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第二部【ミーガン子爵家再興編】 第一章 『フェンドラム山脈のドラゴン族とクラン設立』

19話

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 クロードが「引き続き調査を頼む」と言うと、シャリナは「わかったよ~」と元気な声で言いその場から姿を消した。

「……と言う訳だから少し待っていればシャリナの配下の者から情報があがって来ると思うよ。でも流石に今日中には無理だから。その間ドラゴン族と竜人族の方達がどこで寝泊りするのか考えておかないとね。連絡方法とかも」

 その後、諸々を話し合い精霊から報告が来るまでドラゴン族と竜人族の代表と一部の者以外はフェンドラム山脈に戻り、フェンドラム山脈の麓、樹海の入り口に残るドラゴン族の長と側近二体、竜人族の代表と側近二人はコロシアム風交渉会場の側に新たに作った宿泊施設に滞在することになった。

***

 交渉が一応一段落したためクロード達とギルマスはドラゴン族や竜人族の面々と別れ、一度バスフェンのギルド支部に帰って来た。

 クロード達はそのままギルマスとギルド長室に向かい応接用のソファーに向かい合って座る。

「さて、先ずは、『守護騎士の集い』の皆、交渉場での手伝いご苦労だった。約束の褒美の件はどうするかもう決めたかな」

「ああ、今回、俺が欲しい褒美はエルフの里への招待状だ。今回の件とベロニカの家族の件が終わったら皆と結婚式を挙げて、そのまま新婚旅行に行こうと思っていてな。幾つか名所などを巡ろうと思っている。その一つとしてエルフの里にも行きたいと思っているんだ。……それにその方があんたとしても有難いんじゃないのか」

「…………!?いったい何のことを言っているだ。クロード君? 」

「おいおい!別に今更惚けなくても良いだろ?交渉会場であんた、言っていたじゃない「…………これは益々君にあの件を頼まなくてはいけなくなたな」って。俺達の中まであるベロニカの状況も既に調べていただろうし、今回のドラゴン達の状況、その中でのあんたのあの発現とくれば、あんた達の私情が絡んだ頼みごとってなると、これはもう『エルフの奴隷解放』!!これしかないだろ」

「……はぁ~~」

 ギルマスは深くため息を吐くと――――

「ああ、その通りだ。全く、君は仲間や能力に恵まれているだけでなく洞察力や推理力まで優れているのだな。…………では、回りくどい事は無しにして単刀直入に言わせてもらうよ。Fランククラン『守護騎士の集い』の皆にエルフ王国ユーザリスの国王が一子リーリルが願う。我々と共に隷属王国ドーレルにいるエルフの奴隷解放を手伝ってくれないか」

 リーリルは勢いよく頭を下げる。

 リーリルは頭を下げたまま微動だにしない。時刻は夕方、ギルド長室の窓から夕陽がさして綺麗な金髪の長髪がキラキラと輝く。

 クロードはその余りにも美しい姿に少しの間呆けていたが、「はっ」っと気を取り直し、クランメンバーと念話をし、リーリルの頼みを受ける事の了承を取ると、未だ頭を下げ続けているリーリルに話しかける。

「ギルマス、とりあえず頭を上げてくれ。そのままだと話しずらいから」

「う、うむ、確かにそうだな。失礼した」

「……先ず、俺個人としてそして、クラン『守護騎士の集い』としてはギルマスの頼みを引き受けても良いと考えている。しかし、俺を含めてクランにはこの国の貴族位を持っている者が何人かいる。だから対峙する敵が国である今回のギルマスの頼みには俺達だけで返答をするわけにはいかない。この話は一度国王陛下、若しくは宰相閣下まで持って行く必要があるが、それでいいか?だめならこの話は聞かなかったことにするよ」

 クロードがそう言うとリーリルは少しも考える素振りを見せずに「それで構わないから!お願い!!」っと即答する。

「そうか。わかった。それじゃあ俺達は一度ネックに戻るわ。あっちでやらないといけない事もあるからな。それじゃあ一旦お別れだ。じゃあな」

 クロードはそう言うと皆を連れてギルドを出る。

***

 転移魔法でさっさとネックへ戻ったクロード達は、ミレイ達いのこり組が待つクランハウスへと急ぐ。

「皆、今戻ったよ~。俺達が留守中に何か困った事とかあった? 」

「いいえ、こっちは特に困ったことはなかったわよ。って言うかこっちよりそっちでしょ。はぁ~、あなた達、いったいバスフェンで何やってるのよ。クロードから念話で知らせが来た時は心臓が止まるかと思ったわ!!……一応クロードから聞いたバスフェンでの詳細を書いて国王陛下宛にギルド経由で送っておいたわよ。お伺いの手紙付きで」

「あ、ありがとうミレイ。手間を掛けさせちゃって悪かったね。でも仕方なかったんだよ。どうやら今回の件とバスフェンのギルマスの依頼の件、そしてベロニカの家族の件は繋がっている可能性が極めて高いと俺は思っているんだよ」

「ええ、わかっているわよ。…………それにしても今回の件が全部終わったらこのクランは絶対に発足して一月以内と言うあり得ない速度で高ランククランに仲間入りしそうね」

「はははは…………まさか~~…………え、マジ!?」

「…………ええ、ほぼほぼマジな話よ。そうなったら凄く忙しくなるから覚悟しておきなさいよ~~」

 ミレイはそう言うと残っている書類を整理するためにネックの中心地にあるクラン『守護騎士の集い』の出張所まで出かけて行った。

「…………さて、気を取り直して……皆、悪いんだけどこれから皆の専用武器と防具を作ろうと思うから皆の武器と防具を少しの間だけ預からせてくれ」

 クロードは皆から武器と防具を預かると、一人で黙々と作業をするためにクランハウスの二階にある自室へと向かう。

 自室に入るとクロードは皆から預かった武器を部屋の端に立てかけ、ミスリルやオリハルコン等の希少金属と武器防具を強化するモンスター素材を幾つか床に置き、スキル『武器防具製作』を発動した。

***

 数時間後、遂に皆の専用の武器と防具が完成した。

 先ずは、ケイトの武器と防具から、武器は名を魔剣グラムと言い形状を聖剣アロンダイトと同様にし素材にミスリルとオリハルコンの合金とスタンピード戦でクロードが何とか倒したSSSランクの暗黒魔竜ヴリトラの双角を使った。

 次に防具だが胸当てや小手などは全てミスリルとオリハルコンの合金で作り、防具の内側に着るインナーには通気性、破水性共に優れたフォレストグレートキングコングの皮を使った。

 そして、他のみんなにも殆ど同じ素材を使って防具を作った。

 因みに武器はベロニカにはミスリルとオリハルコンの合金とブラッドホーンヴァッファローの角を使って魔剣ブラットホーンをそして、アイリにはSSランクの素材を使った爆炎竜の長杖、マルティには光の大精霊の力を借りて光の大精霊のメイス、ナビーには風の大精霊の力とウィンドドラゴンの角を使って風竜の双牙をマールには七つの属性竜の力を宿した扇を作った。

 皆に武器と防具を作り終えたクロードは次にスキル『付与』で各武器と防具に能力を付与していく。

「…………全ての武器と防具に『不壊』、『自動再生』、武器には『武器吸収』、防具には『防具吸収』付与してッと、次は一つ一つの武器と防具に固有の能力を一つずつ付与して――――完成だ!!」

 そしてクロードは完成した新たな武器と防具たちに皆が今まで使っていた武器と防具たちを吸収させていく。

 
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