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《プレゼント》
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來斗のメッセージには既読スルーか未読にしたまま時を過ごした。電話も掛かってきたが、無視をした。そんな不穏な関係のまま一週間が続いた。
「よしっ、行くぞっ!」
朔太郎は自分に叱咤して職場に向かう。職場ではなるべく笑顔をたくさん見せた。利用者とも会話をして気を紛らわせた。そうすれば自分のちっぽけな悩みなど解決すると思ったから。
軽作業である資材を運びながらパソコンを弄っていると、施設長の門野が朔太郎へ声を掛ける。どうやら仕事の用事らしい。
「天使くん、君宛ての仕事でこういうのが届いたんだけど……」
職員室でパソコンのメールを開けば、出てきたのがハンドメイドアクセサリーのダイレクトメールの願いであった。文面を見る限り、どうやら障がい者の方の手を借りてダイレクトメールの封入の手伝いを伺う内容であった。しかし差出人には――――
「瀬川……來斗さん、ですか。門野さんはこのことを気にしているんですか?」
「うーん、気にしているとは違うなぁ。気になった、というのが本心かな。この前のパソコンメールと同じ人だったしね。だから気になった……というか」
歯切れの悪そうな、でも、射抜くような視線に朔太郎は逸らしてしまう。だが沈黙に耐えられなかったのは門野の方らしい。息を吐き出したかと思えば、パソコンの電源を落とした。
「まっ、こんな大手の仕事と組めるのなら別に良いんだけどね。利用者さんの工賃も上がるし」
「は、はぁ……」
それから朔太郎の右肩を軽く叩いて軽く笑んだのだ。
「じゃあ天使くんのこと、今回はお咎めなしにしておくからね。さて。これから仕事に励むよぉ!」
「……はい」
朔太郎はどうして來斗が朔太郎の会社を通じて来たのかが不明かつ不思議であった。來斗はなにを企んでいるのだろうかと思いつつ、朔太郎は利用者の作業を見守りつつ自分の業務に励んだ。
昼時。朔太郎は昼食に唐揚げサラダパスタとスポーツドリンクを持ち込んで席に着いた。すると横から、矢谷がなにか紙袋を持ってこちらへやって来る。
それから矢谷は朔太郎へ内緒話をするように声掛けた。
「あの……、天使さん、――これっ」
「へっ……、って、これなに?」
矢谷は辺りを見渡してから朔太郎の傍に寄った。
「これ、この前言っていた子が作ったキーホルダーです。本当はいけないのはわかっているんですけど、良かったら、ぜひっ」
そう。医療関係や福祉などの人間に物をあげるのはタブーに近いのだ。その施設にもよるが、朔太郎が働いている利用者施設は緩い方であった。
だから朔太郎もおずおずとしながら小さな紙袋を手に取る。すると矢谷はとても嬉しそうな顔をしていた。
「良かった、友達も喜びます。でも、なんでかな~? な~んか、普段よりも熱心に作っていたんだよなぁ」
「へぇ~、どうしてなんだろうね? あとで開けてみるけど、その子にお礼言ってくれると嬉しいな」
「はい! ありがとうございます。じゃあ、――私はこれでっ!」
周囲の皆に「お疲れ様でした~」そう告げて矢谷は帰ってしまった。あとで袋から開けようとしたが、話を聞いていた利用者たちが声を上げて開けろという。
「はいはい。わかりましたって……」
それから、紙袋を開いた。
「よしっ、行くぞっ!」
朔太郎は自分に叱咤して職場に向かう。職場ではなるべく笑顔をたくさん見せた。利用者とも会話をして気を紛らわせた。そうすれば自分のちっぽけな悩みなど解決すると思ったから。
軽作業である資材を運びながらパソコンを弄っていると、施設長の門野が朔太郎へ声を掛ける。どうやら仕事の用事らしい。
「天使くん、君宛ての仕事でこういうのが届いたんだけど……」
職員室でパソコンのメールを開けば、出てきたのがハンドメイドアクセサリーのダイレクトメールの願いであった。文面を見る限り、どうやら障がい者の方の手を借りてダイレクトメールの封入の手伝いを伺う内容であった。しかし差出人には――――
「瀬川……來斗さん、ですか。門野さんはこのことを気にしているんですか?」
「うーん、気にしているとは違うなぁ。気になった、というのが本心かな。この前のパソコンメールと同じ人だったしね。だから気になった……というか」
歯切れの悪そうな、でも、射抜くような視線に朔太郎は逸らしてしまう。だが沈黙に耐えられなかったのは門野の方らしい。息を吐き出したかと思えば、パソコンの電源を落とした。
「まっ、こんな大手の仕事と組めるのなら別に良いんだけどね。利用者さんの工賃も上がるし」
「は、はぁ……」
それから朔太郎の右肩を軽く叩いて軽く笑んだのだ。
「じゃあ天使くんのこと、今回はお咎めなしにしておくからね。さて。これから仕事に励むよぉ!」
「……はい」
朔太郎はどうして來斗が朔太郎の会社を通じて来たのかが不明かつ不思議であった。來斗はなにを企んでいるのだろうかと思いつつ、朔太郎は利用者の作業を見守りつつ自分の業務に励んだ。
昼時。朔太郎は昼食に唐揚げサラダパスタとスポーツドリンクを持ち込んで席に着いた。すると横から、矢谷がなにか紙袋を持ってこちらへやって来る。
それから矢谷は朔太郎へ内緒話をするように声掛けた。
「あの……、天使さん、――これっ」
「へっ……、って、これなに?」
矢谷は辺りを見渡してから朔太郎の傍に寄った。
「これ、この前言っていた子が作ったキーホルダーです。本当はいけないのはわかっているんですけど、良かったら、ぜひっ」
そう。医療関係や福祉などの人間に物をあげるのはタブーに近いのだ。その施設にもよるが、朔太郎が働いている利用者施設は緩い方であった。
だから朔太郎もおずおずとしながら小さな紙袋を手に取る。すると矢谷はとても嬉しそうな顔をしていた。
「良かった、友達も喜びます。でも、なんでかな~? な~んか、普段よりも熱心に作っていたんだよなぁ」
「へぇ~、どうしてなんだろうね? あとで開けてみるけど、その子にお礼言ってくれると嬉しいな」
「はい! ありがとうございます。じゃあ、――私はこれでっ!」
周囲の皆に「お疲れ様でした~」そう告げて矢谷は帰ってしまった。あとで袋から開けようとしたが、話を聞いていた利用者たちが声を上げて開けろという。
「はいはい。わかりましたって……」
それから、紙袋を開いた。
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