない。
 元公爵令嬢エレインとしてのはったりがきかせられるだけのドレスとアクセサリーも、こっそりとトランクの奥底に詰め込んだ。

 断罪されることはシナリオから想定済みだったし、そうなれば財産は没収されるとわかっていたので、処断の通達を受ける前に、私はあらかじめ貴金属類を隠せるだけ隠して、旅の準備を整えていた。
 巡礼服の懐、服の裏側に、隠しポケットを縫い付けて、二重の布袋に入れた貴金属類を隠す。
 これを道中で、怪しまれないように少しずつ使うことにしよう。
 私は、準備万端整えてアヴァロニア王国を目指すことにした。


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