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《サイテー!》
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ポケットに入っているスマホがバイブ音を鳴らしたので、朔太郎は着信主を見る。すると驚いた。まさかの噂の相手であった。藍斗が首を傾げた。
「どうした? 職場からか?」
「う、うんっ! ちょっと席外すねっ」
「おう。俺はなんか酔い醒ましでソフトドリンク飲んでっから」
負い目を感じつつ朔太郎は藍斗と離れて外へ行き、電話に出る。――相手は藍斗の兄、瀬川 來斗であった。少々緊張したが息を整えて耳元にスマホを寄せる。
「も、もし……もし?」
『おう、てんしくんか。今どこだ?』
「え、っと……。藍斗と今、飲んでて……」
『へぇ~、あいつとか。じゃあ、ちょうどいいな』
「……えっ、と? どういうこと、ですか?」
藍斗の名前を出したので嫌かなと感じつつ名前を出してしまったことに悔いはなかった。瀬川がどういう反応を見せるか、朔太郎は気になったのだ。
しかし、瀬川は軽く笑いを噛みしめながらこのような話をしだした。
『今よぉ、お楽しみ相手が居ねぇって、女どもが騒いでんだよ』
「……はあ?」
『だ~か~らぁ~。今、”ホステス”と相手しているからお前らも来いって言ってんの。わかる?』
一瞬だけ頭がショートしそうになった。確かによく聞いてみると、瀬川の音声からはジャズの曲と女の声が騒いでいる。しかもだ――
『きゃ~、瀬川さん! おトモダチ呼んでくれているのぉ?』
甲高い女の声。瀬川は動じていないが朔太郎は困惑していた。朔太郎の頭は、今、かなりフル回転している。
(どういうことだ……? つまり、あれは、あの行為は……、単なる――)
「……遊びですか? じゃあ、俺は要りませんね」
『?? てんし……くん?』
朔太郎の脳内は切り替わっていた。藍斗の話は本当だったのだ。瀬川は遊びで自分に悪戯を仕掛けてきたのだ。もしも、このままの関係をずるずるといけば……自分はボロ雑巾のように捨てられる。朔太郎の心は震えながらも、固まりつつあった。
だから言い放ったのだ。
「俺、遊びで付き合う人は嫌いです。あなたは仕事ができるし、もしかしたら人格者かもしれない。でもそれは、……単なる、俺の勘違いです」
『あ、お、おいっ!』
「俺は自分をコケにする人は嫌いです。じゃあ、――――さよなら」
スマホを切って、メッセージアプリの瀬川をブロックしようとしたが……できなかった。どうしてだができない。だから、鳴り止まないバイブ音にも、瀬川の着信を知っている、わかっているのに……出られない。
朔太郎の両目からは一筋から幾筋の涙が零れて落ちる。嗚咽してしまうほど、涙がこんなにも溢れてしまうのは、――裏切られたと思うのは、どうしてか。
「ひぃ、っくぅ……、うぅっ、うっ、ううぅっっ……――――!!!!」
両目に両手を充てて涙を抑えようとした。今日は藍斗が飲んだくれて良かった。飲んだくれていなかったから、自分が来ないことに不信感を抱いて来てしまうかもしれない。
「今日は……、飲んでやるっっ!!!!」
片方のポケットに突っ込んでいたハンカチで涙を拭いて息を吸い込み、居酒屋へと向かう。藍斗はと言うと、ソフトドリンクを飲みながら寝こけていた。
「まったく……、どいつもこいつも……」
その隣にゆっくりと座った朔太郎は、勝手にビールを頼んでいたのであった。
「どうした? 職場からか?」
「う、うんっ! ちょっと席外すねっ」
「おう。俺はなんか酔い醒ましでソフトドリンク飲んでっから」
負い目を感じつつ朔太郎は藍斗と離れて外へ行き、電話に出る。――相手は藍斗の兄、瀬川 來斗であった。少々緊張したが息を整えて耳元にスマホを寄せる。
「も、もし……もし?」
『おう、てんしくんか。今どこだ?』
「え、っと……。藍斗と今、飲んでて……」
『へぇ~、あいつとか。じゃあ、ちょうどいいな』
「……えっ、と? どういうこと、ですか?」
藍斗の名前を出したので嫌かなと感じつつ名前を出してしまったことに悔いはなかった。瀬川がどういう反応を見せるか、朔太郎は気になったのだ。
しかし、瀬川は軽く笑いを噛みしめながらこのような話をしだした。
『今よぉ、お楽しみ相手が居ねぇって、女どもが騒いでんだよ』
「……はあ?」
『だ~か~らぁ~。今、”ホステス”と相手しているからお前らも来いって言ってんの。わかる?』
一瞬だけ頭がショートしそうになった。確かによく聞いてみると、瀬川の音声からはジャズの曲と女の声が騒いでいる。しかもだ――
『きゃ~、瀬川さん! おトモダチ呼んでくれているのぉ?』
甲高い女の声。瀬川は動じていないが朔太郎は困惑していた。朔太郎の頭は、今、かなりフル回転している。
(どういうことだ……? つまり、あれは、あの行為は……、単なる――)
「……遊びですか? じゃあ、俺は要りませんね」
『?? てんし……くん?』
朔太郎の脳内は切り替わっていた。藍斗の話は本当だったのだ。瀬川は遊びで自分に悪戯を仕掛けてきたのだ。もしも、このままの関係をずるずるといけば……自分はボロ雑巾のように捨てられる。朔太郎の心は震えながらも、固まりつつあった。
だから言い放ったのだ。
「俺、遊びで付き合う人は嫌いです。あなたは仕事ができるし、もしかしたら人格者かもしれない。でもそれは、……単なる、俺の勘違いです」
『あ、お、おいっ!』
「俺は自分をコケにする人は嫌いです。じゃあ、――――さよなら」
スマホを切って、メッセージアプリの瀬川をブロックしようとしたが……できなかった。どうしてだができない。だから、鳴り止まないバイブ音にも、瀬川の着信を知っている、わかっているのに……出られない。
朔太郎の両目からは一筋から幾筋の涙が零れて落ちる。嗚咽してしまうほど、涙がこんなにも溢れてしまうのは、――裏切られたと思うのは、どうしてか。
「ひぃ、っくぅ……、うぅっ、うっ、ううぅっっ……――――!!!!」
両目に両手を充てて涙を抑えようとした。今日は藍斗が飲んだくれて良かった。飲んだくれていなかったから、自分が来ないことに不信感を抱いて来てしまうかもしれない。
「今日は……、飲んでやるっっ!!!!」
片方のポケットに突っ込んでいたハンカチで涙を拭いて息を吸い込み、居酒屋へと向かう。藍斗はと言うと、ソフトドリンクを飲みながら寝こけていた。
「まったく……、どいつもこいつも……」
その隣にゆっくりと座った朔太郎は、勝手にビールを頼んでいたのであった。
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