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…なんでだろう?……身体が羽のように軽い?…
そう思いながら豊はライグンの攻撃を避け続ける。先ほどとは違い身体は素早く動けるし、とてつもなく軽いのだ。なぜそうなったのかは分からないが豊は不意にライグンの背後に回り蹴りを入れてみることにした。…ライグンの背後に回れるほど豊には余裕というものが生まれていたのだ。
「!??いつの間に僕の背後に!??こいつ!???」
ライグンは振り向きざまに拳を決め込もうとするのだがそれよりも前に豊の蹴りが決まっていた。上体を倒されて前のめりになるライグンを今度は腹部に脚を入れて蹴り込む。するとあろうことか、ライグンは地面へと倒れ込んで腹部を抑え込んでいた。…その姿があまりにも滑稽で豊は無礼にも笑ってしまう。
「ふっ…はははっ!!!…さっきのお返しだよ!…おかしいよね!リィナ?」
豊はケラケラと笑いながらリィナの名前を呼んだ。…だが彼女の名前を呼んでも声は聞こえずにいる。そういえば先ほどから姿が見えないでいるのだ何があったのだろうか?不意に不安に駆られ豊が彼女の名前を呼ぼうとすれば倒れているライグンが這いずるような笑いと声をさせた。
「あははっは…!……君って本当にバカだよね~?…リィナがなんで今まで、契約しなかったのか?それさえも分からないでいるの?」
不敵な笑みを見せる彼に豊は怒りを覚える。だがそんなライグンの言葉を聞いた途端、豊の脳内でとある情景が映ったのだ。熱く、そして息も出来ぬほどの熱風のなか、さまようことも出来ず、ただひたすらに燃え上がる炎のなかで苦しんでいる少女…リィナがそこに居たのだ。
「!!??リィナっ!??…なんで?……なんでこんな…こと…に?」
苦しがっているリィナをどうにか助けなければとはなるのだが豊には分からずにいる。…そんな彼に悪魔が囁くのだ。
「…ねぇ?リィナを助けたい…よね?」
「!??お前っ!お前は!リィナを助けられるのか!??」
豊に近寄ってにっこりと笑った悪魔は慌てふためく馬鹿な人間にこのような取引を持ち掛けたのだ。
「リィナはね?君が今、使っている能力のせいで苦しんでいるんだよ。」
「…?俺が使っている、能力?」
「そう…。”反魂転生”っていう素晴らしい能力さ。」
「はんごん…てんせい?」
聞きなれない言葉に疑問に思う青年に悪魔は再び笑う。
「一度失った力を回復できる、とても素晴らしい能力さ!…それがあれば、一度死んだ物を…いや!人間だって魂を甦らせることも出来る!…でもね、欠点があるんだよ。」
「……欠点?それは…一体?」
すると悪魔は勿体ぶった表情を見せて言い放つ。
「相手を反魂させるたび、つまり回復させるたびに…リィナは燃え上がる炎の中で苦しむんだよ。ずぅっと、ずっと…。」
「そんな!??そ…んな?」
豊は驚いた。そんな理由があったからリィナは今まで契約をしてこなかったのだと。それならば頑なに相棒にならない理由も合点がいく。
明らかになった真相に青年は顔を青ざめれば、悪魔は今度は悲しい顔をしてから自身の腕を大きな鎌にして青年を驚かせた。しかし悪魔は彼を驚かせるのが目的ではない。…もっと残忍な目的の為に自身を武器化したのだ。驚く豊に悪魔は…ライグンはにっこりと笑った。
「リィナがこれ以上、苦しまないようにするにはね?…君が放棄、つまり、契約を捨てれば、それで彼女は救われる。…だから僕はその手助けをしようと思って。」
ジリジリと近づきながら舌舐めずりをする悪魔は恐怖で身動きの取れない人間を見て口元を緩ませた。…あともう一息だ。そう自分に言い聞かせて。
「君達を助ける為に、僕が君を殺してあげる。…そうすれば、いや。もしかしたら、君はまた壺中の天に帰れるかもしれないでしょ?…もちろん。リィナも傷付かないで済むし?…どう?いいと思わない?」
豊の首元に刃物が向けられる。鋭いその刃に映るのは己が恐怖で歪んだ顔と何かを覚悟したような、そんな複雑な表情を見せていた。ライグンの言葉に意を決した青年…豊はその鋭い刃を女の子1人も守れずにいる自身の懺悔のように目を閉じた。…悪魔が眼光を鋭くさせて首を跳ね除けようとした。
…だがそんな2人に間を割って入って来た人間が1人現れるのだ。…それは。
「…焚書士たるもの、せっかく契約出来たのに。…そんな枢要の罪ごときに惑わされちゃダメでしょ?志郎君?」
「…っえ?」
驚いて目を見張ればルークがライグンと豊の間に割って入り豊を助けていた。舌打ちをするライグンにルークは書物になっているレジーナに呼びかける。
「君の出番だよ!レジーナ!…俺に力を貸して!」
豊が呆然と見守れば書物になっていたレジーナは消失し、代わりにルークが普段から持ち歩いているジッポライターが輝きだした。ルークは辺りを見回して少し溜息を吐いてからとある書物を手に取って唱える。
「君にも力を借りるよ!…空間の書!」
一面が結界のように辺りがはりめぐされる光景を豊は直に感じたのであった。
そう思いながら豊はライグンの攻撃を避け続ける。先ほどとは違い身体は素早く動けるし、とてつもなく軽いのだ。なぜそうなったのかは分からないが豊は不意にライグンの背後に回り蹴りを入れてみることにした。…ライグンの背後に回れるほど豊には余裕というものが生まれていたのだ。
「!??いつの間に僕の背後に!??こいつ!???」
ライグンは振り向きざまに拳を決め込もうとするのだがそれよりも前に豊の蹴りが決まっていた。上体を倒されて前のめりになるライグンを今度は腹部に脚を入れて蹴り込む。するとあろうことか、ライグンは地面へと倒れ込んで腹部を抑え込んでいた。…その姿があまりにも滑稽で豊は無礼にも笑ってしまう。
「ふっ…はははっ!!!…さっきのお返しだよ!…おかしいよね!リィナ?」
豊はケラケラと笑いながらリィナの名前を呼んだ。…だが彼女の名前を呼んでも声は聞こえずにいる。そういえば先ほどから姿が見えないでいるのだ何があったのだろうか?不意に不安に駆られ豊が彼女の名前を呼ぼうとすれば倒れているライグンが這いずるような笑いと声をさせた。
「あははっは…!……君って本当にバカだよね~?…リィナがなんで今まで、契約しなかったのか?それさえも分からないでいるの?」
不敵な笑みを見せる彼に豊は怒りを覚える。だがそんなライグンの言葉を聞いた途端、豊の脳内でとある情景が映ったのだ。熱く、そして息も出来ぬほどの熱風のなか、さまようことも出来ず、ただひたすらに燃え上がる炎のなかで苦しんでいる少女…リィナがそこに居たのだ。
「!!??リィナっ!??…なんで?……なんでこんな…こと…に?」
苦しがっているリィナをどうにか助けなければとはなるのだが豊には分からずにいる。…そんな彼に悪魔が囁くのだ。
「…ねぇ?リィナを助けたい…よね?」
「!??お前っ!お前は!リィナを助けられるのか!??」
豊に近寄ってにっこりと笑った悪魔は慌てふためく馬鹿な人間にこのような取引を持ち掛けたのだ。
「リィナはね?君が今、使っている能力のせいで苦しんでいるんだよ。」
「…?俺が使っている、能力?」
「そう…。”反魂転生”っていう素晴らしい能力さ。」
「はんごん…てんせい?」
聞きなれない言葉に疑問に思う青年に悪魔は再び笑う。
「一度失った力を回復できる、とても素晴らしい能力さ!…それがあれば、一度死んだ物を…いや!人間だって魂を甦らせることも出来る!…でもね、欠点があるんだよ。」
「……欠点?それは…一体?」
すると悪魔は勿体ぶった表情を見せて言い放つ。
「相手を反魂させるたび、つまり回復させるたびに…リィナは燃え上がる炎の中で苦しむんだよ。ずぅっと、ずっと…。」
「そんな!??そ…んな?」
豊は驚いた。そんな理由があったからリィナは今まで契約をしてこなかったのだと。それならば頑なに相棒にならない理由も合点がいく。
明らかになった真相に青年は顔を青ざめれば、悪魔は今度は悲しい顔をしてから自身の腕を大きな鎌にして青年を驚かせた。しかし悪魔は彼を驚かせるのが目的ではない。…もっと残忍な目的の為に自身を武器化したのだ。驚く豊に悪魔は…ライグンはにっこりと笑った。
「リィナがこれ以上、苦しまないようにするにはね?…君が放棄、つまり、契約を捨てれば、それで彼女は救われる。…だから僕はその手助けをしようと思って。」
ジリジリと近づきながら舌舐めずりをする悪魔は恐怖で身動きの取れない人間を見て口元を緩ませた。…あともう一息だ。そう自分に言い聞かせて。
「君達を助ける為に、僕が君を殺してあげる。…そうすれば、いや。もしかしたら、君はまた壺中の天に帰れるかもしれないでしょ?…もちろん。リィナも傷付かないで済むし?…どう?いいと思わない?」
豊の首元に刃物が向けられる。鋭いその刃に映るのは己が恐怖で歪んだ顔と何かを覚悟したような、そんな複雑な表情を見せていた。ライグンの言葉に意を決した青年…豊はその鋭い刃を女の子1人も守れずにいる自身の懺悔のように目を閉じた。…悪魔が眼光を鋭くさせて首を跳ね除けようとした。
…だがそんな2人に間を割って入って来た人間が1人現れるのだ。…それは。
「…焚書士たるもの、せっかく契約出来たのに。…そんな枢要の罪ごときに惑わされちゃダメでしょ?志郎君?」
「…っえ?」
驚いて目を見張ればルークがライグンと豊の間に割って入り豊を助けていた。舌打ちをするライグンにルークは書物になっているレジーナに呼びかける。
「君の出番だよ!レジーナ!…俺に力を貸して!」
豊が呆然と見守れば書物になっていたレジーナは消失し、代わりにルークが普段から持ち歩いているジッポライターが輝きだした。ルークは辺りを見回して少し溜息を吐いてからとある書物を手に取って唱える。
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一面が結界のように辺りがはりめぐされる光景を豊は直に感じたのであった。
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