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《兄弟の違い》
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藍斗からの着信に朔太郎はかなり動揺した。気分は浮気した夫という具合だ。
「うわぁっ、え、えっとぉ…………!」
そんな慌てている様子の朔太郎に來斗は勝手に朔太郎のビールを飲んで笑う。
「俺は気にしねぇから藍斗と話せば? あ、スピーカーでも良いけど?」
「しませんよっ! というか、俺のビール飲まないで下さい!」
「ほらほら、早く出ねぇと切られるぞぉ?」
ビールは仕方がないと思い、朔太郎は席を立ってから襖を開けて電話に出た。電話に出ると藍斗はどこか歯切れの悪そうな声をしていた。
『悪いな、さく。夜に電話とかしちゃって……』
「えっと。今は出先だから長く話せないけど、大丈夫だよ? どうしたの?」
すると藍斗は決めたように声を発した。
『俺、その……、――結婚するんだ。ちゃんとお前の分の招待状も書いてあるから、その、来て欲しいな……って』
朔太郎はどうして藍斗が覚悟を決めたような声を発したのか不明ではあったが、祝い事なので自然と声が出た。
「へぇ~、やっと結婚かぁ。良かったよ! 俺もそういうの頑張らないとなぁ……。でも、おめでと! 藍斗」
『……――悲しいとか、思わない?』
「えっ、なんか言った?」
『あっ、い、言ってねぇよ! わりぃな、先に結婚して。ご祝儀期待しているぜ? ――じゃっ!』
プツンと切られたスマホに胸を撫で下ろしていた朔太郎ではあったが、不意に振り向けば、――來斗がにやつきながら見下ろしていた。
「うわっ、なんでいるんですかっ!???」
朔太郎は仰天し、それから襖を閉じた。それでも來斗はニヤつきながら、でもどことなく真剣みを帯びた表情を見せている。
「藍斗ってさ、てんしくんのこと好きなだな~って思ってさ。俺にはメッセージしか寄こさねぇぜ?」
「まぁ、その……瀬川さんには前科があるんですから、仕方がないじゃないんですか?」
「でも、あいつの友達は知らねぇけどさ。親戚とか両親にさえ電話寄こさねぇぞ? おかしくね?」
確かにおかしい。普通であれば電話ぐらいはするだろうと朔太郎も考えた。それから來斗は朔太郎から奪ったビールを飲み干し、椅子にもたれかかった。
「ま、いいや。あいつには牽制しておいたし。それよりもさ~、てんしくんの家、行かせてよ?」
「はい? なんでまた急に……?」
戸惑う様子の朔太郎に來斗はニヒルに笑んだ。これはなにか企んだ顔かもしれないと朔太郎はふと過る。
「そのキーホルダーのことも聞きたいしさ。それに、俺にはいっぱい借りがあるだろう?」
やはりそうかと、やはりそう来たかと思いながら朔太郎は息を灯した。それから、キーホルダーを取って來斗へ渡す。
「……貸してあげます、それ。ジュリさんって奴のです」
「それは知ってる。そんで、――お前の家も良いだろ?」
そんな色香な目線で見つめられた朔太郎は鼓動を弾ませた。別に部屋はそこまで汚くない。この前掃除したばかりだ。だが、なんとなく危険視を感じる。
だが、來斗の熱い視線に耐えられそうにない――
「なぁ? いいだろう?」
じっと、見つめられ見惚れてしまうほどの目線を合わされる朔太郎はどうしてだが頷いてしまうのだ。
「うわぁっ、え、えっとぉ…………!」
そんな慌てている様子の朔太郎に來斗は勝手に朔太郎のビールを飲んで笑う。
「俺は気にしねぇから藍斗と話せば? あ、スピーカーでも良いけど?」
「しませんよっ! というか、俺のビール飲まないで下さい!」
「ほらほら、早く出ねぇと切られるぞぉ?」
ビールは仕方がないと思い、朔太郎は席を立ってから襖を開けて電話に出た。電話に出ると藍斗はどこか歯切れの悪そうな声をしていた。
『悪いな、さく。夜に電話とかしちゃって……』
「えっと。今は出先だから長く話せないけど、大丈夫だよ? どうしたの?」
すると藍斗は決めたように声を発した。
『俺、その……、――結婚するんだ。ちゃんとお前の分の招待状も書いてあるから、その、来て欲しいな……って』
朔太郎はどうして藍斗が覚悟を決めたような声を発したのか不明ではあったが、祝い事なので自然と声が出た。
「へぇ~、やっと結婚かぁ。良かったよ! 俺もそういうの頑張らないとなぁ……。でも、おめでと! 藍斗」
『……――悲しいとか、思わない?』
「えっ、なんか言った?」
『あっ、い、言ってねぇよ! わりぃな、先に結婚して。ご祝儀期待しているぜ? ――じゃっ!』
プツンと切られたスマホに胸を撫で下ろしていた朔太郎ではあったが、不意に振り向けば、――來斗がにやつきながら見下ろしていた。
「うわっ、なんでいるんですかっ!???」
朔太郎は仰天し、それから襖を閉じた。それでも來斗はニヤつきながら、でもどことなく真剣みを帯びた表情を見せている。
「藍斗ってさ、てんしくんのこと好きなだな~って思ってさ。俺にはメッセージしか寄こさねぇぜ?」
「まぁ、その……瀬川さんには前科があるんですから、仕方がないじゃないんですか?」
「でも、あいつの友達は知らねぇけどさ。親戚とか両親にさえ電話寄こさねぇぞ? おかしくね?」
確かにおかしい。普通であれば電話ぐらいはするだろうと朔太郎も考えた。それから來斗は朔太郎から奪ったビールを飲み干し、椅子にもたれかかった。
「ま、いいや。あいつには牽制しておいたし。それよりもさ~、てんしくんの家、行かせてよ?」
「はい? なんでまた急に……?」
戸惑う様子の朔太郎に來斗はニヒルに笑んだ。これはなにか企んだ顔かもしれないと朔太郎はふと過る。
「そのキーホルダーのことも聞きたいしさ。それに、俺にはいっぱい借りがあるだろう?」
やはりそうかと、やはりそう来たかと思いながら朔太郎は息を灯した。それから、キーホルダーを取って來斗へ渡す。
「……貸してあげます、それ。ジュリさんって奴のです」
「それは知ってる。そんで、――お前の家も良いだろ?」
そんな色香な目線で見つめられた朔太郎は鼓動を弾ませた。別に部屋はそこまで汚くない。この前掃除したばかりだ。だが、なんとなく危険視を感じる。
だが、來斗の熱い視線に耐えられそうにない――
「なぁ? いいだろう?」
じっと、見つめられ見惚れてしまうほどの目線を合わされる朔太郎はどうしてだが頷いてしまうのだ。
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