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第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します
24 そしてまた魔女扱いですか? ①
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「え?」
久々に投げかけられた「魔女」という言葉に、私は、石礫以上の衝撃を受けた。
なぜ、アヴァロニア王国に来てまで、「魔女」扱いされねばならないのだろう。
ただ、「その作物は食べられる」ということを伝えただけで、どうして責められなければならないのだろうか。
突然のことに、思わず動揺し、指先が震え、手足から力が抜けていくのを感じる。
「そいつは、聖カトミアル王国からやって来た魔女だって聞いたぞ。そうやって俺たちを騙して、殺そうとしているんだな。俺は騙されねえぞ!」
(どうして……、どうしてそんなことを言われないといけないの?)
男の非難の声に、耐えられなくなった私は、思わず目をぎゅっと瞑った。
「待て。聞き捨てならんな。それは、いったい誰から聞いたことなのだ?」
(ヴィ、ヴィネ様……!?)
それまで、状況を静観していたヴィネ様が、私を庇うようにして、野次を飛ばして来た男と私との間に立つ。
思わず、私の心臓も跳ねた。
先ほど、非難の声を浴び、責められた時の動揺とは違う。
「へ、陛下……。そ、それは、俺の兄貴が……お城の衛兵をしてて、それで、えっと、き、昨日、大広間で、聞いたって……」
急にヴィネ様が割って入ったことで、男の答えはしどろもどろになってしまった。
どうやら、この男には城に衛兵として勤めている兄がおり、その兄は私が広間でヴィネ様にこれまでの顛末を語ったのを聞いていたようだ。そして、男は兄から私が魔女だと聞いたということだろう。
「確かに、エレインは、聖カトミアル王国では魔女として断罪されたそうだが。しかし、魔力は持たぬと聞いている。また、たとえ魔力を持っていたとて、そのことで何か問題があるとでも言うのか? それに、私が客人として、しばらく城に滞在することを許可したのだ。セパルの荘園の民を皆殺しにするような企てをする危険な人物を、私が近くに置いている、とそなたは言うのか?」
「う……それは……」
ヴィネ様は私を後ろに庇ったまま、一歩、男の前に進み出る。
さらに、先ほどよりも、一段低いトーンで男へと語りかけた。
「そなたたち、恥ずかしくはないのか? 私は、折にふれ、この国の民たちに、『国が違う』『種族が違う』といった理由で、いがみ合うことがないようにと伝えてきたつもりであった。そして、そのことは皆、わかってくれているものと思っていたのだがな。残念だ。実に残念だ」
その声音は、怒りをはらんだものではなかったが、突き放すような物言いが、かえって男を怯ませる。
男は、見たところ普通の人間だ。
しかし、この荘園の農村にも、城の中と同じく、一見してエルフや獣人の血を持つと思われる者が何人かいた。ざっと皆のステータス画面を確認すると、ぱっと見には、普通の人間にしか見えない姿であっても、MPを持っている者も少なくはない。
彼らは、男の私への非難を自分たちへの非難とも受け取ったのだろう。
男から少しずつ距離を置きながら、ヴィネ様の言に対して静かに頷いていた。
久々に投げかけられた「魔女」という言葉に、私は、石礫以上の衝撃を受けた。
なぜ、アヴァロニア王国に来てまで、「魔女」扱いされねばならないのだろう。
ただ、「その作物は食べられる」ということを伝えただけで、どうして責められなければならないのだろうか。
突然のことに、思わず動揺し、指先が震え、手足から力が抜けていくのを感じる。
「そいつは、聖カトミアル王国からやって来た魔女だって聞いたぞ。そうやって俺たちを騙して、殺そうとしているんだな。俺は騙されねえぞ!」
(どうして……、どうしてそんなことを言われないといけないの?)
男の非難の声に、耐えられなくなった私は、思わず目をぎゅっと瞑った。
「待て。聞き捨てならんな。それは、いったい誰から聞いたことなのだ?」
(ヴィ、ヴィネ様……!?)
それまで、状況を静観していたヴィネ様が、私を庇うようにして、野次を飛ばして来た男と私との間に立つ。
思わず、私の心臓も跳ねた。
先ほど、非難の声を浴び、責められた時の動揺とは違う。
「へ、陛下……。そ、それは、俺の兄貴が……お城の衛兵をしてて、それで、えっと、き、昨日、大広間で、聞いたって……」
急にヴィネ様が割って入ったことで、男の答えはしどろもどろになってしまった。
どうやら、この男には城に衛兵として勤めている兄がおり、その兄は私が広間でヴィネ様にこれまでの顛末を語ったのを聞いていたようだ。そして、男は兄から私が魔女だと聞いたということだろう。
「確かに、エレインは、聖カトミアル王国では魔女として断罪されたそうだが。しかし、魔力は持たぬと聞いている。また、たとえ魔力を持っていたとて、そのことで何か問題があるとでも言うのか? それに、私が客人として、しばらく城に滞在することを許可したのだ。セパルの荘園の民を皆殺しにするような企てをする危険な人物を、私が近くに置いている、とそなたは言うのか?」
「う……それは……」
ヴィネ様は私を後ろに庇ったまま、一歩、男の前に進み出る。
さらに、先ほどよりも、一段低いトーンで男へと語りかけた。
「そなたたち、恥ずかしくはないのか? 私は、折にふれ、この国の民たちに、『国が違う』『種族が違う』といった理由で、いがみ合うことがないようにと伝えてきたつもりであった。そして、そのことは皆、わかってくれているものと思っていたのだがな。残念だ。実に残念だ」
その声音は、怒りをはらんだものではなかったが、突き放すような物言いが、かえって男を怯ませる。
男は、見たところ普通の人間だ。
しかし、この荘園の農村にも、城の中と同じく、一見してエルフや獣人の血を持つと思われる者が何人かいた。ざっと皆のステータス画面を確認すると、ぱっと見には、普通の人間にしか見えない姿であっても、MPを持っている者も少なくはない。
彼らは、男の私への非難を自分たちへの非難とも受け取ったのだろう。
男から少しずつ距離を置きながら、ヴィネ様の言に対して静かに頷いていた。
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