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ギフト
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2匹がいなくなって4ヶ月が過ぎ、兄の10回目の命日を迎えた。
2匹のために残された小屋とか茶碗とか、近くを通るたびに覗いてしまう。
片付けたいけど…誰も片付けられないでいた。
小屋があれば、いつかクロが帰って来た時に、ひょっこり入っていたりして。
そんなことを思いながら、居るはずのない小屋を覗いてみる。
なんか寂しい。
そんなある日、
「小屋から毛布が出てる。クロが帰って来たんじゃないか?」と夫が言う。
夫も気にして覗いていたようだ。
小屋と言っても 寒くないように、小さな入り口だけをつけた発泡スチロールの箱だったので、上蓋が開く仕組み。
そーっと開けて覗いてみた。
ら、
そこには何と⁉︎
でっかい『タヌキ』が寝ていた‼︎
「た…たぬき…?」
しかもそのタヌキ、老いてるのか、病気なのか?毛があちこち抜けている。
私たちが見ても、すぐに逃げようとはしない。
「えらいものが入ってしまった…」
どうやって追い出そうか悩んでいると
『どっこいしょ』って感じでタヌキが動き出した。
『せっかく見つけたねぐらだったのに…はいはい、出ますよ』
と仕方なくみたいに。
慌てる様子もなく トテトテと歩きながら、何処かへ行ってしまった。
…ハッと我にかえる私たち。
思わず見送ってしまったじゃないか。
驚いた。
あんなのが、よくこんな小さな小屋に入れたな⁉︎
いやいや、そんなことより 野の生き物だし、あんなボロボロなタヌキ。
どんな病気を持っているか分からない。
このままほっといて、クロが帰って来て入りでもしたら困るじゃないか?
結局、この小屋も廃棄処分となったのは言うまでもない。
しばらくタヌキの話題が尽きなかった。
今まで見たことのない大きなタヌキ。
農道で狐やタヌキを見かける事はよくあるが、家の近くまで来るなんて、しかも寝ぐらにしちゃうなんて。
見つけた時の驚きとか。
よほど食べ物がなかったのか?いや、秋だからそんな事はないだろう。
なんて。
その話も尽きかけた頃。
また兄の誕生日が近くなった。
今年もまた食事会でもやりますか~?なんてみんなで話をしていた。
とある朝。
私たちが仕事に行っている間のことだった。
父が腕を骨折して、病院に来ていると母から連絡が入った。
どうやら持病の発作が起きて、その間意識がなく、転んで手をついたためではないかと言う母の推理。
見つけた時は、タンスにもたれ掛かって腕を押さえ、床に座り込んでいたらしい。
仕事から帰ると 腕にギブスをはめて、肩から三角布で吊った父がリビングで座っていた。
母はもちろん また面倒が増えたと怒っている。
「面倒と言っても風呂の手伝いくらいじゃない?あとはどうせテレビを観て座ってるんだから」
私の意見に対し
「その風呂が面倒なんだ!」
と母は言い返す。
言い合いになりそうだったので、私は早々に退散した。
またしばらくは母の機嫌が悪くなるな~。
夕飯の用意をしていると、母が息を切らせて我が家にやって来た。
「クロが帰って来た‼︎」
え?ウソ⁉︎
ほんと⁇
「嘘じゃない。庭に黒いものが来て、またタヌキかと思って見たら猫だった。真っ黒で尻尾が長い。『クロか⁉︎』って聞いたら『にゃー』って返事した!と興奮状態。
ほんとにクロなの?半信半疑な私。
「クロだ。間違いない!」
そのあと窓を開けたら逃げてしまったそうだ。
もう暗いし 本当にクロなら明日また来るんじゃない?ってことで、話は終わった。
母は絶対そうだと喜び勇んで帰って行った。
翌朝。
半信半疑で実家に向かう。
庭の小さなテーブルに、黒い猫が座っているのが遠目にも分かった。
尻尾の長い黒い猫。
本当に『クロ』だった。
2匹のために残された小屋とか茶碗とか、近くを通るたびに覗いてしまう。
片付けたいけど…誰も片付けられないでいた。
小屋があれば、いつかクロが帰って来た時に、ひょっこり入っていたりして。
そんなことを思いながら、居るはずのない小屋を覗いてみる。
なんか寂しい。
そんなある日、
「小屋から毛布が出てる。クロが帰って来たんじゃないか?」と夫が言う。
夫も気にして覗いていたようだ。
小屋と言っても 寒くないように、小さな入り口だけをつけた発泡スチロールの箱だったので、上蓋が開く仕組み。
そーっと開けて覗いてみた。
ら、
そこには何と⁉︎
でっかい『タヌキ』が寝ていた‼︎
「た…たぬき…?」
しかもそのタヌキ、老いてるのか、病気なのか?毛があちこち抜けている。
私たちが見ても、すぐに逃げようとはしない。
「えらいものが入ってしまった…」
どうやって追い出そうか悩んでいると
『どっこいしょ』って感じでタヌキが動き出した。
『せっかく見つけたねぐらだったのに…はいはい、出ますよ』
と仕方なくみたいに。
慌てる様子もなく トテトテと歩きながら、何処かへ行ってしまった。
…ハッと我にかえる私たち。
思わず見送ってしまったじゃないか。
驚いた。
あんなのが、よくこんな小さな小屋に入れたな⁉︎
いやいや、そんなことより 野の生き物だし、あんなボロボロなタヌキ。
どんな病気を持っているか分からない。
このままほっといて、クロが帰って来て入りでもしたら困るじゃないか?
結局、この小屋も廃棄処分となったのは言うまでもない。
しばらくタヌキの話題が尽きなかった。
今まで見たことのない大きなタヌキ。
農道で狐やタヌキを見かける事はよくあるが、家の近くまで来るなんて、しかも寝ぐらにしちゃうなんて。
見つけた時の驚きとか。
よほど食べ物がなかったのか?いや、秋だからそんな事はないだろう。
なんて。
その話も尽きかけた頃。
また兄の誕生日が近くなった。
今年もまた食事会でもやりますか~?なんてみんなで話をしていた。
とある朝。
私たちが仕事に行っている間のことだった。
父が腕を骨折して、病院に来ていると母から連絡が入った。
どうやら持病の発作が起きて、その間意識がなく、転んで手をついたためではないかと言う母の推理。
見つけた時は、タンスにもたれ掛かって腕を押さえ、床に座り込んでいたらしい。
仕事から帰ると 腕にギブスをはめて、肩から三角布で吊った父がリビングで座っていた。
母はもちろん また面倒が増えたと怒っている。
「面倒と言っても風呂の手伝いくらいじゃない?あとはどうせテレビを観て座ってるんだから」
私の意見に対し
「その風呂が面倒なんだ!」
と母は言い返す。
言い合いになりそうだったので、私は早々に退散した。
またしばらくは母の機嫌が悪くなるな~。
夕飯の用意をしていると、母が息を切らせて我が家にやって来た。
「クロが帰って来た‼︎」
え?ウソ⁉︎
ほんと⁇
「嘘じゃない。庭に黒いものが来て、またタヌキかと思って見たら猫だった。真っ黒で尻尾が長い。『クロか⁉︎』って聞いたら『にゃー』って返事した!と興奮状態。
ほんとにクロなの?半信半疑な私。
「クロだ。間違いない!」
そのあと窓を開けたら逃げてしまったそうだ。
もう暗いし 本当にクロなら明日また来るんじゃない?ってことで、話は終わった。
母は絶対そうだと喜び勇んで帰って行った。
翌朝。
半信半疑で実家に向かう。
庭の小さなテーブルに、黒い猫が座っているのが遠目にも分かった。
尻尾の長い黒い猫。
本当に『クロ』だった。
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