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《白状の白旗》
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重厚感のある漆塗りのテーブルはヒビ割れ一つもない。自分が通っているチェーン店の居酒屋はこんな大層な雰囲気でもない。それでも優雅にキャスターマイルドを旨そうに吸っているこの瀬川という男に朔太郎は昨日と違う感覚を得た。
瀬川が灰皿に煙草を押し付けた。すると女将がビールと突き出しに料理を運んできた。
「はい、生中お二つに突き出しと、先にマグロの三点盛りです。あと、ポテトサラダ」
「最近、マグロが豊漁らしいもんな。サンキュー」
「いえいえ」
それから襖を再度閉ざして、二人っきりの空間になる。瀬川がジョッキのビールを掲げた。
「まぁ、まずは乾杯な。はーい、かんぱーい!」
「かんぱい……です」
恐々としてビールを流し込んだ。キンキンに冷えているからか、上等なビールだから分からぬが、――やけにうまい。クセがなく、だが深みのある味わいであった。
「おいしい……です」
「ほぉ、それは良かったな。本当はお前に請求してやりたいぐらいだが、今回は俺が誘ったからな。存分に飲んで食え」
「あ、は、はい! ありがとうございますっ!」
深々と頭を下げる朔太郎に瀬川は口元に笑みを見せた。やけに笑う男だと朔太郎はふと感じた。瀬川が突き出しの里芋の煮物を食べながら話し始める。
「そ~んで? てんしくんは、昨日、なんで路上で吐くまで酔っていたわけ?」
「え、それ言うんですか? 藍斗から聞いていないんですか?」
朔太郎も里芋の煮物を食む。ほっくりとした柔らかさにだしが染みて身体に沁みわたる。
「おいしいっ! うまぁ~……」
幸せそうに頬張る朔太郎に瀬川はふっと綻んで、自身の突き出しを渡した。首を傾げる朔太郎にそれでも彼は笑みを浮かべる。
「やるよ。あんたのその可愛い顔見られるなら儲けだ」
「……俺はかわいくないですよ。でも、あの、――ありがとう、ございます」
突き出しを貰い食んでいく朔太郎に、今度はポテトサラダを口にした瀬川は言葉を紡ぐ。
「俺は藍斗に嫌われてんからなぁ~。だからてんしくんのことも初めて聞いたよ」
「えっ! そ、そうだったんですか……。知らなかった……」
「――あいつ、こんな上玉隠しやがって」
瀬川が小声で呟いたようだが朔太郎は聞き逃したようだ。突き出しを食べ終えてビールを一息飲んでから、ことの成り行きを喋る。
「えっと、その、彼女にフラれたんで藍斗に付き合ってもらっていたんです」
「ふ~ん。路上でゲロするほど好きだったのか?」
「それは、その……、またやっちゃったなぁ、みたい、な……」
「またって、どういう意味だよ? もしかしてフラれまくっていんのか?」
瀬川の揶揄する言葉に多少なりとも憤りは感じたが、朔太郎は少し頷いた。すると今度は吐き出すように瀬川が紡ぐ。
「ゲロ出すほど好きって、どんだけ好きなんだよ。もしかしてあれか? 女のセックスがうまいとかそういうのか?」
「せっ、そ、そういうのはしたことないですっっ」
「……はぁ?」
言ってしまったという朔太郎に興味を刺激された瀬川は前のめりになっていた。その企んだような笑みと瞳は、朔太郎を混乱に移されそうになった。
瀬川が灰皿に煙草を押し付けた。すると女将がビールと突き出しに料理を運んできた。
「はい、生中お二つに突き出しと、先にマグロの三点盛りです。あと、ポテトサラダ」
「最近、マグロが豊漁らしいもんな。サンキュー」
「いえいえ」
それから襖を再度閉ざして、二人っきりの空間になる。瀬川がジョッキのビールを掲げた。
「まぁ、まずは乾杯な。はーい、かんぱーい!」
「かんぱい……です」
恐々としてビールを流し込んだ。キンキンに冷えているからか、上等なビールだから分からぬが、――やけにうまい。クセがなく、だが深みのある味わいであった。
「おいしい……です」
「ほぉ、それは良かったな。本当はお前に請求してやりたいぐらいだが、今回は俺が誘ったからな。存分に飲んで食え」
「あ、は、はい! ありがとうございますっ!」
深々と頭を下げる朔太郎に瀬川は口元に笑みを見せた。やけに笑う男だと朔太郎はふと感じた。瀬川が突き出しの里芋の煮物を食べながら話し始める。
「そ~んで? てんしくんは、昨日、なんで路上で吐くまで酔っていたわけ?」
「え、それ言うんですか? 藍斗から聞いていないんですか?」
朔太郎も里芋の煮物を食む。ほっくりとした柔らかさにだしが染みて身体に沁みわたる。
「おいしいっ! うまぁ~……」
幸せそうに頬張る朔太郎に瀬川はふっと綻んで、自身の突き出しを渡した。首を傾げる朔太郎にそれでも彼は笑みを浮かべる。
「やるよ。あんたのその可愛い顔見られるなら儲けだ」
「……俺はかわいくないですよ。でも、あの、――ありがとう、ございます」
突き出しを貰い食んでいく朔太郎に、今度はポテトサラダを口にした瀬川は言葉を紡ぐ。
「俺は藍斗に嫌われてんからなぁ~。だからてんしくんのことも初めて聞いたよ」
「えっ! そ、そうだったんですか……。知らなかった……」
「――あいつ、こんな上玉隠しやがって」
瀬川が小声で呟いたようだが朔太郎は聞き逃したようだ。突き出しを食べ終えてビールを一息飲んでから、ことの成り行きを喋る。
「えっと、その、彼女にフラれたんで藍斗に付き合ってもらっていたんです」
「ふ~ん。路上でゲロするほど好きだったのか?」
「それは、その……、またやっちゃったなぁ、みたい、な……」
「またって、どういう意味だよ? もしかしてフラれまくっていんのか?」
瀬川の揶揄する言葉に多少なりとも憤りは感じたが、朔太郎は少し頷いた。すると今度は吐き出すように瀬川が紡ぐ。
「ゲロ出すほど好きって、どんだけ好きなんだよ。もしかしてあれか? 女のセックスがうまいとかそういうのか?」
「せっ、そ、そういうのはしたことないですっっ」
「……はぁ?」
言ってしまったという朔太郎に興味を刺激された瀬川は前のめりになっていた。その企んだような笑みと瞳は、朔太郎を混乱に移されそうになった。
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