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《旅》
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化け物が自分たちに襲い掛かってきた。この周辺ではよく出現する類人猿のような巨大な怪物だ。
それは受刑者が何度もゾンビ化し再生した結果がこの有り様である。もう人間としての知能ではない。言語も話せず、知能も衰えてしまった化け物として生きる羽目になってしまうのだ。
だからライはこの世界が嫌いだ。人間を化け物に変貌させて、知能を地の龍へ吸収させるこの弱肉強食の世界が大嫌いだ。
「リーダー、あいつ来るっす!」
「おう。タキ、いけるか?」
「行けるっす!」
短刀を片手に大剣を振りかざしたタキと共に立ち向かう。突進していったかと思えば、間の木々に滑るように段階を踏んで大きく跳躍した。
「うらぁぁぁぁぁっっっっーーーー!!!!」
脳天に叩き込み横へとスライドさせ咆哮を上げる怪物の手がこちらへ向かう。
右へ走り跳躍して足元へ滑り込んだ。次の瞬間、タキの大剣が怪物の足を切り裂いた。
怪物は左足を失い軸が乱れたかと思えば、轟音を立てて倒れていく。その隙にまた全速力で走り込み、心臓付近に向けて刃物を突き立て――抉った。
類人猿は白目を剥いてそのまま倒れ込んだ。タキがその場に立ち尽くす。
「はぁ……はぁ……、リーダー、大丈夫っすか?」
「俺は平気。最近修行しているからか?」
「マジっすか……」
「とりあえず仲間分の食糧を持っていくぞ」
「はいっす!」
滴る血を振るってから鞘に収めていくライは腰に下げていた乾いてガサガサな布で顔を拭こうとしたが――同じく血だらけになっているタキへ投げつけた。
唖然としたタキではあったもののとても嬉しそうな表情を見せて顔を拭いていた。それからゾンビとなって怪物になってしまった末路を捌いていく。
ライが先に根城に帰れば旅支度をしていたルゥが血だらけになっているライを見てドン引きした様子であった。
「もう、また血を付けて~! やめて欲しいから布下げさせたのに~!」
「うっせぇな、別に良いだろ。川で浴びてくるからさ」
「早く浴びてよね~。もー、もうすぐ出発するからねっ!」
ルゥが羽をバタつかせながら新しい布を手渡した。ルゥが言うには「今まで一番ガサガサした布の生地だね……」衝撃的な様子で話すので軽く苛立った。
ほどよく冷たい川で全身を洗い、布で拭いてからまた根城に戻れば今度はレレが心配な顔を見せている。
すると今度は捌き終えたタキが現れた。
「ライ、僕たちが行かなくて本当に平気? 地獄の門番ってかなり強いって有名だよ?」
「強くてもこの天使様を連れて行けばなんとかなるかもしれねぇだろ」
「ルゥね」
一瞬の間が空く。ライが軽く咳をした。
「……ルゥを連れてテキトーな理由つければなんとかなるかもしれねぇじゃねぇか。それに、この旅は厳しくなるしな」
「まぁそうだけどさ」
「厳しくなる分、殺されて受刑者となることもある。そしたらタキ、――お前が俺たちを殺せ」
「なっ!??」
驚きで声も出ないタキではあるがルゥは太い息を漏らし「無事にここまで帰ってくるから平気だよ」そう言って微笑んだ。
タキが安堵したような顔をしたがそれでもライは「あとは頼んだぞ」根城を後にして二人が見送る顔を見て微笑んだ。
ルゥの折れた羽が震えた。
「君が優しいのか意地悪なのかわからないよ、僕は」
「君じゃねぇから」
「ライって言ったら不機嫌な顔するじゃん」
「……フキゲンってなんだ?」
「――――その顔だったんだ」
二人の地の龍に会う旅が始まった。
それは受刑者が何度もゾンビ化し再生した結果がこの有り様である。もう人間としての知能ではない。言語も話せず、知能も衰えてしまった化け物として生きる羽目になってしまうのだ。
だからライはこの世界が嫌いだ。人間を化け物に変貌させて、知能を地の龍へ吸収させるこの弱肉強食の世界が大嫌いだ。
「リーダー、あいつ来るっす!」
「おう。タキ、いけるか?」
「行けるっす!」
短刀を片手に大剣を振りかざしたタキと共に立ち向かう。突進していったかと思えば、間の木々に滑るように段階を踏んで大きく跳躍した。
「うらぁぁぁぁぁっっっっーーーー!!!!」
脳天に叩き込み横へとスライドさせ咆哮を上げる怪物の手がこちらへ向かう。
右へ走り跳躍して足元へ滑り込んだ。次の瞬間、タキの大剣が怪物の足を切り裂いた。
怪物は左足を失い軸が乱れたかと思えば、轟音を立てて倒れていく。その隙にまた全速力で走り込み、心臓付近に向けて刃物を突き立て――抉った。
類人猿は白目を剥いてそのまま倒れ込んだ。タキがその場に立ち尽くす。
「はぁ……はぁ……、リーダー、大丈夫っすか?」
「俺は平気。最近修行しているからか?」
「マジっすか……」
「とりあえず仲間分の食糧を持っていくぞ」
「はいっす!」
滴る血を振るってから鞘に収めていくライは腰に下げていた乾いてガサガサな布で顔を拭こうとしたが――同じく血だらけになっているタキへ投げつけた。
唖然としたタキではあったもののとても嬉しそうな表情を見せて顔を拭いていた。それからゾンビとなって怪物になってしまった末路を捌いていく。
ライが先に根城に帰れば旅支度をしていたルゥが血だらけになっているライを見てドン引きした様子であった。
「もう、また血を付けて~! やめて欲しいから布下げさせたのに~!」
「うっせぇな、別に良いだろ。川で浴びてくるからさ」
「早く浴びてよね~。もー、もうすぐ出発するからねっ!」
ルゥが羽をバタつかせながら新しい布を手渡した。ルゥが言うには「今まで一番ガサガサした布の生地だね……」衝撃的な様子で話すので軽く苛立った。
ほどよく冷たい川で全身を洗い、布で拭いてからまた根城に戻れば今度はレレが心配な顔を見せている。
すると今度は捌き終えたタキが現れた。
「ライ、僕たちが行かなくて本当に平気? 地獄の門番ってかなり強いって有名だよ?」
「強くてもこの天使様を連れて行けばなんとかなるかもしれねぇだろ」
「ルゥね」
一瞬の間が空く。ライが軽く咳をした。
「……ルゥを連れてテキトーな理由つければなんとかなるかもしれねぇじゃねぇか。それに、この旅は厳しくなるしな」
「まぁそうだけどさ」
「厳しくなる分、殺されて受刑者となることもある。そしたらタキ、――お前が俺たちを殺せ」
「なっ!??」
驚きで声も出ないタキではあるがルゥは太い息を漏らし「無事にここまで帰ってくるから平気だよ」そう言って微笑んだ。
タキが安堵したような顔をしたがそれでもライは「あとは頼んだぞ」根城を後にして二人が見送る顔を見て微笑んだ。
ルゥの折れた羽が震えた。
「君が優しいのか意地悪なのかわからないよ、僕は」
「君じゃねぇから」
「ライって言ったら不機嫌な顔するじゃん」
「……フキゲンってなんだ?」
「――――その顔だったんだ」
二人の地の龍に会う旅が始まった。
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