エンジェルはクズ野郎に射止められた!

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

文字の大きさ
27 / 44

《ジュリのキーホルダー》

しおりを挟む
 中を開けてみるとそこには、青と白を基調としたパールのようなものが連なっているキーホルダーであった。しかも砂粒ぐらいの細かいビーズもしっかりとあしらえており、大きなパールのビーズも組み合わさっている。それから縁にはシルバーが施され、そこにも小さな宝石のようなものが散りばめられていた。大胆でいて、粋があるデザインである。
(――すごいなぁ……)
 ハンドメイドと言っていたが、確かにクオリティが高い。確かにこれなら売れるな、などと納得させるようなデザインであった。朔太郎は息を呑んだ。
「へぇ~、すごい~!」
「矢谷さんやるなぁ~!」
 利用者たちが感嘆の声を上げている。朔太郎は自分が褒められたわけではないのに褒められた気分で嬉しかった。
 しかし中には手紙のようなものが入っている。開いて読んでみた。そこには達筆な字面でこのように記されていた。
『ユリが世話になっています。でも、俺の方がユリのことわかっていますからね。今度また作って欲しいなら、金払ってください。――ジュリ』
 これはどういうニュアンスで書いたのだろうかと朔太郎は不思議に感じた。ただ、俺と言っている割には名前がジュリだ。しかもご丁寧にサインまで入っている。
「……どういうこと、かな?」
「あれ、天使くんどうしたの? そのアクセサリー?」
「ひぃぁっ!???」
 背後から声を掛けてきたのは昼食を買いに行っていた曽田であった。曽田は変な声をを上げた朔太郎に笑い出しながら、キーホルダーに目をやる。それから、ジュリのサインを見て声を上げた。
「えーっ、すごいじゃ~ん! それ、”ジュリ"のハンドメイドキーホルダーでしょ? 彼女にもらったのぉ?」
「え、曽田さん知っているんですか?」
「知ってるもなにも、すごく人気なんだよ? 確か、なにかの障がいを抱えているけど、大きいパーツから細かぁ~いビーズまでいとも簡単にアクセサリーを作るもんだから予約殺到よ? 一年待ちなんてざらなんだからぁ」
「へ、へぇ~……」
 すごいものを貰ってしまったんだなと感じる朔太郎に曽田は愉快そうに笑んだ。
「誰に貰ったのぉ? もしかして、買ったとか?」
「違いますよ、曽田さん。矢谷さんに貰っていましたよ」
「いいなぁ~。天使さん、ずるい!」
 利用者たちがわちゃわちゃと言い出しているので、朔太郎はキーホルダーを仕舞ってからこんなことを告げた。
「これは俺が貰ったものなのでちゃんと大事に付けます!」
「ヒューヒュー! 天使くんかっこいい~!」
「むぅ……、曽田さんもからかわないでくださいっ」
 皆の視線を背に、スマホのキーホルダーを付ける場所へキーホルダーを付けた。繊細で大胆なデザインのキーホルダーは男が付けて恥ずかしくない。
 昼休憩が終わり、利用者たちが作業に取り掛かろうとした。新しい資材を摂りに行こうとした時、――門野が焦ったように声を掛ける。
「天使くん、ちょっと電話……、というか、さっき言っていた人が見学に来たいって!」
「――――えっ!?」
 朔太郎は驚きが隠せずにいたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜

中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」 仕事終わりの静かな執務室。 差し入れの食事と、ポーションの瓶。 信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、 ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(2024.10.21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?

monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。 そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。 主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。 ※今回の表紙はAI生成です ※小説家になろうにも公開してます

片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

【完結】王子様と一緒。

紫紺
BL
田中明夫は作家を目指して10年、全く目が出ない男だ。 ある日、書店の前で金髪青い目の青年が突然話しかけてきた。最初は胡散臭く思っていたのだが……。 南の国の第2王子アスラン、その護衛トーゴー、田中が住むアパートの大家や住人の奨励会員などなど。 様々な人間模様と恋模様が織りなすBL多めのラブコメ開幕です!

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

起きたらオメガバースの世界になっていました

さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。 しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。

処理中です...