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《いらない存在》
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きじの黒く長い髪によーじはシャワーを浴びせた。すると初めてのシャワーでよーじは目を開けてしまったようだ。よーじはきじの頭に手を置いた。「こら、これはシャワーって奴だから。人を襲うものじゃないから安心しろ」
「う、うん……。そ、そういえば、弥生は?」
「あっ、そういえば弥生は脱衣室に……」
そう言って脱衣室を見ようとすると、なんと浴槽に白兎がタオルを頭に置いて浮いていたのだ。
「えっ……?」その光景に驚いているよーじにきじは浴槽にどっぷり浸かっている弥生を引き寄せた。「こらっ弥生。風呂に入る前はしゃーわーって奴を浴びるんだっ。早速浸かるな!」すると弥生は真紅の瞳を同じく真紅の瞳であるきじに合わせ軽く鳴いた。とりあえず了承したのだろう。
「じゃあ、シャワー浴びるぞ。ほら、きじも座って。弥生は最悪、風呂桶に置けばいいから」
そう言ってもう一つ風呂桶に弥生を入れて始めは弥生を湯で満たした。弥生はどこから取り出したのかタオルを頭に置いて浸かっている。身体を揺らしている様子から洗っている様子でもあった。次はきじだ。
「さて。湯冷めしないうちに早く浴びちゃうぞ。まずは髪の毛をシャワーで浴びて、シャンプーって奴で洗って、次にリンスだから。シャンプーって奴の時はぜっったいに目を開けるなよ?」
「う、うんっ! 頑張るぞ!」
そう言ってしっかりと目をぎゅっと瞑るきじに可愛さを感じつつ、シャワーの水圧で長い髪を洗う。そこにシャンプーで泡立てるのだが、意外と汚いもので一階だけじゃ足りなかった。髪をもう一度洗って二回目シャンプーをする。
「きじ。もう一回目に沁みる奴、シャンプーって奴やるぞ。絶対、絶対、目を開けるなよ」
「あ、う、うん!」
しかし子供というものは絶対と言われるとしてみたくなるもので、きじはそっと目を開けていた。すると目に衝撃が。痛みというものが目から伝わってきたのだ。
「いっったいっ!!??? いたっ、なんだこれっ!!??」
「こらっ、暴れるなっ! だから目を開けるなって言ったのに……」
顔面に濡らしたフェイスタオルできじの顔を拭うよーじと湯浴みから終えて動物とあやかし二匹が湯に浸かっている異質な風景がそこにあった。
そんなこんなで波乱はあったものの、シャワーを浴び終えたきじとよーじも湯に浸かっていた。ちなみに今日はゆずの香りであった。よーじは息を吐く。「あぁ……、疲れた~……」
まるで子育てをしているようだとよーじが思っているときじは足をふわふわとさせていた。そして先に入っていた睦月と弥生は風呂場から出ようとしている。睦月はともかく弥生はフェイスタオルで乾かさないといけない。するときじへ声を掛けた。
「きじ。俺は弥生を連れて一旦脱衣室に行くから、のぼせるようだったら出るんだぞ? 湯あたりは大変だからな」
「はーい! でも弥生はそういうのは自分でできると思うけど?」
「まぁ一応な。睦月のこともあるしな」
そう言って浴室を出て脱衣室に向かうよーじは弥生を連れて睦月と一緒に出た。そんな中できじは一人になり、自分がひどく百済家の人々に優しくされていることに感謝しか感じずにいた。
しかし自分が治めるはずの鬼を、いや兄である鬼道丸を弔う存在になってひっそりと傍にいた。人に拝められることもなく、崇められることもなく、ただひたすらに自分は呪われた存在として生きていたのだ。
「おらは人に愛される存在じゃないんだ。……だからこの空間が、よーじたちが優しすぎるんだ」
一人浴槽で呟いたきじは浴室にある小窓を見る。今日は星が見えた。星なんてあの頃は見えずにいたのを、あの頃は薄暗い世界で生きていたことをきじは想起したのだ。
「……おらは居たって仕方がないんだ。どうせいらないんだ」
それから湯船の中で伸ばした小さな足を小さく曲げたのだ。
「う、うん……。そ、そういえば、弥生は?」
「あっ、そういえば弥生は脱衣室に……」
そう言って脱衣室を見ようとすると、なんと浴槽に白兎がタオルを頭に置いて浮いていたのだ。
「えっ……?」その光景に驚いているよーじにきじは浴槽にどっぷり浸かっている弥生を引き寄せた。「こらっ弥生。風呂に入る前はしゃーわーって奴を浴びるんだっ。早速浸かるな!」すると弥生は真紅の瞳を同じく真紅の瞳であるきじに合わせ軽く鳴いた。とりあえず了承したのだろう。
「じゃあ、シャワー浴びるぞ。ほら、きじも座って。弥生は最悪、風呂桶に置けばいいから」
そう言ってもう一つ風呂桶に弥生を入れて始めは弥生を湯で満たした。弥生はどこから取り出したのかタオルを頭に置いて浸かっている。身体を揺らしている様子から洗っている様子でもあった。次はきじだ。
「さて。湯冷めしないうちに早く浴びちゃうぞ。まずは髪の毛をシャワーで浴びて、シャンプーって奴で洗って、次にリンスだから。シャンプーって奴の時はぜっったいに目を開けるなよ?」
「う、うんっ! 頑張るぞ!」
そう言ってしっかりと目をぎゅっと瞑るきじに可愛さを感じつつ、シャワーの水圧で長い髪を洗う。そこにシャンプーで泡立てるのだが、意外と汚いもので一階だけじゃ足りなかった。髪をもう一度洗って二回目シャンプーをする。
「きじ。もう一回目に沁みる奴、シャンプーって奴やるぞ。絶対、絶対、目を開けるなよ」
「あ、う、うん!」
しかし子供というものは絶対と言われるとしてみたくなるもので、きじはそっと目を開けていた。すると目に衝撃が。痛みというものが目から伝わってきたのだ。
「いっったいっ!!??? いたっ、なんだこれっ!!??」
「こらっ、暴れるなっ! だから目を開けるなって言ったのに……」
顔面に濡らしたフェイスタオルできじの顔を拭うよーじと湯浴みから終えて動物とあやかし二匹が湯に浸かっている異質な風景がそこにあった。
そんなこんなで波乱はあったものの、シャワーを浴び終えたきじとよーじも湯に浸かっていた。ちなみに今日はゆずの香りであった。よーじは息を吐く。「あぁ……、疲れた~……」
まるで子育てをしているようだとよーじが思っているときじは足をふわふわとさせていた。そして先に入っていた睦月と弥生は風呂場から出ようとしている。睦月はともかく弥生はフェイスタオルで乾かさないといけない。するときじへ声を掛けた。
「きじ。俺は弥生を連れて一旦脱衣室に行くから、のぼせるようだったら出るんだぞ? 湯あたりは大変だからな」
「はーい! でも弥生はそういうのは自分でできると思うけど?」
「まぁ一応な。睦月のこともあるしな」
そう言って浴室を出て脱衣室に向かうよーじは弥生を連れて睦月と一緒に出た。そんな中できじは一人になり、自分がひどく百済家の人々に優しくされていることに感謝しか感じずにいた。
しかし自分が治めるはずの鬼を、いや兄である鬼道丸を弔う存在になってひっそりと傍にいた。人に拝められることもなく、崇められることもなく、ただひたすらに自分は呪われた存在として生きていたのだ。
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「……おらは居たって仕方がないんだ。どうせいらないんだ」
それから湯船の中で伸ばした小さな足を小さく曲げたのだ。
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