鬼を治めるよーじ

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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《危険な餓鬼》

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 公園へとたどり着き、きじはよーじへ合図をした。
「よーじっ、行くぞっ!」
「おうっ、任せろっ!」
 よーじは慣れた様子で憑依の準備をする。二人が重なり合おうとした、その時に拳が間を遮ったのだ。
「えっ、あっ……なんだっ!?」
 よーじが驚いているとそこにはにんまりと笑っている涼が居た。涼はその拳をよーじへ放つ。
「ぐっはぁぁっっ!???」
「よーじっ!???」
 よーじが身体を吹っ飛ばされた。きじが駆け寄ろうとする前に涼は対峙する。
「そんなことはさせないぞ? 少年たちよ。お前たちはこの福禄が殺す」
 暴走した福禄に憑りつかれた人間の涼へきじとよーじは恐怖に苛まれた。しかしきじは短刀を片手に福禄へ戦闘を挑む。
 拳と刀ではあるが圧倒的に拳の方が有利であった。弥生を振るおうとした瞬間に弾き飛ばされてしまった。「――きじっ!!!!」
 よーじは恐怖で怯えながら弥生を取りに行く。しかし取りに行った矢先で、――きじが福禄に首を絞めつけられていたのだ。
「ぐぅっあぁっ……、あぁっっ……!!」
「――――きじっっっっ!!!!!」
 よーじはきじの元へ駆けつけて福禄から離そうとした。もう無我夢中で離そうとした。するとよーじの中でなにかが蠢いた。それを弥生が察知する。よーじの心の炎が蠢いたのだ。
 そしてその炎は弥生に移り、気づけばよーじは弥生に憑依されていたのだ。弥生に憑依されたよーじは真紅の瞳で薄紅色に染まった刀を振るう。そして間合いを詰めて斬りかかった。
 涼が小刀を跳ねのけようとする前に怒りで燃えているよーじは小刀の刃先を喉元へ向ける。涼が上体を崩した。「ぐぅっぅ……!?」
 きじはよーじが弥生に憑依されたことで一人と一匹が同調し合う”怒り”を見た。しかしこのままではよーじが人殺しになってしまう。
 弥生はきじの心臓を宿らせた依代であった。しかもきじは弥生の主人である。そんな一人と一匹が同調し合い、きじを守ろうとする。しかし殺そうともしている。
 きじは飛びかかろうとするよーじへダイレクトアタックをした。それからきじはよーじに必死に抱き着く。「やめ……ろっ、よーじっ! このままだと、この男を殺すことにっ――」
 しかし止めに掛かるきじを涼が蹴り上げていた。そしてきじの首を再度締めに掛かる。きじはどうすれば良いのか、この最悪な状況をどうすれば良いのか酸素が回らない脳内で考える。
 しかしその手をきじが弥生で貫いた。「ぐっっ!? て、めぇぇっっ……!!!!」
 涼が血だらけの右手でよーじの顔面を殴り飛ばす。するとその瞬間をどこか先見の目を見ていたかのようによーじは涼の血だらけの拳へ短刀を向けた。
 血しぶきが飛んだかと思えばよーじ細身の涼の腹部へ足蹴りをお見舞いする。その強烈な足蹴りで涼は血反吐を吐いた。
「やめろ……、やめてくれ……!」
 荒れ狂っているよーじと弥生に、修羅と化している青年ときじの魂にきじは悲痛な声で放つ。涼に蹴り上げられていたせいで身体の節々が痛かった。それでも身体を丸めて立ち上がる。
 今、血だらけの弥生を向けているよーじの姿が居た。その姿がまるで自分が修羅となり、怨霊となった自分の姿と酷似していた。そんな姿を見たくなかった。
 よーじが鬼と化した姿が、自分が”餓鬼”だった頃を思い出し、きじは涼へ弥生を振りかかろうとするよーじに突進するように抱き着いた。
「ぐぅあっ、あぁっ……!!!!」
「よーじ、やめてくれっ! おらが悪かったから、おらのせいでこんな……」
 自我を失っているよーじの真紅に燃え上がる炎は消えることはない。それでも必死に止めようとするきじへ涼に憑りついた福禄は手を庇いながら笑んでいた。
「ははっ、はははっ。餓鬼、お前は憑りついた相手を間違えたんだ。こんな制御も効かない少年なんて、すぐにあの世さ」
 それからきじもろともよーじへ突進する涼に凄みのある声が夜空に響き渡る。「そこまでだ、両者共に引いてもらおう」
 そこにはアッシュグレーの短く刈り込んだ髪の男が居たのだ。
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