15 / 65
《十拳剣と草薙剣》
しおりを挟む
玄関を出る前に傘立てに立てておいた傘を手に取り外へ出た。すると夜空がにまにまの笑顔で雨を眺めていたのだ。そんな夜空の姿によーじは揶揄うように笑う。
「おはよう。体育祭の練習、そんなに嫌だったのかよ?」
「あはっ。おはよ~、よーじ。それはもちろんだよ! だって極度の運動音痴にとっては体育祭は絶望的だからね。まっ、体育が得意なよーじくんにはわからないだろうけどっ!」
「そんな言うなって」
「言うもんねぇーだっ!」
そう言ってあっかんべーをする夜空に軽く笑いつつ、よーじは夜空の隣に寄り添う。するとよーじは夜空の右親指に嵌めているシルバーの指輪を見やった。
どこか清廉さを交えた指輪は惹かれるなにかがある。しかしそれはよーじのバッグにあるチャームを見た夜空も、そのチャームに気が付いたようだ。「あっ! そのチャーム素敵だね。買ったの?」
「あ、あぁ……。まぁ借りたって感じだよ。というより、夜空もそのシルバーリング、どうしたんだ? 先生に見つかったら怒られるぞ?」
「へっへ~ん! まぁそしたらポケットの中に入れておくよ。これは僕の願いが叶う指輪なんだ」
「願いが叶う……? ふーん。なんか面白そうだな、それ。まっ、百済宗を信仰している者としては聞き捨てならないな」
雨がざぁざぁと降っている通学路を歩きながら傘を差して歩いていると夜空は少し思い出したような顔をしたかと思えば、顔を伏せてしまう。何事かと思ってよーじが見やると夜空は言葉を走らせた。「外が駄目でも体育館で体育あるよね……」暗く淀んだその声によーじはまぁ、なんて言いながら励まそうとする。
「でもお前が出る500メートル走とかはないと思うしさ。大丈夫だって」
「でも短距離はあるでしょう? しかももしかしたら選択授業の剣道があるかもしれないし。……嫌だな、僕」
それから息を吐いている夜空によーじはなんて声を掛ければ良いのかためらってしまい、少し考える。普段であれば「なんとかなるって」などと告げて笑って学校に向かうのだが、それでも運動音痴な夜空がクラスメイト達へ馬鹿にされる姿を見ると心を痛めていた。
そんなよーじに夜空はなにかを考えたかと思えば、指輪をなにかを願うように言葉を告げる。「……体育自体がなくなりますように」
すると指輪が光り輝いたかと思えば青く照らされていた光の結晶が失われる。その光の結晶は残り六つとなっていた。
さすがにこれはよーじも違和感を抱いた。「なんだそれ? 何が起こったんだ?」
「多分、僕の願いがかなったんだと思う。よーしっ! これで体育はなしだ」
「そんなわけないだろ。さっ、早く行くぞ!」
しかし雨足が余計に強くなっていた。これはよーじも不審に感じている。その後ろ姿の黄金色のカラスと下駄を履いたきじが尾行を続けていた。黄金色のカラスこと睦月ときじは先ほどの姿を見て確信を得ていた。
「あれは八岐大蛇を打ち破った十拳剣と八岐大蛇の尾の一部から出てきた草薙剣が入り混じった神器のようなものだ。だから八岐大蛇は触れられないはず」
きじが傘を差しながら告げれば傍で雨宿りをしている睦月は話を繋げた。「はい。その通りだと思います。ということは、八岐大蛇があの野郎の傍に居る……という子でしょうか」
一人と一匹は頷き合って学校へと向かうよーじと青年の姿を追いかけた。しかしそこで問題が起こる。なんと守衛の人に止められたのだ。
「そこの君、どこから来たの? ここは部外者禁止だよ」
「えっと……」
木に留まっている睦月は置いてきじはどうしたら良いかを考える羽目になった。
「おはよう。体育祭の練習、そんなに嫌だったのかよ?」
「あはっ。おはよ~、よーじ。それはもちろんだよ! だって極度の運動音痴にとっては体育祭は絶望的だからね。まっ、体育が得意なよーじくんにはわからないだろうけどっ!」
「そんな言うなって」
「言うもんねぇーだっ!」
そう言ってあっかんべーをする夜空に軽く笑いつつ、よーじは夜空の隣に寄り添う。するとよーじは夜空の右親指に嵌めているシルバーの指輪を見やった。
どこか清廉さを交えた指輪は惹かれるなにかがある。しかしそれはよーじのバッグにあるチャームを見た夜空も、そのチャームに気が付いたようだ。「あっ! そのチャーム素敵だね。買ったの?」
「あ、あぁ……。まぁ借りたって感じだよ。というより、夜空もそのシルバーリング、どうしたんだ? 先生に見つかったら怒られるぞ?」
「へっへ~ん! まぁそしたらポケットの中に入れておくよ。これは僕の願いが叶う指輪なんだ」
「願いが叶う……? ふーん。なんか面白そうだな、それ。まっ、百済宗を信仰している者としては聞き捨てならないな」
雨がざぁざぁと降っている通学路を歩きながら傘を差して歩いていると夜空は少し思い出したような顔をしたかと思えば、顔を伏せてしまう。何事かと思ってよーじが見やると夜空は言葉を走らせた。「外が駄目でも体育館で体育あるよね……」暗く淀んだその声によーじはまぁ、なんて言いながら励まそうとする。
「でもお前が出る500メートル走とかはないと思うしさ。大丈夫だって」
「でも短距離はあるでしょう? しかももしかしたら選択授業の剣道があるかもしれないし。……嫌だな、僕」
それから息を吐いている夜空によーじはなんて声を掛ければ良いのかためらってしまい、少し考える。普段であれば「なんとかなるって」などと告げて笑って学校に向かうのだが、それでも運動音痴な夜空がクラスメイト達へ馬鹿にされる姿を見ると心を痛めていた。
そんなよーじに夜空はなにかを考えたかと思えば、指輪をなにかを願うように言葉を告げる。「……体育自体がなくなりますように」
すると指輪が光り輝いたかと思えば青く照らされていた光の結晶が失われる。その光の結晶は残り六つとなっていた。
さすがにこれはよーじも違和感を抱いた。「なんだそれ? 何が起こったんだ?」
「多分、僕の願いがかなったんだと思う。よーしっ! これで体育はなしだ」
「そんなわけないだろ。さっ、早く行くぞ!」
しかし雨足が余計に強くなっていた。これはよーじも不審に感じている。その後ろ姿の黄金色のカラスと下駄を履いたきじが尾行を続けていた。黄金色のカラスこと睦月ときじは先ほどの姿を見て確信を得ていた。
「あれは八岐大蛇を打ち破った十拳剣と八岐大蛇の尾の一部から出てきた草薙剣が入り混じった神器のようなものだ。だから八岐大蛇は触れられないはず」
きじが傘を差しながら告げれば傍で雨宿りをしている睦月は話を繋げた。「はい。その通りだと思います。ということは、八岐大蛇があの野郎の傍に居る……という子でしょうか」
一人と一匹は頷き合って学校へと向かうよーじと青年の姿を追いかけた。しかしそこで問題が起こる。なんと守衛の人に止められたのだ。
「そこの君、どこから来たの? ここは部外者禁止だよ」
「えっと……」
木に留まっている睦月は置いてきじはどうしたら良いかを考える羽目になった。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる