不幸ヤンキー、”狼”に狩られる。〜助走〜

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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"狼"の質疑応答

不幸ヤンキー、"狼"を究明する。【6】

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うららが地面へと落下しようとした時、フライがとっさに術を唱えた。

「-翼よ。我に従い、我にかのものを救える力を見せよ。」

背中から生えた白い翼で地面へと落ちそうになったうららをフライは受け止める。何が起こったのか分かっていないうららが目を開けてみれば、自身は空中に浮いていた。

「あれ?…私、死んじゃったの…かな?」

「死んでないよ。大丈夫。もう、降ろすからね?…うららさん。」

「!!!?フライ…君?」

周囲が飛んでいるフライを見て驚くもののそんなことはどうだって良い。彼は安全な場所へうららを降ろしてから、うららに顔を合わせる。

「怖かった…よね?ごめんね。すぐに助けられなくて…。もう大丈夫だから。」

優しく微笑むフライにうららは上体を前に倒して彼の肩に頭を寄せた。どうしたのかと思えば、うららは少し涙目になって答える。

「…フライ君。私さ、死んだかと思ったから、力が抜けちゃっ…て…。」

すると気絶してしまったうららをフライが抱き寄せて座らせた。…その光景を麗永はしかと見届けたのであった。

「あの子…飛んでた…よね?」

「やっぱり何かの出し物…?」

「だって人間が、翼の生えた人間なんて見たことないぞ?」

助けられた人々や大木から離れた周囲が噂をすれば、幸はとっさに大声を出したのだ。

「もう舞台の準備は終わりだ~!早くしねぇとセンセーに怒られるぞ~!」

人々の視線が幸へと向けば彼は哉太に駆け寄り、耳打ちをする。

「ジュジュちゃんがどういう存在なのかは分かんねぇけど、今はこの状況変えることが先だ!」

「でも、この子が本当に"キー"じゃないかを」

「哉太さん、お願い。…俺のお願いを聞いて?」

「!!!??」

幸が哉太に小さくお願いをすれば、された哉太は驚きと共に一回手を叩いて木とジュジュの脚を反発させて外した。願いを聞いてくれた哉太に幸は嬉々とするも、ジュジュに駆け寄ろうとする前に哉太に囁かれる。

「今の言葉…しっかりと受け取ったからね?…だから、今日の分の俺のお願いも聞いおくこと。」

「???お願いって?」

すると哉太は甘い言葉で呟いた。

「…最高にいやらしくてエッチな幸を見たいな~?俺は。」

哉太の言葉に幸が顔を真っ赤にしていれば哉太はその場を離れ、人命救助に専念をする。そして絡まっていた木の枝から抜け出すことのできたジュジュは、顔を真っ赤にしている幸に疑問を抱く。

「???どうしたの、幸くん?顔が…真っ赤だけど?」

「なっ!なんでもない!気にすんなっ!」

「そう?…あとであの人に助けてもらったこと言わないと…。」

そして2人も人命救助に加わったのであった。


撫子と躑躅が屋上へと上がれば、そこには黒髪の人間がフェンスを超えて座っている。ゴーグルを掛けたその人間は右脚だけ迷彩柄のズボンを大腿部まで上げているのだが…その脚には"狼"の入れ墨が刺繍されていた。その脚に見覚えのあった躑躅は驚いて叫ぶ。

「!??君はっ!"キー"なん…じゃ?」

「"キー"って、噂のアイツのことか?」

呑気な声を出す撫子と慌てふためく躑躅を尻目に青年は軽く笑う。

「あー。あんたは無能な方の兄さんか。久しぶりだね~。"かなちゃん"、元気?」

"かなちゃん"という言葉で哉太の事だと分かった躑躅は彼に駆け寄って言い放つ。

「哉太は元気だけど…、あれ?おかしいな?僕の記憶じゃ、"キー"は女だって思っていたんだけど?」

躑躅の言葉に青年はゴーグルを外してからにっこりと微笑んで発する。

「あ~。俺、昔の方が女の子っぽかったからあえて女のフリしてたの。…騙されてたんだ~?ウケるね~、つつじくんは~?…さすがは無能な出来損ないの狼だ。」

笑いながら冷たい言葉を吐く青年に撫子が躑躅を庇う発言をする。

「おいおい。そこまで言うのは失礼じゃねぇのか?俺が言うのもなんだけど、こいつは…躑躅は、別に狼じゃなくても良い奴だし、面倒見も良いぞ?…お前みたいに人を見下したりしないしな!」

撫子が明るく言い返せば青年は笑ってとある言葉を口に出した。

「そう~。…でも、俺たちキョーダイは2人とも狼だから、あんたの言ってる言葉は分からないや。悪いね。」

「!?きょうだい…?君、妹か弟でも…」

「うん。いるよ。…でも、あのジュジュって子じゃない。…あの子は妹が作って…俺が操ってるだけ。」

「どういうこと…?じゃあ君は一体…?」

問い詰めようとする躑躅に大声で笑った青年は舌を出した。それからフェンスを飛び降りる前に言い放つのだ。

「そこまでは教えられないよ。俺にも計画してることがあるからね?…かなちゃんによろしく。…じゃあね。」  

「まっ!待って!!!」

飛び降りた先を見てみれば先ほどの青年は居らず、しかも、暴走していた樹々も止まっていた。どういうことか分からないでいた躑躅ではあるが、取り敢えず哉太に電話を掛ける。コール音が聞こえてから躑躅は恐れるように言葉を発した。

「…もしも、哉太?いや、皐月?…"キー"と出会したんだ。屋上で。」

『!?マジかよ…?そいつ、どこ行った?』

「分からない…。消えたんだ。あの子。」

『あの子って…。本当に躑躅は甘いんだから…。もう。だからいつもあいつに』

「ねぇ、皐月。もしかしたらだけど…」

-"キー"が何かヤバいことでも起こすかもしれない…。-

『…はい?』

普段は冷静な躑躅の言葉に哉太が呆気に取られるのであった。



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