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第二部【ミーガン子爵家再興編】 第一章 『フェンドラム山脈のドラゴン族とクラン設立』
7話
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ここはクリエール王国、クネック辺境伯領、迷宮都市ネック郊外の広大な土地の前にクロードは来ている。
一面見わたす限りの草原である。民家など遠目に数軒ちらほらと小さく見える程しかない。兎に角何もない草原である。
(うん!土地は荒れていないし、何よりこれ程広大なら不動産屋の男が言っていた通り、王都の屋敷規模のクランハウスを建ててもまだまだ広大な土地が余りそうだな。クラン用の畑と従魔用の牧場、家畜用の牧場は作るとして、う~ん、まだ数軒建てられるスペースがあるんだよなぁ)
「やっぱり書類の文面だけじゃなくてこうやって実際に現地に来て実物を見ないと、この土地にどの様にクランハウスを建てて運営していくか明確なイメージが湧かないよな。よし、ギルマスに報告に行った後でみんなにも意見を聞いてアイディアを出し合うか。あ、ミレイにもクランの受付嬢の件を話さないと…………今日も意外と忙しいなぁ」
ギルマスのもとにクランハウス建設予定地が決まったことを報告しに来たクロードは早速ミレイにギルマスへの面会を頼む。
「……あ!いたいた。ミレイさっきぶりで悪いんだけど、ギルマスにクランハウスの件で会いたいんだ。今時間が空いてるか確認頼めるかな」
「ええ、良いわよ。確認して来るからちょっとここで待っていて」
ギルマスに面会が可能か確認しに行ったミレイが暫くして受付カウンターに戻って来た。
「ギルドマスターは今なら大丈夫みたいよ。もうギルド長室の場所は案内しなくてもわかるわよね」
「ああ、ありがとう。あ!それと今日の業務はいつ頃終わるかな。後でミレイに話したい事があるんだけど」
「え、今日の業務?それならもうそろそろ終わるけど、私に話したい事があるなら私、あなたが戻って来るまでここで待っていてあげようか」
「そうしてくれると、ありがたいな」
「わかったわ。ほらさっさと行きなさい。ギルドマスターが待っているわよ」
「ああ、じゃあ、ちょっと行って来る」
***
ギルドの一階でミレイと別れたクロードは二階の奥にあるギルド長室にてギルマスとソファーに腰を下ろしてクラン関係の残りの手続きをしていた。
「しかし、こんな短時間で即決購入して来るとはな。正直…………驚いたぞ!!相当良い土地だったみたいだが、この住所だと場所はこの迷宮都市の郊外にあるようだな。いやまあお前達がここでいいのなら良いんだが。本当にこの場所でよかったのか?正直俺としては、利便性があまり良くないと思うのだが」
「そうだな。確かに普通に考えたら都市の中心部からも遠いいし何よりギルマスが言う様に利便性が悪すぎる。でも俺達にとっては利便性が悪い事なんて些細な事なんだよ。それにクランの受付は迷宮都市の適当な物件を買ってそこに置くつもりだからさ」
「なに?それじゃあ、郊外に建設予定のクランハウスはいったい?」
「そっちは完全な拠点だよ。クランメンバーの生活拠点。だから基本的にクランで受ける依頼はこれから購入予定の物件で受け付けるからギルドからの依頼も郊外のクランハウスじゃなくてそっちの方にお願いするよ」
「成程、わかった。それじゃあ、クランハウスの建築の件だけど、建築屋の紹介は必要か?」
「いや、クランハウスは俺が魔法で作るから大丈夫だ」
「そうか、だと後は、クランの名前だけだが、もう決まっているのか」
「いや、それはこれから宿に戻ってからみんなで話し合って決めようと思う」
「んん、それが良いな!!」
「とまあそう言う事だから今日はこれで帰るよ。ミレイとの話もあるしな」
「……ふん、やっぱりミレイを連れて行くんだな。…………いや、良いんだ。連れて行ってやってくれ。あいつもそれを望んでいるだろ。…………あいつのことちゃんと大切にするんだぞ」
「ああ、わかっているさ」
クロードはそう言い残しギルド長室を後にする。去り際クロードに背を向けて窓から外を眺めるギルマスの姿はどこか寂しさを感じさせた。
一階に降りて来たクロードはギルドに併設された酒場で待っていたミレイと合流し席に着く。
「……あ、エールを二人分と何かてきとうに摘まむ物もお願いします」
クロードはミレイが酒場の店員に注文し終わるのを待つ。
「それで、話って言うのは何かしら?」
「ああ、……単刀直入に言う。俺達のクランに来てくれないか。クランの受付とか経理を安心して任せられる……ミレイ!!君に来て欲しいんだ!!……そ、それに、お、俺は、もっとミレイと一緒にいたいんだ!!……い、いずれは……そ、その、け、けけけ結――――」
「はい。そこまで、そこから先はみんながいる所でみんなに言わないとでしょ。勿論私も含めてね。後、クランのことは大丈夫よ。私もクロード達のクランの話を聞いた時から何時お誘いが掛かるかドキドキしながら待っていたんだからねぇ。……もっと早く誘いなさいよねぇ。もう、バカッ」
最後に少し頬を赤く染めたミレイにポカポカ叩かれながら「早く誘いに来なさいよ!!」と怒られてしまったが、クロードはなんとかミレイからクラン移籍の了承を手に入れた。
一面見わたす限りの草原である。民家など遠目に数軒ちらほらと小さく見える程しかない。兎に角何もない草原である。
(うん!土地は荒れていないし、何よりこれ程広大なら不動産屋の男が言っていた通り、王都の屋敷規模のクランハウスを建ててもまだまだ広大な土地が余りそうだな。クラン用の畑と従魔用の牧場、家畜用の牧場は作るとして、う~ん、まだ数軒建てられるスペースがあるんだよなぁ)
「やっぱり書類の文面だけじゃなくてこうやって実際に現地に来て実物を見ないと、この土地にどの様にクランハウスを建てて運営していくか明確なイメージが湧かないよな。よし、ギルマスに報告に行った後でみんなにも意見を聞いてアイディアを出し合うか。あ、ミレイにもクランの受付嬢の件を話さないと…………今日も意外と忙しいなぁ」
ギルマスのもとにクランハウス建設予定地が決まったことを報告しに来たクロードは早速ミレイにギルマスへの面会を頼む。
「……あ!いたいた。ミレイさっきぶりで悪いんだけど、ギルマスにクランハウスの件で会いたいんだ。今時間が空いてるか確認頼めるかな」
「ええ、良いわよ。確認して来るからちょっとここで待っていて」
ギルマスに面会が可能か確認しに行ったミレイが暫くして受付カウンターに戻って来た。
「ギルドマスターは今なら大丈夫みたいよ。もうギルド長室の場所は案内しなくてもわかるわよね」
「ああ、ありがとう。あ!それと今日の業務はいつ頃終わるかな。後でミレイに話したい事があるんだけど」
「え、今日の業務?それならもうそろそろ終わるけど、私に話したい事があるなら私、あなたが戻って来るまでここで待っていてあげようか」
「そうしてくれると、ありがたいな」
「わかったわ。ほらさっさと行きなさい。ギルドマスターが待っているわよ」
「ああ、じゃあ、ちょっと行って来る」
***
ギルドの一階でミレイと別れたクロードは二階の奥にあるギルド長室にてギルマスとソファーに腰を下ろしてクラン関係の残りの手続きをしていた。
「しかし、こんな短時間で即決購入して来るとはな。正直…………驚いたぞ!!相当良い土地だったみたいだが、この住所だと場所はこの迷宮都市の郊外にあるようだな。いやまあお前達がここでいいのなら良いんだが。本当にこの場所でよかったのか?正直俺としては、利便性があまり良くないと思うのだが」
「そうだな。確かに普通に考えたら都市の中心部からも遠いいし何よりギルマスが言う様に利便性が悪すぎる。でも俺達にとっては利便性が悪い事なんて些細な事なんだよ。それにクランの受付は迷宮都市の適当な物件を買ってそこに置くつもりだからさ」
「なに?それじゃあ、郊外に建設予定のクランハウスはいったい?」
「そっちは完全な拠点だよ。クランメンバーの生活拠点。だから基本的にクランで受ける依頼はこれから購入予定の物件で受け付けるからギルドからの依頼も郊外のクランハウスじゃなくてそっちの方にお願いするよ」
「成程、わかった。それじゃあ、クランハウスの建築の件だけど、建築屋の紹介は必要か?」
「いや、クランハウスは俺が魔法で作るから大丈夫だ」
「そうか、だと後は、クランの名前だけだが、もう決まっているのか」
「いや、それはこれから宿に戻ってからみんなで話し合って決めようと思う」
「んん、それが良いな!!」
「とまあそう言う事だから今日はこれで帰るよ。ミレイとの話もあるしな」
「……ふん、やっぱりミレイを連れて行くんだな。…………いや、良いんだ。連れて行ってやってくれ。あいつもそれを望んでいるだろ。…………あいつのことちゃんと大切にするんだぞ」
「ああ、わかっているさ」
クロードはそう言い残しギルド長室を後にする。去り際クロードに背を向けて窓から外を眺めるギルマスの姿はどこか寂しさを感じさせた。
一階に降りて来たクロードはギルドに併設された酒場で待っていたミレイと合流し席に着く。
「……あ、エールを二人分と何かてきとうに摘まむ物もお願いします」
クロードはミレイが酒場の店員に注文し終わるのを待つ。
「それで、話って言うのは何かしら?」
「ああ、……単刀直入に言う。俺達のクランに来てくれないか。クランの受付とか経理を安心して任せられる……ミレイ!!君に来て欲しいんだ!!……そ、それに、お、俺は、もっとミレイと一緒にいたいんだ!!……い、いずれは……そ、その、け、けけけ結――――」
「はい。そこまで、そこから先はみんながいる所でみんなに言わないとでしょ。勿論私も含めてね。後、クランのことは大丈夫よ。私もクロード達のクランの話を聞いた時から何時お誘いが掛かるかドキドキしながら待っていたんだからねぇ。……もっと早く誘いなさいよねぇ。もう、バカッ」
最後に少し頬を赤く染めたミレイにポカポカ叩かれながら「早く誘いに来なさいよ!!」と怒られてしまったが、クロードはなんとかミレイからクラン移籍の了承を手に入れた。
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