鬼を治めるよーじ

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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《いわくつきの指輪》

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 よーじと夜空が学校に着いて一時間目の授業が始まろうとしていた際、ホームルームでは担任やほかの先生方が慌ただしく話をしていた。よーじの後ろに居るクラスメイトがひそっと声を掛ける。「なんかせんせーたち、慌ただしくね?」
「あぁ、そうだな……。そんなに外がやばいの、かな?」
 するとそのクラスメイトがスマホを弄っていた。それから「げぇっ!??」などと言ってよーじの前に画面を突き出した。
 そこにはこの地域だけ洪水警報があったのだ。ほかの地域は晴れマークがついているのにだ。しかもそのクラスメイトが言うにはネットニュースでも取り上げられているようだ。「やばくね……これ? 異常事態じゃん」
 よーじは先ほどの光景を思い出した。夜空がシルバーリングに「体育がなくなればいい!」などと願っていたのだ。もしかしてあのシルバーリングは依代、つまり、神が宿る場所を持っていたのではないかとよーじは考える。
 そこへ担任が息せき切って教室へやって教壇に立った。それから話し出す。
「皆、今日は臨時休校だ! この土砂降りな雨次第でもしかしたら明日も休校になるかもしれないから皆、気を付けて帰るように!」
 「「「えぇ~~!!!!」」」などの声も上がっていたが、よーじはふと夜空の方を見た。すると夜空は大雨であるにも関わらず、とても嬉しそうな顔をしていたのである。それを見てよーじは確信した。夜空が急に嵌め始めたシルバーリングにはなにか秘密があると。
 よーじは早々に帰っていくクラスメイト達を掻き分けて夜空の元へ向かおうとする。しかしそこで担任から声がかかったのだ。「おい、百済。お前、いとこさんか誰か家に預かって居るのか? 守衛さんから連絡があったぞ。百済 葉治の居候の人間だって」
「居候の人間って、まさかっ……?」
 思い当たるのはきじと睦月の姿であった。担任にはうまく丸め込めて伝えておき、守衛室の方へ向かう。急いで守衛室へ向かうとそこには年配の守衛がきじの話を聞いている姿があった。
「んでさ、おらの時はおかゆとかが普通だったんだ。芋粥とか食べていたなぁ~」
「ほほぉ……。お前さん、若くて小さいのに苦労してるなぁ。確かに俺の時代も終戦だったのもあって芋粥とか食べていたな。俺の出身は山梨だからほうとうとかもあってさ」
「ほうとう? へぇ、おらの時は野草を醤油で煮詰めて玄米で食べられればそれで十分だったかな。米が白いのなんて、ここに来てから初めて見てさ」
「お前さん、……泣けるぐらいひもじい思いをしてきたんだな。ほら、カステラあるから持っていきな。俺の分まで持っていけ!」
 なにやら貧相な食の話題で盛り上がっているのでげんなりとするよーじは「あの……」などと申し訳なさそうに声を掛けた。すると守衛はよーじの姿を見て大層喜んだ。「おぉ~! 兄さんがこの子に良いもの食わせてくれているんだな。兄さんのおかげでこの子がひもじい思いをしなくて済んだと言っておるよ!」
「は、はぁ……」
「この子は本当に令和の子かなって言うぐらい貧しい暮らしをしているからさっ。今は一緒に暮らしているけど、離れ離れになっても良いもの食わせてやってくれ」
「は、はい……」
 いや、この子は時代が違うんです。千年以上前に産まれた存在のあやかしのような人間の子供なんです、などと言えるはずなどなくよーじは苦笑いを浮かべながらカステラを片手に持っているきじを連れて守衛室を出て行った。
 守衛室から出た二人ではあるが、窓の外でガラスを突く音がした。見るとそこには黄金色のカラスが窓に張り付いていたのだ。「睦月っ!?」
 よーじとどこか知っている様子のきじは窓ガラスを開け放った。
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