67 / 106
第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します
21 ヴィネ様に食用油と石油の違いを説明します
しおりを挟む
前世では、有機野菜というと、セレブや意識高い系の人たちが好んで食べていたイメージがある。
野菜に限らず、化粧品も“オーガニック”を好んで使う人たちは多かった。
ということは、化学肥料を使ってまで生産性を高める必要はないということだろう。
ならば、この地域での農業はこのままに、アヴァロニア王国北部、農業が難しい地域での生産性を上げるにはどうすべきかという問題に、焦点を絞った方がよいのかもしれない。
「先ほど、馬車の中で話していた、“自動車”や“飛行機”という乗り物も、その“ガソリン”というものを使うのか?」
「はい。確か……飛行機に関しては、ガソリンではなくジェット燃料というものが使われていましたが、ガソリン同様に原油由来の燃料だったはずです」
「その“原油”というもののイメージがよくわからないのだが……。我々が食事に使用する木の実の油や、動物から取った油と何が違うのだ? 『この世界にとって良いことかどうか』とそなたは言うが、油が世界に悪影響を及ぼす可能性があるとでも言うのか?」
私は、ヴィネ様の問いに対して思わず答えに詰まってしまった。
前世のニュースで、何度も聞いた「石油は環境破壊を引き起こす」というフレーズ。そして、タンカー事故により海に大量流出した重油にまみれ、瀕死の状態になった海の生物たちの哀れな姿。
そんな数々のイメージから、「石油=悪」というのは当たり前のように、常識として理解していた。
しかし、石油燃料のない世界の人々にとって、油と言えばおもに食用油だ。戦で、火矢を使用する際に油を使ったり、火攻めを行ったりすることはあるかもしれないが、多くの油は人に攻撃する目的で使用されるものではなく、生活に必要なものであって、悪ではないのだろう。
「そもそも、その“原油”とは、何なのだ?」
「陛下は化石は、ご存知ですか?」
「化石なら一度、視察に訪れた山の岩肌で見たことがあるぞ。昔の生物が石になったものだろう。どうやって石の中に生物が閉じ込められたかわからぬが」
「そのように、大昔の生物の遺骸が海底や山の中で堆積し、エネルギー資源として利用できるようになったものを化石燃料と呼びます。液体であれば、石油。固体であれば、石炭です」
「生物の遺骸であれば、特に問題はなさそうであるが……。ラードやバターを食しても、身体に悪影響はないであろう。あれらも、動物から取った油だと聞くぞ。石油はそれらと違うというのか?」
「石油は食べられる油ではなかったと思いますが……」
確か、石油系のオイルを使ったクレンジングオイルなど、化粧品ですら肌にあまりよくないと言われていた記憶があるから、食用油としては使用できないはずだ。
「食べられるか否かはさておき、まず、“自動車”や“飛行機”を動かすには、とてつもない量の化石燃料が必要になります。おそらく、戦の火攻めで使用する油の量とは比べものにならないほど……、化石燃料を、大量に燃やすのです。その結果、簡単に説明するのであれば、空気が汚れます。世界中の気温が徐々に上がっていくと言われています」
私は、石油による環境破壊について、かなりざっくりとした説明をした。
石油燃料を燃やすことにより、空気中の二酸化炭素が増え、温室効果ガスによって地球が温暖化する、という仕組みを、この世界の人たちに説明することは、なかなか難しい。
空気の成分についても、おそらく判明されていないはずだからだ。
この世界の人たちにとっての、空気は、火・地・水・風という、この世の四大元素のひとつに過ぎない。
その「風」の中にも、酸素や窒素、二酸化炭素といった、眼に見えないさまざまな成分が含まれているのだが、そのことを伝えるのは至難の業だろう。
この四大元素を使用した魔法が発達した、アヴァロニア王国の人々を相手に説明するのであれはなおさらだ。
野菜に限らず、化粧品も“オーガニック”を好んで使う人たちは多かった。
ということは、化学肥料を使ってまで生産性を高める必要はないということだろう。
ならば、この地域での農業はこのままに、アヴァロニア王国北部、農業が難しい地域での生産性を上げるにはどうすべきかという問題に、焦点を絞った方がよいのかもしれない。
「先ほど、馬車の中で話していた、“自動車”や“飛行機”という乗り物も、その“ガソリン”というものを使うのか?」
「はい。確か……飛行機に関しては、ガソリンではなくジェット燃料というものが使われていましたが、ガソリン同様に原油由来の燃料だったはずです」
「その“原油”というもののイメージがよくわからないのだが……。我々が食事に使用する木の実の油や、動物から取った油と何が違うのだ? 『この世界にとって良いことかどうか』とそなたは言うが、油が世界に悪影響を及ぼす可能性があるとでも言うのか?」
私は、ヴィネ様の問いに対して思わず答えに詰まってしまった。
前世のニュースで、何度も聞いた「石油は環境破壊を引き起こす」というフレーズ。そして、タンカー事故により海に大量流出した重油にまみれ、瀕死の状態になった海の生物たちの哀れな姿。
そんな数々のイメージから、「石油=悪」というのは当たり前のように、常識として理解していた。
しかし、石油燃料のない世界の人々にとって、油と言えばおもに食用油だ。戦で、火矢を使用する際に油を使ったり、火攻めを行ったりすることはあるかもしれないが、多くの油は人に攻撃する目的で使用されるものではなく、生活に必要なものであって、悪ではないのだろう。
「そもそも、その“原油”とは、何なのだ?」
「陛下は化石は、ご存知ですか?」
「化石なら一度、視察に訪れた山の岩肌で見たことがあるぞ。昔の生物が石になったものだろう。どうやって石の中に生物が閉じ込められたかわからぬが」
「そのように、大昔の生物の遺骸が海底や山の中で堆積し、エネルギー資源として利用できるようになったものを化石燃料と呼びます。液体であれば、石油。固体であれば、石炭です」
「生物の遺骸であれば、特に問題はなさそうであるが……。ラードやバターを食しても、身体に悪影響はないであろう。あれらも、動物から取った油だと聞くぞ。石油はそれらと違うというのか?」
「石油は食べられる油ではなかったと思いますが……」
確か、石油系のオイルを使ったクレンジングオイルなど、化粧品ですら肌にあまりよくないと言われていた記憶があるから、食用油としては使用できないはずだ。
「食べられるか否かはさておき、まず、“自動車”や“飛行機”を動かすには、とてつもない量の化石燃料が必要になります。おそらく、戦の火攻めで使用する油の量とは比べものにならないほど……、化石燃料を、大量に燃やすのです。その結果、簡単に説明するのであれば、空気が汚れます。世界中の気温が徐々に上がっていくと言われています」
私は、石油による環境破壊について、かなりざっくりとした説明をした。
石油燃料を燃やすことにより、空気中の二酸化炭素が増え、温室効果ガスによって地球が温暖化する、という仕組みを、この世界の人たちに説明することは、なかなか難しい。
空気の成分についても、おそらく判明されていないはずだからだ。
この世界の人たちにとっての、空気は、火・地・水・風という、この世の四大元素のひとつに過ぎない。
その「風」の中にも、酸素や窒素、二酸化炭素といった、眼に見えないさまざまな成分が含まれているのだが、そのことを伝えるのは至難の業だろう。
この四大元素を使用した魔法が発達した、アヴァロニア王国の人々を相手に説明するのであれはなおさらだ。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる