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迷い
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チャチャの死から、およそ4ヶ月が過ぎた。
俺はまた、食う.寝る.遊ぶの毎日を送っていた。
だけど、チャチャの死を忘れたわけじゃない。
何をしても楽しくない。
心ここにあらずと言うか「何のために生まれ変わったのか?」と言う疑問が、頭の中をグルグル巡っていた。
このままでいいのかな。
このまま猫として、また死を待つだけなのかな。
それって生まれ変わった意味があるのかな。
一度墓に入った時、祖父さんが、自分の代わりに外の世界を見て来いって言ってた。
墓に入るのはまだ早いって。
祖父さん…。
外の世界って言っても、猫から見た世界は、すごく狭いんだ。
せっかく自分の記憶も残っているのに、俺は生かすことも出来ずにいるよ…。
ああ、ダメだ。
また落ち込んできた。
もっと俺にできる事はないのかな。
どうせなら、誰かのためになる生き方をするとか。
俺は命を粗末に扱い過ぎてるんだ。
もっと大事に…
例えば…
そう、例えば…えっとぉ…
ああ!クソ~‼︎
何にも思いつかね~‼︎
ぐおぉおおおおおおおおお‼︎
どーすりゃいいんだよぉ~⁉︎
俺はゴロゴロ寝転んだ。
正確にはのたうち回ってるつもりだが、猫ってやつはどーしてもゴロゴロになってしまう。
そんな姿を母親はジッと見ていた。
母親はいつも優しい。
だけど、何か助言してくれるわけでもなく、俺が自分で考えて行動するのを待ってるような?見守ってるような。
でもやっぱり何か言ってほしい~!
こんな時「名前ない」とか「ご縁」に頼ったらどうなんだろう?
いやいや、彼らは俺が転生する時までを手伝ってくれた人。
あてにしてちゃまずいよなぁ。
そんな時、俺はふと思いついた。
「そうだ。墓に行って祖父さんに相談してみよっかな?」
本当に何気ない思いつき。
祖父さんなら何かいい話をしてくれそうな気がする。
そーしよー!そーしよう‼︎
お天道様はまだ真上!
明るいうちに行ってみよう!
「お母さん!俺、ちょっと出かけてくる!」
思い立ったが吉日!
オレはヒョイと立ち上がり、体をブルブルッと震わせて毛を立たせ、そのまま一気に走り出した。
母親は何にも言わず、笑顔で見送ってくれた。
祖父さんなんて言うかな。
『ばかタレ!そんなことは自分で考えろ!』とか言わないよな。
仮にも俺は孫だし。
何かヒントとかアドバイスが欲しい。
そしたら何か動けそうな気がする。
でも俺ってこんなに無知だったっけ?
人間だった頃は、もっと色んな事を思いついて実行に移していたのに。
猫だって結構利口な生き物だ。
俺は猫にも劣ってるんだな。きっと。
だけど気持ちは何となく軽くなって、俺は休憩もせず走り続けた。
その甲斐あって、祖父さんの眠る墓まで、あっという間に着いた。
墓の前まで行、きちんと座って挨拶した。
「祖父さん!俺!和彦だよ!生まれ変わってきたよ!」
「………」
…ありゃ?返事がない?
猫の俺じゃダメなのか?
もう一回呼んでみる。
「祖父さん!俺だよ俺!」
『お前は詐欺かぁああああああ‼︎』
うおぉおおおおお⁉︎
びっくりした‼︎
墓から突然祖母さんが飛び出してきた‼︎
「なんだ。和彦か。びっくりしたわ」
「こっちがびっくりだよ‼︎」
俺は鳥肌ならぬ毛が逆立って尻尾まで膨れた。
あれ?この姿初めてなのに、祖母さん俺って分かるのか?
「あほ。自分の孫ぐらい分かるわ」
相変わらず口が悪いばあちゃんだ。
「祖父さんは?いないの?」
「ほぉ~。こりゃまたご挨拶だな。ワシには一言も無しでいきなり祖父さんときたもんだ」
「あー!お祖母様!大変ご無沙汰しております!和彦です!」
俺は慌てて挨拶する。
こう言うのって、捻くれると長いんだ。
「ハイハイ。どうせ捻くれ者ですよ。祖父さん!祖父さん!和彦が仮装してきたぞぉ」
いや、仮装じゃないし…。
しかも人の心読んでるし。
「なんだ。賑やかだなぁ。おや、和彦じゃないか?立派な黒猫に生まれ変わったんだなぁ」
「祖父さんも俺だって分かるの?」
「そりゃそうさ。なんでもお見通しだよ」
祖父さん相変わらず男前だなぁ。
「祖父さん、俺すごく悩んでるんだ。相談に乗ってほしい!」
俺は猫に転生してからのこと、チャチャとの死別、自分はどうしたらいいのか困っているなど全てを話した。
祖父さんは、ウンウンと頷きながら聴いてくれた。
「和彦…。そんな事は自分で考えろ」
あれ?
アレレレレレレレレレ?
想像してたような返事が返って来たんだけど⁉︎
「いや、考えたけど、答えが出なくって…」
「お前は元は人間で、私よりも長生きしてたじゃないか。間違っていると感じたなら、初めからやり直せばいい。姿形が変わっても、そんなものは関係ない。原点に戻ってみなさい」
原点って?
戻るって?
初めからやり直すって⁇
一体どこから~⁉︎
俺はまた、食う.寝る.遊ぶの毎日を送っていた。
だけど、チャチャの死を忘れたわけじゃない。
何をしても楽しくない。
心ここにあらずと言うか「何のために生まれ変わったのか?」と言う疑問が、頭の中をグルグル巡っていた。
このままでいいのかな。
このまま猫として、また死を待つだけなのかな。
それって生まれ変わった意味があるのかな。
一度墓に入った時、祖父さんが、自分の代わりに外の世界を見て来いって言ってた。
墓に入るのはまだ早いって。
祖父さん…。
外の世界って言っても、猫から見た世界は、すごく狭いんだ。
せっかく自分の記憶も残っているのに、俺は生かすことも出来ずにいるよ…。
ああ、ダメだ。
また落ち込んできた。
もっと俺にできる事はないのかな。
どうせなら、誰かのためになる生き方をするとか。
俺は命を粗末に扱い過ぎてるんだ。
もっと大事に…
例えば…
そう、例えば…えっとぉ…
ああ!クソ~‼︎
何にも思いつかね~‼︎
ぐおぉおおおおおおおおお‼︎
どーすりゃいいんだよぉ~⁉︎
俺はゴロゴロ寝転んだ。
正確にはのたうち回ってるつもりだが、猫ってやつはどーしてもゴロゴロになってしまう。
そんな姿を母親はジッと見ていた。
母親はいつも優しい。
だけど、何か助言してくれるわけでもなく、俺が自分で考えて行動するのを待ってるような?見守ってるような。
でもやっぱり何か言ってほしい~!
こんな時「名前ない」とか「ご縁」に頼ったらどうなんだろう?
いやいや、彼らは俺が転生する時までを手伝ってくれた人。
あてにしてちゃまずいよなぁ。
そんな時、俺はふと思いついた。
「そうだ。墓に行って祖父さんに相談してみよっかな?」
本当に何気ない思いつき。
祖父さんなら何かいい話をしてくれそうな気がする。
そーしよー!そーしよう‼︎
お天道様はまだ真上!
明るいうちに行ってみよう!
「お母さん!俺、ちょっと出かけてくる!」
思い立ったが吉日!
オレはヒョイと立ち上がり、体をブルブルッと震わせて毛を立たせ、そのまま一気に走り出した。
母親は何にも言わず、笑顔で見送ってくれた。
祖父さんなんて言うかな。
『ばかタレ!そんなことは自分で考えろ!』とか言わないよな。
仮にも俺は孫だし。
何かヒントとかアドバイスが欲しい。
そしたら何か動けそうな気がする。
でも俺ってこんなに無知だったっけ?
人間だった頃は、もっと色んな事を思いついて実行に移していたのに。
猫だって結構利口な生き物だ。
俺は猫にも劣ってるんだな。きっと。
だけど気持ちは何となく軽くなって、俺は休憩もせず走り続けた。
その甲斐あって、祖父さんの眠る墓まで、あっという間に着いた。
墓の前まで行、きちんと座って挨拶した。
「祖父さん!俺!和彦だよ!生まれ変わってきたよ!」
「………」
…ありゃ?返事がない?
猫の俺じゃダメなのか?
もう一回呼んでみる。
「祖父さん!俺だよ俺!」
『お前は詐欺かぁああああああ‼︎』
うおぉおおおおお⁉︎
びっくりした‼︎
墓から突然祖母さんが飛び出してきた‼︎
「なんだ。和彦か。びっくりしたわ」
「こっちがびっくりだよ‼︎」
俺は鳥肌ならぬ毛が逆立って尻尾まで膨れた。
あれ?この姿初めてなのに、祖母さん俺って分かるのか?
「あほ。自分の孫ぐらい分かるわ」
相変わらず口が悪いばあちゃんだ。
「祖父さんは?いないの?」
「ほぉ~。こりゃまたご挨拶だな。ワシには一言も無しでいきなり祖父さんときたもんだ」
「あー!お祖母様!大変ご無沙汰しております!和彦です!」
俺は慌てて挨拶する。
こう言うのって、捻くれると長いんだ。
「ハイハイ。どうせ捻くれ者ですよ。祖父さん!祖父さん!和彦が仮装してきたぞぉ」
いや、仮装じゃないし…。
しかも人の心読んでるし。
「なんだ。賑やかだなぁ。おや、和彦じゃないか?立派な黒猫に生まれ変わったんだなぁ」
「祖父さんも俺だって分かるの?」
「そりゃそうさ。なんでもお見通しだよ」
祖父さん相変わらず男前だなぁ。
「祖父さん、俺すごく悩んでるんだ。相談に乗ってほしい!」
俺は猫に転生してからのこと、チャチャとの死別、自分はどうしたらいいのか困っているなど全てを話した。
祖父さんは、ウンウンと頷きながら聴いてくれた。
「和彦…。そんな事は自分で考えろ」
あれ?
アレレレレレレレレレ?
想像してたような返事が返って来たんだけど⁉︎
「いや、考えたけど、答えが出なくって…」
「お前は元は人間で、私よりも長生きしてたじゃないか。間違っていると感じたなら、初めからやり直せばいい。姿形が変わっても、そんなものは関係ない。原点に戻ってみなさい」
原点って?
戻るって?
初めからやり直すって⁇
一体どこから~⁉︎
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