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第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します
22 作戦会議を始めます
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採用試験も無事に終わったその日の夜のこと。
その日の採用試験では、新たに100人の兵士、100人の官吏、20人の侍女、25人の小姓を雇い入れることが決まった。
合格した中には、メイヴの姉であるケリー、秋国から来た男性・佐吉も、もちろん含まれている。
今回、新しく入った官吏たちには、今後新設する予定の教育、保育、医療、福祉の分野をはじめ、今後、力を入れていきたいと考えている経済、産業、運輸に関する分野、具体的な税制改革を中心に担ってもらうことになる。
本来ならば、ここまでの苦労をお互いにねぎらいながら、城の大広間に集まり皆で祝杯をあげているであろう刻限。
大広間は、宴席の場ではなく、会議の場として使用されていた。
セパルを始めとするアヴァロニア王国のおもだった重臣、騎士たちが、顔を揃えている。
私たちはさっそく、聖カトミアル王国で行われている異端審問の犠牲になりそうな人物たちを救うための手立てを考える会議を開くことにしたのだ。
私も、医師の話を聞いていた当事者として、会議の場に席を用意されていた。
しかし、一人の男性が、私に訝しげな視線を向けると、ヴィネ陛下に、苦言を呈する。
重臣の一人である、五十がらみの男性だ。口元には白髪の混じった口髭をたくわえている。
「恐れながら陛下。このエレイン様は、聖カトミアル王国出身のお方。しかも、聖堂騎士団長の元婚約者だった方ではないですか。この方を会議に参加させて万が一のことがあったらどうするのです」
「万が一とは何だ?」
「聖カトミアル王国側に、この会議の情報が漏れるやもしれない、そのような事態になったらどうするのか、と懸念しております」
そして、その意見に追随する者も現れた。
「確かに、エンフィールド卿のおっしゃる通りでは? エレイン様が間諜であるという疑惑は、完全に払拭できてはおりませなんだはず。セパル閣下も、その点は疑っていらっしゃったと思ったがな」
しかし、それに対してセパルは反論を試みる。
「ええ、確かに私も、エレイン様が最初にこの城に単身乗り込まれ、陛下に突然、求婚された時には、何かの罠かと疑いました。しかし、その後のエレイン様のお働きとご活躍によって、皆様の嫌疑も晴れたかと思うておりましたが。違いますか?」
「いや、しかし、その後のお働きと言っても……まだ、いくつか便利な道具をドワーフの鍛治職人たちに依頼して作らせたのと、ジャガイモという作物が食べられるものだというのを進言したぐらいではなかったですかな?」
「いえ、本日行われた大規模な採用試験は、そもそもエレイン様のご発案でございますし、ジャガイモについては、我が国の食糧危機を救ってくれる、重要な提言でございまして……」
セパルが必死に私を庇ってくれてはいる。しかし、先ほどエンフィールド卿と呼ばれていた男性に限らず、この国の古くからの臣下だと思われる中年から初老の男性たちは私がこの場にいることに納得がいかないらしい。皆、一様に私に対して疑念の目を向けてくる。
中には、あからさまな侮蔑の込められた視線を送ってくる者もいた。
「もうよい、セパル」
ヴィネ様が、耐えきれなくなったというように声を上げた。
「おお、陛下、では、エレイン様をこの場から退出させ……」
エンフィールド卿が、ヴィネ陛下の声に、嬉しそうな声を上げた。
私が観念して立ち上がろうとしたその時。
エンフィールド卿の言葉を遮るように、思ってもみなかった言葉がヴィネ様の口から発せられた。
「エレインは、私の“妃候補”だ。将来、共にこの国の政を預かる妃見習いとして、今日のこの場に同席してもらっている」
突然の宣言に、広間はシーンと水を打ったように静まりかえる。
その一方で、私の鼓動は、早鐘を衝くかのように、激しく鳴り響いた。
その日の採用試験では、新たに100人の兵士、100人の官吏、20人の侍女、25人の小姓を雇い入れることが決まった。
合格した中には、メイヴの姉であるケリー、秋国から来た男性・佐吉も、もちろん含まれている。
今回、新しく入った官吏たちには、今後新設する予定の教育、保育、医療、福祉の分野をはじめ、今後、力を入れていきたいと考えている経済、産業、運輸に関する分野、具体的な税制改革を中心に担ってもらうことになる。
本来ならば、ここまでの苦労をお互いにねぎらいながら、城の大広間に集まり皆で祝杯をあげているであろう刻限。
大広間は、宴席の場ではなく、会議の場として使用されていた。
セパルを始めとするアヴァロニア王国のおもだった重臣、騎士たちが、顔を揃えている。
私たちはさっそく、聖カトミアル王国で行われている異端審問の犠牲になりそうな人物たちを救うための手立てを考える会議を開くことにしたのだ。
私も、医師の話を聞いていた当事者として、会議の場に席を用意されていた。
しかし、一人の男性が、私に訝しげな視線を向けると、ヴィネ陛下に、苦言を呈する。
重臣の一人である、五十がらみの男性だ。口元には白髪の混じった口髭をたくわえている。
「恐れながら陛下。このエレイン様は、聖カトミアル王国出身のお方。しかも、聖堂騎士団長の元婚約者だった方ではないですか。この方を会議に参加させて万が一のことがあったらどうするのです」
「万が一とは何だ?」
「聖カトミアル王国側に、この会議の情報が漏れるやもしれない、そのような事態になったらどうするのか、と懸念しております」
そして、その意見に追随する者も現れた。
「確かに、エンフィールド卿のおっしゃる通りでは? エレイン様が間諜であるという疑惑は、完全に払拭できてはおりませなんだはず。セパル閣下も、その点は疑っていらっしゃったと思ったがな」
しかし、それに対してセパルは反論を試みる。
「ええ、確かに私も、エレイン様が最初にこの城に単身乗り込まれ、陛下に突然、求婚された時には、何かの罠かと疑いました。しかし、その後のエレイン様のお働きとご活躍によって、皆様の嫌疑も晴れたかと思うておりましたが。違いますか?」
「いや、しかし、その後のお働きと言っても……まだ、いくつか便利な道具をドワーフの鍛治職人たちに依頼して作らせたのと、ジャガイモという作物が食べられるものだというのを進言したぐらいではなかったですかな?」
「いえ、本日行われた大規模な採用試験は、そもそもエレイン様のご発案でございますし、ジャガイモについては、我が国の食糧危機を救ってくれる、重要な提言でございまして……」
セパルが必死に私を庇ってくれてはいる。しかし、先ほどエンフィールド卿と呼ばれていた男性に限らず、この国の古くからの臣下だと思われる中年から初老の男性たちは私がこの場にいることに納得がいかないらしい。皆、一様に私に対して疑念の目を向けてくる。
中には、あからさまな侮蔑の込められた視線を送ってくる者もいた。
「もうよい、セパル」
ヴィネ様が、耐えきれなくなったというように声を上げた。
「おお、陛下、では、エレイン様をこの場から退出させ……」
エンフィールド卿が、ヴィネ陛下の声に、嬉しそうな声を上げた。
私が観念して立ち上がろうとしたその時。
エンフィールド卿の言葉を遮るように、思ってもみなかった言葉がヴィネ様の口から発せられた。
「エレインは、私の“妃候補”だ。将来、共にこの国の政を預かる妃見習いとして、今日のこの場に同席してもらっている」
突然の宣言に、広間はシーンと水を打ったように静まりかえる。
その一方で、私の鼓動は、早鐘を衝くかのように、激しく鳴り響いた。
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