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花人の謎
不幸ヤンキー、”狼”に奪われる。【7】
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幸は飛行しながらもやけに胸騒ぎを起こした。やはり哉太達が心配だからというのもあるがそれだけでは無い気がするのだ。
…哉太さんが、哉太さんが心配だな。
―どうしてこんなにも?
するとたちまち大きく羽ばたく両翼は力強さを失ったかのように急降下していく。どうしたものかと心は幸の顔を見れば幸は顔を青白くさせていた。そんな彼に心は心配をするのだ。
「やっぱり…みんなのこと、心配だよね」
「…あぁ」
「想いが伝わるから分かるよ…」
「ごめんな…。なんか、急に力が入らなくなって…」
「大丈夫だから、気にしないで?」
しかし幼い少女だって自分と気持ちは同じだ。だから幸は奮起するように自身へ喝を入れるのだ。
「よしっ! ここでバテちゃ男が廃るな。しっかりしないとな!」
そして翼を広げて花の庭を目指し飛行する幸へ、心は少し微笑んだ。
…みんなのこと、やっぱり心配なんだね。でも…。
―ムマって人の人格も、あるからな。ちゃんとそこにも気を配らないと。
「…心も平気か?」
不意打ちをされたように幸へ尋ねられたので少々驚いたものの、心は首を縦に頷く。すると今度は心が話を逸らすように仕向けたのだ。
「幸君だって、哉太君のことが心配なんでしょ?」
「…やっぱり、分かっていたか…。それも能力か?」
「そんなの、普段から2人がイチャイチャしてるのを見れば分かるもん」
「なぁっ!??」
図星を言い当てられた幸は顔を真っ赤にしてしまい、今度は着陸する際にこけそうになってしまう。しかしさすがは運動神経1の青年、上体が前のめりになるのを翼の反動で背筋を伸ばせさせた。
―フライの”狼”としての能力の”飛行”と哉太の”狼”としての能力である”有機物や無機物に対しての磁力の反作用”を応用した技を使用したのだ。理屈は分かっているかどうかは知らない。だが心の能力の手助けで幸は2人の相容れぬ能力を制御することに成功しているのだ。
―制御できなければ磁力が密着して翼も開かず飛ぶことさえも出来なかっただろうに。
「あ…あぶねぇ。い…一応……セーフ……。心、怪我はないか?」
抱きかかえていた心をゆっくりと降ろしたものの、まだ顔が真っ赤な幸に心はおかしげに笑う。しかし心も自分の発言のせいで幸に怪我をさせてしまいそうになったり、使い慣れてないだろうに能力の制御をしてくれたり、それでも自分を心配してくれたりというので申し訳なさもあった。だから目を伏せて謝罪をした。
「大丈夫だよ。…幸君ごめんね?」
「あ…それは、まぁ…」
だが次の言葉で幸は顔をさらに紅潮させ、慌てたのだ。
「私、茶化したつもりは無くて…。私が来てからはなかなかイチャイチャ出来なさそうだったし…ごめんね。私ももっと2人に気を遣えばもっとハレンチなことが―」
「ストーーーップッッッ!!!!」
「え?」
「心はそういうのは気にしなくていいから!! というか…心の歳で、というか! 小学生の女の子が、俺達の…その…そういうのは、教育に悪いし!!!」
「あれ、そうなの?」
「そうだ! それに俺も最近になって…そういうのは…その…」
しどろもどろになってしまう高校2年生の幸と、それでも平然としている小学5年生の心の考えの差。「この差は一体何だろうか?」と思うが、それでも彼女は類まれなる平静さを見せていた。
「お父さんや最近出来たお友達はよく言うよ。…彼氏が出来たら家かホテルで―」
「心、頼むから!!!! お父さんはともかく、そのお友達の言葉を信じちゃダメだからな!」
「え~、大人っぽい子なのに?」
…まずい。心をこれ以上、汚い大人の世界へ引き込んではいけない!
だから幸は彼女の両肩を力加減を弱くして真正面で言い放つ。まだまだ言葉足らずな部分はあるがこのように言いたいのだろう。…「自分のようなふしだらな世界へ、まだ行ってはならない!」ということを。
「それでもダメ!!! …全く、俺みたいな人生を送らないか、しっかり見とかないと…」
幸の言葉に心は首を傾げては一応頷いておくのだ。
「は~い。分かったよ~」
「いいな、約束だからな?」
「…約束」
幸のなにげの無い言葉に、少女は自身の心に明かりを灯された気がした。不器用ではあるが、愛されているという心情を得たからだ。それはこんなにも温かく安心が出来るのだと実感してしまう。
―だから幸と心は指切りをしたのだ。自分がもっと幼い頃、自分にしてくれた約束を想起し、心は嬉しさを感じる。しかも哉太や幸との約束まで思い出した。それほど自分は愛されていると、気に掛けてもらえていると思うと心があったかくなる。
―しかし事態は刻々と迫っていた。…幸が壊れるまでの時間が。
…哉太さんが、哉太さんが心配だな。
―どうしてこんなにも?
するとたちまち大きく羽ばたく両翼は力強さを失ったかのように急降下していく。どうしたものかと心は幸の顔を見れば幸は顔を青白くさせていた。そんな彼に心は心配をするのだ。
「やっぱり…みんなのこと、心配だよね」
「…あぁ」
「想いが伝わるから分かるよ…」
「ごめんな…。なんか、急に力が入らなくなって…」
「大丈夫だから、気にしないで?」
しかし幼い少女だって自分と気持ちは同じだ。だから幸は奮起するように自身へ喝を入れるのだ。
「よしっ! ここでバテちゃ男が廃るな。しっかりしないとな!」
そして翼を広げて花の庭を目指し飛行する幸へ、心は少し微笑んだ。
…みんなのこと、やっぱり心配なんだね。でも…。
―ムマって人の人格も、あるからな。ちゃんとそこにも気を配らないと。
「…心も平気か?」
不意打ちをされたように幸へ尋ねられたので少々驚いたものの、心は首を縦に頷く。すると今度は心が話を逸らすように仕向けたのだ。
「幸君だって、哉太君のことが心配なんでしょ?」
「…やっぱり、分かっていたか…。それも能力か?」
「そんなの、普段から2人がイチャイチャしてるのを見れば分かるもん」
「なぁっ!??」
図星を言い当てられた幸は顔を真っ赤にしてしまい、今度は着陸する際にこけそうになってしまう。しかしさすがは運動神経1の青年、上体が前のめりになるのを翼の反動で背筋を伸ばせさせた。
―フライの”狼”としての能力の”飛行”と哉太の”狼”としての能力である”有機物や無機物に対しての磁力の反作用”を応用した技を使用したのだ。理屈は分かっているかどうかは知らない。だが心の能力の手助けで幸は2人の相容れぬ能力を制御することに成功しているのだ。
―制御できなければ磁力が密着して翼も開かず飛ぶことさえも出来なかっただろうに。
「あ…あぶねぇ。い…一応……セーフ……。心、怪我はないか?」
抱きかかえていた心をゆっくりと降ろしたものの、まだ顔が真っ赤な幸に心はおかしげに笑う。しかし心も自分の発言のせいで幸に怪我をさせてしまいそうになったり、使い慣れてないだろうに能力の制御をしてくれたり、それでも自分を心配してくれたりというので申し訳なさもあった。だから目を伏せて謝罪をした。
「大丈夫だよ。…幸君ごめんね?」
「あ…それは、まぁ…」
だが次の言葉で幸は顔をさらに紅潮させ、慌てたのだ。
「私、茶化したつもりは無くて…。私が来てからはなかなかイチャイチャ出来なさそうだったし…ごめんね。私ももっと2人に気を遣えばもっとハレンチなことが―」
「ストーーーップッッッ!!!!」
「え?」
「心はそういうのは気にしなくていいから!! というか…心の歳で、というか! 小学生の女の子が、俺達の…その…そういうのは、教育に悪いし!!!」
「あれ、そうなの?」
「そうだ! それに俺も最近になって…そういうのは…その…」
しどろもどろになってしまう高校2年生の幸と、それでも平然としている小学5年生の心の考えの差。「この差は一体何だろうか?」と思うが、それでも彼女は類まれなる平静さを見せていた。
「お父さんや最近出来たお友達はよく言うよ。…彼氏が出来たら家かホテルで―」
「心、頼むから!!!! お父さんはともかく、そのお友達の言葉を信じちゃダメだからな!」
「え~、大人っぽい子なのに?」
…まずい。心をこれ以上、汚い大人の世界へ引き込んではいけない!
だから幸は彼女の両肩を力加減を弱くして真正面で言い放つ。まだまだ言葉足らずな部分はあるがこのように言いたいのだろう。…「自分のようなふしだらな世界へ、まだ行ってはならない!」ということを。
「それでもダメ!!! …全く、俺みたいな人生を送らないか、しっかり見とかないと…」
幸の言葉に心は首を傾げては一応頷いておくのだ。
「は~い。分かったよ~」
「いいな、約束だからな?」
「…約束」
幸のなにげの無い言葉に、少女は自身の心に明かりを灯された気がした。不器用ではあるが、愛されているという心情を得たからだ。それはこんなにも温かく安心が出来るのだと実感してしまう。
―だから幸と心は指切りをしたのだ。自分がもっと幼い頃、自分にしてくれた約束を想起し、心は嬉しさを感じる。しかも哉太や幸との約束まで思い出した。それほど自分は愛されていると、気に掛けてもらえていると思うと心があったかくなる。
―しかし事態は刻々と迫っていた。…幸が壊れるまでの時間が。
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