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《矢谷の秘密》
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矢谷との面談が終わり、朔太郎は午後の利用者の仕事を見てから終えて、職員室でパソコンを打っていた。利用者たちは先に帰っている。
今日は利用者の勤務表をパソコンでチェックしていた。向かい側には角田がメモを取っている。
「矢谷さんとの面談、どうだった?」
「あ~、矢谷さん。勤務は今のところは変えないそうですよ。もう少しリズムを整えてからとのことです」
「ふ~ん……」
角田のメモ書きは見たことはないが、利用者の面談の日を書き込んでいたり仕事内容を書き込んでいたりなどしているようだ。ちなみに情報源はベテラン職員の曽田
である。曽田は今日、門野と本局で会議をしていた。
角田が少し考えた様子で朔太郎を見やる。
「矢谷さんって確か小説家目指していなかったっけ? っていうの、知ってる?」
「あ、あぁ~そういえば、小説の話とかしましたね。なんか、父親のために書いた歴史ファンタジー小説を書いたとか言っていましたね」
そう。矢谷は小説家を目指しているのだ。詳しいことは聞いていないが本人曰く、ファンタジーやSF小説を書いているとのこと。今回は限られた時間の中で面談をしたのであまり話せてはいないが、小説の話も朔太郎としたらしい。
「なんか夢とか持っていていいですよねぇ。そういうのないからなぁ」
「あら、天使くんはあるじゃん。もうすこ~し仕事を覚えるとか、社会人としてちゃんと生きるとか」
あえて意地悪な言葉を口にする角田に朔太郎は苦笑を浮かべた。確かに角田の方が先輩だし、仕事も利用者との関係性も出来上がっているので見習うべき点は多々ある。しかし、それでももう少し朗らかでやんわりとした口調で話してくれてもいいのではないかと朔太郎は口にはせずに思う。
スマホをふと見やる。するとメッセージが届いていた。――來斗からであった。
『今日空いているか?』
『連れて来たい場所があってな。付き合えたらよろしく』
朔太郎は破顔しそうな顔をきつく結んで『良いですよ』そうメッセージを打っておいた。しかし、藍斗の言葉も次第に思い出していく。
――兄貴はクソだからと。あんな血相を変えた表情で話す藍斗は初めてであった。そんな風に考えていたからであろう。もう一通メッセージが届いていた。
藍斗からであった。
『兄貴からメッセージ来てる?』
『無視しろ。お前のためだ』
朔太郎はかなりむっとした。それからメッセージで『俺は來斗さんのこと好きだから良いんだ!』などというような文面を送った。
就業時間まで働き、本局から帰って来た門野と曽田と角田と共に会議をして解散となった。
「ふひ~、つかれたぁ~~!」
腕をぐぅと伸ばして歩いてからバスに乗り駅へと向かおうとする。その時、着信が鳴った。相手は誰だろうかと思いながら、電車には乗らず電話に出た。
相手は藍斗からであった。
今日は利用者の勤務表をパソコンでチェックしていた。向かい側には角田がメモを取っている。
「矢谷さんとの面談、どうだった?」
「あ~、矢谷さん。勤務は今のところは変えないそうですよ。もう少しリズムを整えてからとのことです」
「ふ~ん……」
角田のメモ書きは見たことはないが、利用者の面談の日を書き込んでいたり仕事内容を書き込んでいたりなどしているようだ。ちなみに情報源はベテラン職員の曽田
である。曽田は今日、門野と本局で会議をしていた。
角田が少し考えた様子で朔太郎を見やる。
「矢谷さんって確か小説家目指していなかったっけ? っていうの、知ってる?」
「あ、あぁ~そういえば、小説の話とかしましたね。なんか、父親のために書いた歴史ファンタジー小説を書いたとか言っていましたね」
そう。矢谷は小説家を目指しているのだ。詳しいことは聞いていないが本人曰く、ファンタジーやSF小説を書いているとのこと。今回は限られた時間の中で面談をしたのであまり話せてはいないが、小説の話も朔太郎としたらしい。
「なんか夢とか持っていていいですよねぇ。そういうのないからなぁ」
「あら、天使くんはあるじゃん。もうすこ~し仕事を覚えるとか、社会人としてちゃんと生きるとか」
あえて意地悪な言葉を口にする角田に朔太郎は苦笑を浮かべた。確かに角田の方が先輩だし、仕事も利用者との関係性も出来上がっているので見習うべき点は多々ある。しかし、それでももう少し朗らかでやんわりとした口調で話してくれてもいいのではないかと朔太郎は口にはせずに思う。
スマホをふと見やる。するとメッセージが届いていた。――來斗からであった。
『今日空いているか?』
『連れて来たい場所があってな。付き合えたらよろしく』
朔太郎は破顔しそうな顔をきつく結んで『良いですよ』そうメッセージを打っておいた。しかし、藍斗の言葉も次第に思い出していく。
――兄貴はクソだからと。あんな血相を変えた表情で話す藍斗は初めてであった。そんな風に考えていたからであろう。もう一通メッセージが届いていた。
藍斗からであった。
『兄貴からメッセージ来てる?』
『無視しろ。お前のためだ』
朔太郎はかなりむっとした。それからメッセージで『俺は來斗さんのこと好きだから良いんだ!』などというような文面を送った。
就業時間まで働き、本局から帰って来た門野と曽田と角田と共に会議をして解散となった。
「ふひ~、つかれたぁ~~!」
腕をぐぅと伸ばして歩いてからバスに乗り駅へと向かおうとする。その時、着信が鳴った。相手は誰だろうかと思いながら、電車には乗らず電話に出た。
相手は藍斗からであった。
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