不幸ヤンキー、”狼”に狩られる。〜助走〜

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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"狼"の質疑応答

不幸ヤンキー、”狼”を究明する。【5】

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-ドタッッッッ!ゴオッンッ!!!

「…!!!なんだ?今の音!?」

「そんなことよりもさっさとエッチしよ~よ?」

「さっきの音の方が気になるわ!!!」

幸の声掛けにより一時中断となった行為に哉太がふて腐れるが気にも留めずに急いで服を着てカーテンを開けてみれば…なんということか。保健医が地面に倒れていたのである。具合を見てみようかと身体を持ち上げようとするが地面と密着して動かない。さすがに理由が分かってしまった幸に哉太が口笛を吹く真似をするが彼の鋭い視線に溜息を吐いた。

「…そんな怒んないでよ。分かった。もう能力解除するから。」

哉太が足で地面を叩けば先ほどの地面との密着はなくなり、すんなりと動かせるようになったので幸は介抱する。とりあえず額に大きなたんこぶが出来ていたので氷嚢を作り先生に押し当てて介抱をした。先ほどの行為の後だというのに淡泊な幸に哉太は誘うように彼に近づく。

「そんなことよりさ~。エッチの再開しようよ~?…俺、イケなくて困って」

すると哉太のサイレントモードのスマホが鳴り幸は視線を送れば再び哉太は溜息を吐いて電話に出ることにした。着信は撫子からであった。

「もしもし?…俺、今すんごい機嫌悪いんだけど…って、はぁ?”木が暴れてる”?」

「…木が暴れてる?」

その言葉に幸が傾げて見せれば哉太は相槌を打ちながら身だしなみを整え電話を切る。すると同じく身だしなみを整えていた幸にこのような問いかけをした。

「花ちゃん!…体育館裏の場所教えてくれない?そこで撫子と躑躅と落ち合おうって!」

「???なんだかよく分かんねぇけど、分かった!」

2人が気絶している保健医を置いて体育館へと直行した。


保健室から離れてみれば大勢の人間の声が聞こえてきた。

「なんだあれ!!?」

「何あれ~?なんかの出し物?」

「とりあえず逃げろ!!!」

人々の声が重なる中で幸と哉太が見た光景は凄まじいものであった。

「なんだあれ…?木が…暴れてる???」

幸の言葉通りなんと木が暴れていたのだ。驚く幸に哉太は撫子に電話を掛け終えてからふと言い放つ。

「…やっぱり”キー”なのか?…躑躅と撫子は無事みたいだけど…。」

騒然とした状況の中で考え込む哉太に幸もスマホでフライに電話を掛けてみる。無事であって欲しいと願う中でコール音が数回鳴ったと思えばフライが着信に出てくれた。安堵する幸ではあるがフライからこのような言葉を掛けられる。

「!!!?ジュジュちゃんと妹さんが木に取り込まれた!??」

「…!!?マジかよ…。」

幸の言葉に哉太が驚けばフライに場所を尋ねるように言われたので聞いてみる。露店が集結している大きな通りだとことが分かったので電話を聞いてから急ぐ哉太と幸は場所にたどり着けば、フライとスピード、そして麗永が人命救助を行っていた。木に呑まれている人々を助けている皆に幸が声を掛ける。

「お前ら大丈夫かぁ~!!!?ジュジュちゃんと妹さんは!???」

「!!!さっちゃん!来てくれて助かったよ!…場磁石さんもだけど。」

哉太は付け足したように言うフライなど気にせず哉太は木に呑まれているジュジュを引っ張り上げようとする。脚に木が絡まれて動けないジュジュに哉太は不覚にも思ってしまった。

(この状態なら右脚に”狼”の入れ墨があるかどうか見えるかもしれない。…そしたら見えるまでは助けられない…な。)

余計なことを思ってしまった哉太に今度は思わぬ事態が発生する。

「もう!!!こっちに来ないでって!っひゃあ!!!?」

高い所に捕らわれていたうららが木の枝から離されて地面へと真っ逆さまに落ちそうになっていたのだ。落ちそうになる身体を両手で何とか木に捕まって耐えようとうららは試みる。しかし彼女は運動神経はかなり悪いので握力がそこまで無い。だからすぐに力尽きてしまいそうになってしまう彼女に麗永が助け出そうとする。

「うららさん!しっかりしてください!!!この木がどうにかなれ…ば!!!」

うららを助け出そうとするが木に絡まれそうになって上手く近づけない麗永の姿を見届けてからうららは涙を零すことしか出来ず…木の枝がポキリと冷たく残酷に鳴った。

「!!!うららさん!!」

真っ逆さまにうららは落ちていき彼女は死期を悟った。


ゴーグルを掛けた青年がいやらしく笑って事態を眺めていた。…黒髪で中性的な顔立ちをした青年の右脚には大きな”狼”の入れ墨がある。そんな彼は屋上のフェンス越しからとある人物を見つめる。

「さ~て。俺を見たらどんな反応を見せるかな?…かなちゃんは?」

青年は軽く微笑んだ。
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